社員が満たされれば会社は伸びる!好循環を生み出す働き方

2019.05.22 00:00
J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で様々な企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。
1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。

4月22日~4月25日の放送では、横浜市にある「向洋電機土木株式会社」が取り組む「働き方改革」をご紹介しました。

「向洋電機土木株式会社」は、おもに電機設備の工事を担当する建設会社ですが、2009年から男性社員の育児休暇取得を推奨し、2010年度には「働きやすく子育てしやすい企業」として横浜市の「よこはまグッドバランス賞」を初受賞。
早い時期から「働き方改革」に取り組んでおり、つい最近も、経済産業省による「新・ダイバーシティ経営企業100選」の認定を受けています。

広報部・部長の横澤昌典さんによると、「働き方改革」に取り組み始めたのは2009年(実際にはその前年から準備を開始)。もともと介護や育児の支援を特別やっていた会社ではありませんでしたが、「そういった従業員がこれから増えるのを見越して取り組まなければ」という社長の考えでスタートしました。
横澤さん自身、前の会社を介護のために離職。その後、子供が生まれて介護と育児のダブルケアになりますが、そういう社員も働けるような会社/組織にしていかなければならない、という強い意志があったそうです。「その当時、制度自体はあったが、使える風土がなかった」と横澤さん。前職とはまったく違う業種に入った横澤さんが、当時、社長の言葉でいちばん心に刺さったのは「そういうことに困っている君が、働きやすい会社だなと思ってくれる会社になれば、これから入ってくる社員も、いまいる社員も、そういうことになったときに、気持ちよく元気に働けるようになると思うから、そういう会社にするために力を貸してくれ」という言葉。
その理想を実現するために自分の経験や力が使えれば、と思ったのがスタート地点だと語ります。リーダーの決意はやはり、大切なんですね。
2日目は、改革を推進してきた横澤さんご自身の体験を伺いました。
当時、おとうさんが余命宣告をうけており、急に体調が悪くなったりして、かなりフレキシブルな働き方をせざるを得なかったということ。「そんな状態で仕事をさせる酷い会社だ」という人もいたようですが、そんな中で、同僚にも家族にも迷惑をかけないように・・・そのバランスをどう取っていくか、かなり悩みながら仕事をしていたそうです。そんなときに救ってくれたのも、社長のひとことでした。「なぜ、そんなに、『申し訳ない』というのか? 昔はこんなツラいことがあったよね……と笑い話になるぐらいの制度を作ってくれよ」と言われ、「そんなに卑屈にならなくていいんだ」と思ったら、自分の心の余裕が生まれたとのこと。
「いまの目標は、社員たちが、介護、育児、病気などに関して罪悪感を持たずに働けるようにすること。それこそが健康経営では?」と語ります。
3日目は、いちばんのポイントとなったという「テレワーク」について伺いました。
横澤さんは、建設業でテレワークというと「え?」と思うかもしれないが、いま思い返すと「建設業こそテレワークが必要」だ、と強調します。
どういうことでしょう?
建設業は仕事の内容によって現場が変わります。ひとつの現場が終わればまた別の現場へと移動。また、図面やPCを持つので、必然的にクルマでの移動になります。なので、「移動」の時間が減らせれば削減できる時間がものすごく多くなるのでは?……と考え、ためしに「会社に戻って来なくて良い」という形態を試してみたところ、ものすごい量の労働時間とコストがカットできることがわかりました。全体で、なんと何十時間~何百時間単位で削減でき、カットしたコスト分を設備投資へ回すことができるようになったということです。良いサイクルがまわるようになったいまでは「もうこれなしではできない」ということですが、こうした改革も、IT機器の進化とともに、進んできたようです。
つまり、現場事務所は、ご飯を食べたり打合せするだけでなく、IT機器を揃えればサテライトオフィスになります。また、ノートパソコンがあれば、外でもメールを見たり会社のサーバーに入ったりと、会社に帰ってきてやらなければならない無駄な工程をなくすことができ、それだけ楽になります。こうして、IT機器の進歩とともに年ごとに「働き方改革」も進化してきました。

さて、現在、従業員は39名で、そのうち13名が女性だそうですが、女性の働き方についてはどうでしょうか?横澤さんは「女性で最初から建設業という人はなかなかいない。が、新たなチャンレジという気持ちで来ているので、さまざまなことに貪欲だ」と語ります。
ワークシェアリングとジョブローテーションで、さまざまな仕事ができるようにとやっているので、見積もり・請求書・設計をやっている人もいれば、工程管理をしている人もいる。例えば総務部・経理課に入ったからずーっとその部署、ということはなく、それによって、互いの仕事がカバーできているそうです。
最後に、建設業の今後の課題についても、うかがいました。
「建設業は最終的に体力と精神力が重要。なぜなら、夏の暑いとき・冬に寒いときの作業があるし、ケガをしないように集中力も必要。しかし、体力や精神量は、加齢とともに衰える。自分たちがその年齢になったとき、どうやって建設業、そして会社を盛り上げるか?が重要だ」と横澤さん。
現在、若い人のヘルメットにつけたウエラブルカメラで現場を写し、離れた場所にいる年配者がその画像を見ながらアドバイスする……といった実験を始めているとのこと。知識と経験をどう継承するか?が問題であり、それをうまく解決することによって、ベテランと若手がウィンウィンになれれば、と語ります。

今週のお話から導き出す「WORK SHIFTのヒント」は・・・『働き方改革で建設業を未来へ!』

知識と経験をどう継承するか……という、ほかの業種とも共通する課題が、建設業にもあります。その課題を打破するのが「働き方改革」なのかもしれません。