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最初はできる事から始めた。神風動画が持つポリシーとは
J-WAVE
2019.01.09 00:00
J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で様々な企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。

12月10日~12月13日の放送では、アニメ制作会社「神風動画」の働き方をご紹介しました。

代表取締役 水崎淳平さんによれば、「神風動画」は1998年、3人で個人事業としてスタート。
最初はおもにミュージックビデオやCMなどを手がけていましたが、2012年には『ジョジョの奇妙な冒険』のオープニングを制作。今年、初めてのテレビアニメ『ポプテピピック』や、劇場アニメーション『ニンジャバットマン』などを手がけて、大きな話題を集めています。

アニメ業界というと、どうしても「ブラックな働き方」というイメージがあるのですが、この「神風動画」では基本的に、勤務時間は午前10時から午後7時まで。徹夜はしないというのがポリシーだそうです。水崎さん曰く・・・
「アニメは<リレー形式>で作っていくので、後半の人への負担が大きくなっていく構造にあり、最初にかかった時間のしわ寄せが最後のスタッフにやってくる。全7工程の最後のほうの人がツラくなりがちで、また、“もったいない待ち時間”が発生するのが課題。」とのこと。
そんな中、「神風動画」は最初から、この課題に真っ向から取り組んでいました。
「工程の受け渡しの間のロスを減らすには、人数を減らすのがいいんじゃないか? 7工程を3人でできないか? というのが最初の発想だった。」と水崎さんは振り返ります。
3人だとテレビアニメはできませんが、ミュージックビデオやCMなら可能。
・・・というわけで、最初は3人でもできるタイプの仕事だけをもらっていくというやり方から始めて、そこから広げていったそうです。しかも、実はアニメよりもCMなどの方が予算が潤沢。
「潤沢な予算を少ない人数で割ると、ひとりひとりの給料はまっとうになっていくんです。」
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Tetsuya Hara (Tokyo Otaku Mode)
2日目はまず、午前10時から午後7時までという勤務時間をどのようにして維持しているのかをうかがいました。

「業界の相場の制作期間より、ひとまわりからふたまわり長めの期間を持っておくこと。スタッフが不足しないようにしておくこと。さらに、通過地点(チェックポイント)を厳しく見張ることが大事。また、遅れをどうやって吸収するかを考えておくのも重要。」とのこと。
いわば、危機を想定したリスクマネジメントが非常に大切、ということでしょうか。
そして水崎さんによれば、「外部の監督を入れないことも大切」。
「このスタジオの利益なんか知らない」ではなく、一緒に作っている仲間を守るのも監督の仕事だ、と語ります。
また、予定以上の作業が出てしまった場合、「ここはバッサリ切るので、代わりにここを盛り上げてほしい」という交換条件を監督が提案するという形をダイナミックに取るのも、他のスタジオと違う部分だとか。
「ここにこだわりたい」となったとき、「その代わりにどこを捨てるか?」をハッキリと言えることも大事で、バッサリ切ったことで映像的に良くなることもある、ということです。
さらに、「切ることはできない。盛り上げたほうが良い」というのがスタジオ内で満場一致の意見になった場合は、クライアントに、〆切延長をお願いしに行くこともあるそうです。
常に、こだわりと諦めとのせめぎあいと言えるでしょう。  
3日目は、このような勤務体系を維持するための「キモ」の部分とも言える<制作進行>を担当している、プロデューサーの佐竹加央林さんにうかがいました。

まずは、どのようにして「神風動画」に入社したのでしょうか? 
「たまたま見た神風動画の作品が素晴らしく、たまたま見たHPで社員を募集していたんです。今ではちょっと考えられないかもしれないのですが、当時の<制作進行>として必要な条件は、①字がきれい ②運転ができる ③テトリスが得意、という条件だけだったので・・・」と佐竹さんは笑います。
<制作進行>の仕事は、スケジュールの組み合わせがガチっとハマるとスムーズにいく。このへんがテトリスと通じるところかも、とも語ります。
実は、佐竹さんが入った当時は、出社時間が夕方4時で、終電まで仕事、という態勢でした。
<制作進行>として、スタッフがいないと進めるべきことも進められない…と、社長に相談。
皆がある程度揃ってないと仕事が進まないので、出社時間を12時にしてもらったとか。
そんな無秩序から、徐々に改善していったのだそうです。不都合な部分を社長に直に提言できる風通しの良さも特徴ですね。
当時から徹夜はなく終電まで、という形ではありましたが、働いている人が、結婚したり子供ができて生活環境が変わることで、現在の午前10時から午後7時まで、というスタイルに変わっていったそうです。
佐竹さんも子供がふたり。現在は、午前9時から午後4時半まで勤務しています。
生活環境の変化にフレキシブルに対応するという、会社としての意志の強さを感じます。
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最終日は、「社訓」の「妥協は死」という言葉についてうかがいました。

インパクトある社訓で、なんと、お客様に出す湯のみ茶碗にも彫ってあるのですが・・・この言葉の裏には、実は、水崎さんの「苦い思い出」があったのだそうです。
「10年ほど前、ミュージックビデオでキツかった1本があったんです。こだわりたい作品だったから手抜きはできない。そんな訳で納品が明け方になったんですが、1カットだけ、自分だけが気付く、データの状態が良くないカットがあったんです。が、悩んだ末、『皆が見えないならいいか』と、スルーしたのですが、その後、その作品をテレビなどで見るたびに心が痛くなって・・・」と水崎さん。疲れに負けて妥協してしまった、と反省し、「妥協したものには死ぬまで付き合わなければならない」と思ったのが、この言葉が生まれるきっかけだったそうです。
深く反省して自分用に紙に書いた「妥協は死」という言葉が次第に周りに知られるようになり、ついには「社訓」になってしまいました。
さて、水崎さん、アニメ業界の今後についてはどのように考えていらっしゃるのでしょう?
「目的は、①給料がしっかり払われる ②休みがしっかりとれる ③家族から応援される仕事をすること」ですが、業界全体としては、この状態からはまだまだ遠いようです。
ただ、「アニメ業界だからね」という言い訳には賛同できない。この会社があることで、「そうじゃない会社もある」と言い返せる勇気になればいい・・・と熱く語っていただきました。

今週のお話から導き出す「WORK SHIFTのヒント」は・・・『慎重、かつ大胆に!』

最初は、3人でできることから・・・という考え方でスタート。徹底的にリスクマネジメントをしたうえで、場合によっては、クライアントに締切延長をお願いする。
「慎重に、かつ大胆に」働くことで、業界全体を変える可能性が見えてきています。

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