自律的な働き方をデザイン!ワーカーの生産性と創造性と高める工夫

2019.11.18 14:00
J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で
様々な企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。

10月21日から24日の放送では、オフィス家具や物流機器の他、ICT・映像機器などにより、さまざまな「空間」・「環境」・「場」づくりを提供する株式会社イトーキのオフィスデザインと働き方に注目しました。

イトーキでは、2018年10月から独自の働き方「XORK Style(ゾーク・スタイル」を導入しました。今回、お話を伺った営業本部・マーケティング戦略室 の 浜中麻衣さんによると、当時、社内で営業部門の調査を行ったところ全営業活動のうち、能動的な会社訪問の時間が減少していたことがあったそうです。この問題を放置してしまうと中長期的な成長戦略を描くことが難しく、なんとか状況を改善するためにたどりついたのが、今回、注目した「XORK Style」だったのだそう。
このXORK Styleは、ワーカーの自己裁量を最大化し、自律的に働き方をデザインする「FREE」をテーマにした、新しい働き方。これにより生産性と創造性を飛躍的に高めます。ちなみに、XORKは造語で、次の次元の働き方を目指すということで、アルファベット順でWの次にくる「X」と「WORK」を掛け合わせて「XORK」と名付けられています。

このXROK Styleで、イトーキが目指したのは「抜本的な一からの見直し」。こうした理由から「改革」ではなく「変革」という言葉を使って「働き方変革」に臨んだそうです。内部環境、外部環境、また、世の中の最新事例など、状況分析を行った上で、「仕事の仕方の革新」、「空間と環境の革新」、「働き方のルールの革新」という3つの柱からなる実施計画をまとめたそうです。状況の分析と最新事例をアップデートする、こうした「変革の土台」を固めることが働き方の進化の第一歩なのかもしれません。
3つの柱のうちの1つ「空間と環境の革新」においては、もともと分散型だったオフィスをリニューアルするのではなく、最新・最先端のオフィスへの移転が行われました。ITOKI TOKYO XORK(イトーキ・トウキョウ・ゾーク)と名付けられた新オフィスは、1フロア800坪のメガプレートビルの3フロアからなります。特長としてはフロアの中央に、内部階段を設置し、「横」だけではく「縦」にもワーカーが行き来しやすい環境が整えられています。

そして、もう1つの特長が「ABW(Activity Based Working)」という戦略の採用。イトーキでは、「ひとりで集中する」、「二人で共同作業する」、「チームでアイディアを出し合う」など、想定される社員の活動を「10のふるまい」に分け、それぞれの働き方に最適な空間機能を整備。個人の活動を最大限に高める戦略であるABWは、社員にとっては仕事に対するポジティブな姿勢の形成と充実感の向上をサポートし、こうした個の力が向上することで会社は「成果」が挙がるという、双方にとってプラスとなる働き方が実現できる仕組みとして期待されています。
10の活動のうちの1つに「リチャージ」があります。リチャージとは、自らのパフォーマンスを最大限に高めるために、自己裁量の元、就業中にリラックスする時間を取る「休憩」をさしますが、イトーキでは、オフィスの中に、ひとりでリラックスできる個室やブースが多く配置されており、社員のみなさんは、「ON / OFF」の切り替えがしやくなっているのだとか。

この他、社内には、素敵な和室も完備。こちらはメディテーションルームと呼ばれ、座禅を組む部屋として社員のみなさんは就業中、いつでも利用することができるのだそう。この座禅は、最近、徐々に日本でも注目を集める「WELL認証」という認証制度にも関連する取り組みの1つです。WELL認証は、アメリカではじまった制度で、その建物の中で働く人たちの健康や快適性を高めるために、建築やその空間が、どういう基準を満たしていればいいか?を医学的な検証も加えて定められた空間品質基準。約100にも及ぶ基準は、大きく分けて「空気」、「水」、「食物」、「光」、「フィットネス」、「快適性」、「こころ」というカテゴリに分けられるそうです。
営業本部・マーケティング戦略室・室長の藤田浩彰さんに伺ったところ、イトーキでは、例えば、「食物」では「会社が従業員に提供する飲み物・食べ物の中に、1つあたり30グラム以上、砂糖が入っているものは提供できない」という基準に則っていたり、「光」においては、建物内の外光は従業員が享受するものであり、窓側に個室を設置しない、などを実践しているそうです。健康経営という言葉が注目される現代において、こうした活動を実践することも、重要な働き方に関する取り組みとなっています。
こうした働き方変革によって、どんな成果が挙がっているのか?
オフィス移転後、それ以前と比較したアンケート調査を行ったところ、「移転後のオフィスでは、移転前のオフィスに比べて生産性の高い仕事ができる」と回答した社員が約2倍になったそう。スケジュールの組み立て、管理が向上した他、もともと4拠点に分散していたオフィスが集約されたことで社内コラボレーションが生まれるなど、コミュニケーションも活性化しているそうです。

4日間に渡って紹介した、株式会社イトーキの取り組みから、今週、番組が導き出した「WORK SHIFT」のヒントは『社員ファースト、空間を活かすのは“ヒト”!』でした。どれだけ素晴らしいオフィス空間をデザインしても、その空間で 人=社員 が躍動できなければ意味がありません。働きやすい環境を整えるだけではなく、その環境を、どう活用するか?が大切なのではないでしょうか。