外食業界の働きやすさを追求。とある飲食店が挑戦するフェアな会社づくり

2019.12.04 00:00
J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で、
様々な企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える
「RECRUIT THE WORK SHIFT」。
1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。

11月11日~11月14日の放送では、「イートアンド株式会社」が取り組む「働き方改革」をご紹介しました。

「イートアンド株式会社」は、1969年…いまからちょうど50年前…に大阪・京橋で創業した「大阪王将」から始まって、20年ほど前から冷凍餃子の量販店向け販売に本格的に参入。現在では、フルライン型フードメーカーとして加工食品を製造販売するほか、国内外で約500店舗の飲食店を運営。パートアルバイトも含めると従業員は1300人ほどということです。

2年ほど前からスタートしたという「働き方改革」は、人事部 ゼネラルマネジャーの渡邉孝至さんによると、
「外食業界では慢性的な人手不足。『働き方改革』推進の波に乗り遅れないように、というよりは、自分たちの理念を実現させるために、まずは従業員の安定的な働き方を改革していこう、として始まった」とのこと。
2002年にコーポレート・スローガンとして「おなかいっぱいの幸せ」を掲げ、これを胸に刻んでみなさん毎日業務に励んでいますが、お客様・消費者の「おなかいっぱいの幸せ」を満たすためには、そもそも従業員がおなかはもちろん気持ちも充実しなければならない…というところから「働き方改革」に乗り出しました。
コーポレート・スローガンとして「おなかいっぱいの幸せ」は、外食でひと時代を作り、そのあとフルライン型フードメーカーとして発展、従業員も増えもうワンステップ上がって行こう…となったときに、フルライン型フードメーカーとしてどういう立ち位置でやっていこうかと考え、みんなで導き出した答えでした。
その後、増収・増益で規模が拡大しその中で様々な人材を受け入れる土壌が必要になってくる…ということを、2年前に見つめなおしたことにより「働き方改革」がスタートしたというわけです。
事業が拡大していく中で、理念を実現するためにはどうしたらいいのか?
・・・常に考えなおしていくことが重要なんですね。
2日目は、「働き方改革」のさまざまな施策についてうかがいました。
近年、様々な施策を導入。社内活性化をはかることを目的に、半年に1回、ひとり一律5000円を支給、それを食事会などに活用するという「社内コミュニケーション制度」や、子育てをしながらの「在宅制度」などを採り入れました。そして、今年始めたのが、完全週休3日制の「限定社員制度」です。
渡邉さんによると、これは、働き方が多様化してきたことをうけての制度で、週40時間労働ということで、①一日10時間・週4日働く②転勤なし・時間の限定あり③職種の限定あり・・・という3つの限定がある「限定正社員」。
実際に活用している人はまだいませんが、「こういう制度があれば、自分に何かあったときにでも、こういう雇用形態に変更できる・・・」という安心感がある、と好評だそうです。
「トップと従業員の間の距離が短く、いろいろな働き方を用意してくれている、というメッセージが伝わっている」と喜んでいる一方、こうしたさまざまな制度を運用していく中でいろいろと気づきがあったようで、
「細かい施策が多くなりすぎてチグハグになった。ひとつひとつはすごく良いが、アンバランスになっているのが課題」と語っていただきました。
3日目は、「働き方改革」の施策についてさらにうかがいました。
外食産業としては、どうしても勤務時間の長さが問題になってきますが、渡邉さんによると、  
「責任感、サービスするという使命を考えると、『現場に長くいなければいけない』という考えで仕事をしがち。ただ、そこまで長い時間営業する必要があるのか?…ということで、営業時間の短縮をはかっている」とのこと。
さらに「おもてなしの勘違いで行き過ぎたサービス・・・消費者とボタンのかけちがいがあるのではないか? そういったことが従業員の負担になっていたのかも…という過去の反省があり、『働き方改革』の起点はそこかもしれない」とのこと。
さてそんな中で、産休・育休でどうしても負担がかかってしまう女性の方々の職場復帰を支援する「コミュニケーション会」というものがあるそうです。
「復職したい!」という声は非常に多かったが、同時に「復帰するにはかなり勇気が要るという」声も。では、どうするか…?
産休・育休の方に定期的に会社に来てもらい、いま会社がこうなっている・・・ということをガイダンス。いままでの上司と会い、育児中のおかあさんと横のつながりを深め、復帰の準備を進める・・・というのが「コミュニケーション会」で、非常に好評だそうです。
横のつながりで復帰をサポート・・・。会社にとっても効率的ですね。
最終日には、「働き方改革」を進める中で見えてきた課題についてうかがいました。
渡邉さんによれば、
「施策の中にはうまく社員に取り入れられているものもあるし、もうやめたものもある。そろそろ振り返る時期にきた」とのことで、来年4月から新たな人事制度を導入予定。
「すべての方にぴったりフィット、というわけには行かないが、セミオーダーでしつらえればその人に会ったものが提供できるような、多様性のある制度をやっていきたい。幹を作ったら、枝・葉・花をつけるように・・・」と語ります。
ではその「花」とは何なんでしょうか?
「まずは『働きやすさ』。ただ、一方で『働き甲斐』を求める人もいる。これまでの制度では、ある人には良くても、一方から見るとアンフェアにうつるものもあった」とのこと。
これからは「公正性」=「フェア」が大切。フェアな会社でありたい・・・と力強く語っていただきました。

今週のお話から導き出す「WORK SHIFTのヒント」は・・・
『制度は常に見直しながら、フェアな改革を』

「フェアな制度改革」で「フェアな会社作り」。これが「おなかいっぱいの幸せ」につながっていくのかもしれません。