介護最前線の働き方改革・・・「あずみ苑」編

2018.07.18 00:00
J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で様々な企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。

6月25日~6月28日の放送では、さまざまな介護サービスを提供する「あずみ苑」の働きかたをご紹介しました。

「あずみ苑」はレオパレス21グループが運営する介護サービス。関東・中部エリアを中心に、「有料老人ホーム」「デイサービス・ショートステイ」「グループホーム」など、80以上の施設を運営しています。
介護施設というと、仕事がハードで人出が足りない・・・といったイメージがあるかもしれませんが、「あずみ苑」では、職員が働きやすい環境を作るために、いろいろな工夫をしています。
シルバー事業部・運営グループ統括責任者の伊佐友善さんによると、「利用者だけでなく職員にも<こころの元気>を!」ということで、2014年から「ワークライフバランス推進室」を設置。1日4時間からの短時間勤務や週2日のシフト、夜勤専門の勤務形態など多様な働き方を進めています。ダブルワークの方もいて、競合他社でつとめながら週末は「あずみ苑」で・・・という方までいるそうです。
また、職員向けの「サンクスカード」を導入しているのもユニーク。お客様の前だとどうしても、職員同士で「ありがとう」という瞬間がなく、ヨコのつながりが弱くなってしまいがち。実際に職員同士で会話ができるのは「申し送り」の時間ぐらいなのですが、そのときに口にできないことも多いので、文章にして残すことには意味があるということ。
「感謝の言葉」をしっかりと「文章にして残す」ということが、大事なんですね。
2日目はまず、スタッフの方々のワークライフバランスについてうかがいました。
「あずみ苑」では、100名ほどが利用できる大きな施設から、18名ほどの小さなものまでさまざまな施設を展開していますが、「デイサービス・ショートステイ」だと、平均して25名ぐらいのスタッフがつとめているとのこと。看護師、ドライバー、栄養士、介護士、マネージメントの管理職などのメンバーで構成されています。
職員の方々には、リフレッシュ休暇、育児期の短期間勤務、育児休業の特別延長措置などがあります。有休休暇の取得率は70%以上で、休職者へのサポートもあり、育児・介護の両立ガイドブックの作成・配布など、働き方について柔軟に考えてもらえるよう、会社から提案しているということです。
そして「あずみ苑」では、介護がハードになるのはどこに問題があるのか?をしっかり検証することで、さまざまな対策を取っています。たとえば未経験者が入社したとき、技術が伴わないので、どうしても短期間で離職しがち。技術がなくても介護ができる環境を・・・ということで、マッスルスーツを導入しました。
また、介護保険法にもとづく記録の数が膨大で、ペンで書くのは本当に大変だったそう。そこで、タブレットでの介護記録システムを導入し、スマホ感覚で記録をつけてそれを共有できるようにしました。以前は、紙に書いてハンコを押して・・・というシステムだったのが、記録業務を軽減することで、かなりの合理化に成功しています。
3日目は、IoTやロボットの活用についてうかがいました。
マッスルスーツやタブレットのほかにも、ベッド内に敷くだけで、寝ている人の睡眠の状況を検知する「離床ベッドセンサー」、指の静脈が鍵の代わりになる「静脈認証キー」など、IoT機器が使われているんですが、目玉のひとつといえるのが、介護ロボットの「PALRO(パルロ)」です。この「パルロ」の導入によって、どんな良いことが起こったのでしょうか?
実は、施設で職員が行うレクリエーション・・・これも相当な技術が必要なのだそうです。さまざまな世代に通じるものを提供しなければならないのですが、なかなか入りたての新人では思いつきません。たとえば、いまの70~80代はどんな歌が好きだったのか・・・?そこに「パルロ」を入れることで、AIがその世代向けの歌を選んでくれたり、体操をしてくれたり・・・。クイズもできるし、かわいくて動きがユニーク。みんなが魅了され、お客様に受け入れられているのだとか。「パルロ」と会話して、「この子、かわいいわね」と言う方もいるそうです。職員、とくに未経験者のフォローアップができる介護ロボットやIoT機器、というわけです。
そんな風にどんどん進化するIoTやロボットですが、最後に介護をするのは「人」。やはり人が状態を見て確認していかないと難しいのですが、ただ、スタッフの負担は必ず軽減できます。「必要な方に必要な介護ができる集中してできる環境」を導いてくれるわけです。
最終日はまず、介護最前線でのSNSの活用法について・・・。
意外に思われるかもしれませんが、現在「あずみ苑」では、ブログとフェイスブックで積極的に情報を発信しています。なぜなら、一般の方が介護施設の内務を見る機会はなかなかないから。レクリエーションやイベントを広報することで、「あずみ苑」がどういうアクティビティに取り組んでいるかを見てもらおうという意図があります。実際、とても良い反響があり、「いいね」の数も増えているとか。「こういう風に素敵な笑顔が見られるんですね」という言葉もいただいているそうです。
さて、介護業界もどんどん様変わりしているようなのですが、今後の課題はどんなところにあるのでしょうか?
伊佐さんによれば、環境が変わってきており、20年前は、介護をやりたい人が目指していたのが、いまは、介護がわからないままチャレンジしてくる人も多いとのこと。定年を迎えた元サラリーマンの方などもいます。それを支えるためには、IoTなどを導入したり、制度を整備することが必須。これからは「人材難」ですから、職員が本当に働きやすい環境を作ることを企業として取り組まなければならない、とおっしゃっていました。

そんなお話から導き出す「WORK SHIFTのヒント」は・・・『労働環境の整備で、介護も充実』。
超高齢化社会へむけて、これからますます重要度が増す介護業界・・・「人材難」を克服し、利用者にも職員にも<こころの元気>を提供するためには、労働環境の整備、IoTなどを使った効率的な働き方が必須のようです。