ライフスタイルの変化にも対応できる、誰もが働きやすい会社づくり

2019.09.20 00:00
J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で
様々な企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。

8月26日~29日の4日間は、無印良品を展開する株式会社良品計画の取り組みに注目しました。本社勤務だけではなく、各地に店舗を構える良品計画では正社員の他に、パートナー社員、アルバイトとさまざまな雇用形態で働く方々が在籍しています。
こうしたスタッフのみなさんが安心して、長く働き続けることができるよう、2016年から、今に続く、働き方の制度改革やアクションがスタートしたそうです。
その働きやすい仕組みとして取り入れられている制度の1つが「バックパス制度」と「カムバック採用」です。良品計画 人事総務部/組織開発課長 高田美樹さんによると、どちらの制度も退職した方が復職しやすい環境を提供する制度で、特にカムバック採用はアルバイトを含めて年間で400名近くが「カムバック」を果たしているそうです。
育児や介護、パートナーの転勤など生活環境が変わり、やむを得ない事情で退職をしなければならないことがあっても、この制度があることで従業員に安心を提供し、会社としても、もともと持っていた経験やスキルを活かした活躍を期待できると双方に効果を発揮しているようです。

「安心」をキーワードにした働く環境の整備は「育児」に関しても積極的に行われています。良品計画では「チャイルドケア」という時短勤務制度が導入されており、正社員・パートナー社員が、この制度を利用できるようになっています。
利用できる期間にも独自の特長があり、正社員と嘱託社員に限ってとはなるものの、小学4年生まで、この時短勤務が利用できるようになっています。期間の延長は、育児の本質を考慮したことが背景にあり、必要な「余白」を提供することで、育児と仕事の両立が取りやすいよう配慮されています。現在、4年生まで利用できる制度ですが、今後も、常に社員の声に耳を傾けながら必要な変化を検討していくそうです。
そんな良品計画では、働きやすいオフィスの環境整備も積極的に取り組んでいます。こちらの取り組みも2014年から始まったもので、このオフィスリノベーションのコンセプトが「完成させないオフィス」とのこと。このコンセプトについて、良品計画インテリアアドバイザーマネージャーの渡部奈保さんは「一度のリノベーションでキレイになったオフィスも、そこで働く人が変わらなければいずれ、元の姿に戻ってしまう。オフィスで働く人すべてが当事者であり、モヤモヤしている部分を解決するためには、自分たちのオフィスは自分たちで変えていくことが必要」とお話してくださいました。
気付いたらモノがたまったり、有効活用ができていない場所があったりというのは、どんなオフィスでも起きがちなこと。こうした改善点への「気づき」を全員が共有することで「完成させない」、言い換えれば「もっと良くなるオフィス」が現在進行形で造られていくのかもしれません。

具体的には、1階から8階までの多層フロアからなる良品計画の本社ビルでは、フロアごとにフロア環境委員を選抜。今でも定例でランチミーティングを開催し、社内のどんなところが活用されていないか?などの改善点を話し合い、最近ではそれまであまり活用されていなかった給湯室をリノベーションし「社員が3分でリフレッシュできるスペース」というコンセプトで「一坪喫茶」という空間が誕生したのだとか。
他にも外出が多い部署を中心にフリーアドレスを採用したり、社員が気軽に立ち寄って会話をしたりミーティングをしたりすることができる「井戸端スペース」を意図的に配置したりと、オフィスの環境を整えているそうで、多層フロアからなる本社の中で、フロアを越えたコミュニケーションが生まれだしているそう。
オフィスの課題を全員が当事者となって進化させている良品計画ですが、働き方の課題に対してのアプローチも独自の手法で解決を図っています。その1つが残業時間の削減。人事総務部/組織開発課長 高田美樹さんによると良品計画では、残業削減のために部署ごとの「残留率」を調査し毎月、部署ごとに残留率を発表しているそう。
これを基に、なぜ残業が発生したのか?と向き合い、「計画」を立てることで残業時間の削減を図っています。また有休の消化においては第一に「計画を立てる」ことを呼び掛けているとのこと。これは有休が取得できていない人の傾向を調べたところ、計画をたてるどころか「取れればいいな」という感覚の人が多く、まずは「意識改革」を行う事が必要と判断したからなんだそう。「計画」というキーワードのもと、まずは、現状の課題を知り、段階的に解決に取り組む姿勢、大切な一歩となっているようです。
4日間に渡って株式会社良品計画の働き方の取り組みを紹介してきましたが、今週のお話から番組が導きだした「WORK SHIFT」のヒントは『目標となるゴールに向かう前に、「今」の課題と向き合おう!』でした。

残業時間の削減、また有休取得の改善に向けての取り組みはともに、最初から削減だけを目指すのではなく、「なぜ、いまできないのか?」を考えたアプローチともいえる取り組みを行っている良品計画。最初から「いいことだけ」を掲げない課題解決のチカラこそ今、求められている「生産性」を備えた働き方改革につながるのかもしれませんね。