従業員の幸せを考え抜いた「豊かに働き・暮らせる環境」が会社を成長させる

2019.08.07 00:00
J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で様々な企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。

7月15日・月曜日から18日・木曜日の放送では、ゆるキャラなどのオリジナルの着ぐるみの製作を手掛けるKIGURUMI.BIZの取り組みをご紹介しました。

宮崎県に本社・工場をかまえ、現在31名が在籍、そのすべてが女性というKIGURUMI.BIZ。小さなお子さんがいらしたり、独身だったり、シングルマザーだったりと、それぞれの家庭環境があり、仕事に求める条件が違う中で、KIGURUMI.BIZでは、働くスタッフが「仕事を諦めなくていい環境」を整えています。

その1つが「働く時間を選ぶことができる仕組み」です。代表の加納ひろみさんによると、個人事業から2012年に法人化した際に、「どうすればスタッフが仕事を辞めなくてすむか?」を考えた時に、出勤時間をひとりひとりにカスタマイズすることを、その1つのアプローチとして取り入れたそう。ラッシュアワーを避けたり、子育て中の勤務時間を減らしたりなど、それぞれの暮らしにあった「働き方」を導入したことで、離職率が大きく下がったとのこと。
退職する人が減ることで、着ぐるみ製作の技術があがり、効率もアップ、着ぐるみの生産数も増加するなどの成果に繋がっているそうです。また、何よりも「自分にあった働き方」を実践することでスタッフの健康面にも効果がでていると、加納さんはお話してくださいました。
働くことを諦めない選択肢・・・その取り組みは「残業時間の削減」に向けた取り組みにも繋がっています。かつて、仕事量が増えてきた時、こなすことを優先した時期もあったそうで、終業時刻を過ぎた後におにぎりを差し入れし、「みんなで頑張ろう」というスタイルだった時代を代表の加納さんは、「間違った経営だった」と振り返りながら、顧客のみを優先するのではなく、働く従業員に目を向けるという現在の取り組みへ方向転換していったんだそう。

具体的な取り組みは、金曜日の週1日だけ「ノー残業デー」を導入。ただ、導入当初は金曜日を定時で終了する一方、土曜日に出社するなど、本質的な改善には至らなかったそう。その後は、工場内の導線など、仕事の段取りを一丸となって見直したことで、週1回のノー残業デーを確立。
こうした変化の中で従業員のみなさんから、もう1日、ノー残業デーを増やしたいという提案があり、実践したところ、いまではほぼ毎日で残業をなくすという成果を挙げられているそうです。
職場の中でも、雑音になるような「おしゃべり」がなくなり、必要な会話をしながら和気あいあいと業務に臨む風土が醸成され、仕事そのものの「質」があがっているのだそうです。
もう1つ、KIGURUMI.BIZの職場において、醸成された環境が「子連れ出社」に関する取り組み。制度としては設けていないものの、KIGURMI.BIZでは、お子さんを連れて出社する方もいるそうです。きっかけは、新型インフルエンザが流行した時、保育所がお休みになったことで、子どもを預けられないという従業員がいたそうで、その時にお子さんを預けられないから仕事を休むではなく、一緒に連れてきてもいいと、対象の従業員に呼び掛けたんだそう。
託児所などの環境があるわけではないそうですが、お子さんが会社に来た場合は、見られるスタッフが交代で面倒をみるなどして協力しあっているそうです。もちろん、お子さんがいることで、作業効率が下がることもあるそうですが、それでも「ゼロでない」ということ、また子どもたちが工場にやってくることで職場が和むという効果も生まれているそうです。

制度として設けなくてもみんなが協力しあう風土は、有休の取得に関する取り組みにも繋がっています。KIGURUMI.BIZでは、もともと有休取得率が高かったそうですが、それでもある時に新入社員から「有休が取りづらい」という声が挙がったそう。その理由として挙げられた1つが「先輩社員に気を遣う」ということ。これを受けて始まったのが、まっさらなカレンダーを社内に掲示し、みんなが自発的に有休取得希望日を書き込むというスタイル。
このカレンダーには先輩後輩関係なく、希望日を書き込むことができ、みんなが閲覧できるので、これまでよりもより有休の申請が気兼ねなくできるようになっていったそうです。

こうした有休に関する情報が公開されている他、KIGURUMI.BIZでは、さまざまな情報をグループウェアを活用して共有しています。加納さんによると、KIGURUMI.BIZでは、さまざまな情報を「部屋」にまとめて、それぞれが必要な情報を共有する「個別の部屋」から管理職だけの「部屋」、そしてすべての従業員が閲覧する「部屋」などなど。
こうした情報共有は、産休・育休の社員が現在の会社の状況を知るツールにもなっており、閲覧義務があるわけではないものの、復帰へのサポートツールにもなっているそうです。
4日間に渡ってご紹介した「KIGURUMI.BIZ」の働き方と取り組みから番組が導き出した「WORK SHIFT」のヒントは『従業員の幸せが、会社の幸せにつながる』でした。

代表加納さんも、かつてはサービスや製品のクオリティを高めるコトだけに捉われていた時期があった、というお話がありました。こうした経験をもとに、ともに働くスタッフへ「意識」が向いたことでいまや海外にも進出する着ぐるみメーカーに成長されています。スタッフが“豊かに働ける・暮らせる環境”が整ったことがその土台になっています。
KIGURUMI.BIZの代表・加納ひろみさんの取り組みは、本になっています。

「幸せな着ぐるみ工場 あたたかいキャラクターを生み続ける女子力の現場」(日本経済新聞出版社)が発売中です。さらに詳しいKIGURUMI.BIZの取り組みは、こちらでチェックしてみてください。