好きな日に好きな時間だけ働く?!パプアニューギニア海産の「フリースケジュール」制度とは?

2018.09.12 00:00
J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で
様々な企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。

8月20日・月曜日~23日・木曜日の放送では、
株式会社 パプアニューギニア海産が取り組む働き方・業務改革についてご紹介しました。
代表1名、社員2人、そしてパート従業員16名というパプアニューギニア海産は、実現不可能とも思えそうな画期的な働き方を実践させている会社、その一つが、「事前連絡なしで、働きたい日に働きたいだけ働く」という、「フリースケジュール制度」なんです。
導入時には多くの反対を受けたという工場長で発案者の武藤北斗さんですが、
もともと、宮城県石巻市にあった工場が、東日本大震災で全壊。その後、大阪で再建し、
武藤さんが工場長に就任する際に、徹底的に従業員達から話を聞き、「働きやすさ」を追求した結果、生まれた制度なんだとか。
東日本大震災を経験し、人生にとって「生きるとは?」「働くとは?」というシンプルな疑問から生まれた働き方改革。パート従業員さんたちの声を聞く中で、「働きやすさは縛られない事」と学び、パートさん達は時給制度なため、面倒でストレスになるような「縛り」をすべて取り去っても問題がないことに気づいたそうなんです。
2日目の放送では、この「フリースケジュール制度」成功の秘密を伺いました。
パート社員は、働く時間が給与に比例することから、誰も出勤しない日はない、ということなんですが、それでも、この制度が成功している影には、徹底的に話し合う、という武藤さんの努力があったようです。
そして、話し合い、もらった意見や提案に関しては、実現可能、不可能にかかわらず、すべて答える!というのが武藤さんのルール。一方的ではなく、お互いが話し合い、考える姿勢で、信頼関係も築け、雇用側、そして働く側の両方が働きやすさについて真剣に考える時間になったそうなんです。
以前は、工場内に監視カメラまで設置して、管理することばかりを考えていたという武藤さんですが、話し合いの時間により職場から「疑い」や「争い」がなくなり、
そして「縛り」もなくなっていったといいます。
満足しあって、意見が言い合える現場。それが、この新しい働き方の成功に
つながっているようです。
3日目は、パプアニューギニア海産の新しい働き方、「嫌いな仕事はしない」という制度についてご紹介しました。
エビの加工の際に出てくる様々な工程。その中で出てくる好きな作業と、苦手な作業、そこで、工場長の武藤さんは、パート社員さんたちに、やりたくない作業にバツをしてもらい、その作業には絶対に関わらない、というシステムをとっているそうなんです。徹底的にストレスになりそうな要因を取り除き、働きやすさを追求した働き方改革。パート従業員は、どれにバツをつけるかを考えることで、改めて仕事について考え、「案外、この作業好きかも」と新たな発見につながったり、マネージメント側は、問題が見えてきたり・・・
バツをつけることで、新たな可能性が広がっていくようです。

次々と画期的な働き方を導入しているパプアニューギニア海産ですが、こういった制度を取り入れることにより、一人一人の仕事のクオリティや効率が上がり、人件費3割削減に成功。
SNSなどで募集をかけると、数多くの応募があり、
最近は700字の作文の提出を設けるようになっているそうです。
4日目は、工場長の武藤さんに新しい働き方を導入する秘訣を伺いました。
働き方改革をスタートさせて5年。その間、豪雨などの理由以外でパート社員が出社しなかった日は1日だけ、ということですが、その成功の秘訣は、会社の規模とは関係ないという武藤さん。規模の大きい会社は、それだけ多様な人々が集まっているからこそ、「フリースケジュール制度」なども実現可能なのではということですが、重要なのは、同じ制度を試すのではなく、それぞれの会社で、「上司」や「経営者」というプライドを捨てて、
「生き方」に繋がる「働きやすさ」について、本気で考えること。そうすれば、その会社にあった「働き方」が見えてくると言います。
ご自身も「縛るマネージメント」と「自由にするマネージメント」、その両方を試してみたからこそ、本当の「働きやすさ」に気づけたという武藤さん、今後は、こういった働き方で、働きたくても働けない人の雇用につなげていきたいと考えているそうですが、まさに人手不足が深刻なこの時代に、新たな働き手を発掘する手段にもなりそうです。

最後に、4日間に渡ってご紹介してきた株式会社 パプアニューギニア海産の取り組みから
番組が導き出した「WORK SHIFT」のヒントは、
『働き方改革の原点は、「どう生きたいか」を考えること』でした。
常識を超えた取り組みや実現不可能とも思える働き方を、
働き手の声を徹底的に聞くことで考え出し、そして、次々と試していく。
そんな作業から生まれたパプアニューギニア海産の新しい働き方。
「どう生きたいか」は、それぞれ違い、その多様性があるからこそ、
「縛らないマネージメント」や「自由で心地よい職場環境」が可能になるのかもしれません。
パプアニューギニア海産の働き方についてさらに詳しく知りたい方は、武藤さんの著書をご覧ください。