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倒産寸前だった老舗旅館が働き方改革で業績回復・・・「元湯 陣屋」編
J-WAVE
2018.05.16 00:00
J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で様々な企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。
1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。

4月23日〜4月26日の放送では、小田急線・鶴巻温泉にある老舗旅館「元湯 陣屋」の働きかた改革をシェアしました。

新宿から小田急線でおよそ1時間。かつては20軒ほどの温泉旅館が軒を連ねていた鶴巻温泉ですが、現在ではすっかり住宅街になってしまい、旅館は3軒ほどしか残っていません。中でも由緒ある「元湯 陣屋」は、大正7年創業(今年で100年)。囲碁や将棋のタイトル戦対局にも使われる旅館で客室は18部屋です。しかし、10年ほど前には多額の借金を抱え、倒産の危機に瀕していたそうです。そんなときにあとを継いだのが、自動車メーカーのエンジニアとして働いていた息子さんご夫婦。息子さんが社長、そして奥様が女将という立場になりました。その女将、宮崎知子さんによれば、当時は本当に、「改革を一度にやらなければ倒産する!」という状態だったとか。多くの人が働いていたものの、それぞれがひとつの仕事だけをして連携がなかったのも大きな問題で、まずは、働き方をマルチにして情報を共有しよう、というところからスタートしました。しかも当時は、「割引クーポン」などが流行り、稼働率を上げるために大幅割引をしていたそうです。そのせいで、「忙しさは変わらないのに、まったく儲からない」という状態。そこで掲げたのが「客単価を倍にする」という目標でした。そのためにまずは料理の質をアップしよう!と、「いろいろ研究したうえで2回試食会をしてプランをリリースする」ということを、毎月毎月3年半繰り返しました。そんな地道な努力が実って少しずつ業績があがってきたといいます。
2日目は、仕事のマルチ・タスク化の工夫をうかがいました。
目標にしたのは、ひとりがひとつの仕事だけをするのではなく、ひとりですべてのことができるようにしよう、ということ。でも、いきなりすべての部屋でそうするのは無理……ということで、いろいろな仕事をひとりでできる訓練の場として、「貴賓室」を作ろう!と提案したそうです。そのときに、かつて自動車メーカーにつとめていたご主人がスタッフに言った言葉は「F1やりませんか?」
自動車メーカーが「F1」に参戦するのはなぜか……?1年間過酷なレースに耐え抜くと、メーカーにはいろいろな情報が蓄積されます。それをもとに、量産型に落とし込んでいくことによって、新車の性能が少しずつ上がっていく。それが重要なのです。つまり、「貴賓室」=「F1」! 「貴賓室担当」を少しずつ増やしていくことによって、単価をあげていこうとしたのです。なるほど! ご主人、うまいこと言いますね!
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3日目に注目したのは、「IT改革」です。
2009年9月に引き継いだ息子さんご夫婦は、お料理のレベルアップやサービスの向上によって「客単価」を増やす努力をするのと同時に、それまで、手書きの台帳で予約を受けるなど、完全にアナログ世界だった「元湯 陣屋」に積極的にITを取り入れ始めます。まず始めたのはお客様の情報を蓄積しようという試みですが、それは「紙」との闘いでした。そしてその情報をデータベース化することが最初の難関でしたが、問題は、それを使える機会があまりないこと。「これをやっていて方向性は合っているのか?」と疑心暗鬼になっているスタッフに答えを提示できない期間がいちばん苦しかったそうです。やっと手ごたえを感じ始めたのは2年後でした。
一方で、引き継いでからおよそ3か月、2010年の1月からは自分たちのような小規模ホテルに合った、独自の管理システムを作り始めました。そんなときに、たまたまフロント係として、元システムエンジニアの方が応募……。その方の力を借りて構築したホテル・システム「陣屋コネクト」は、現在では、全国で250の施設にライセンス販売されています。これを使えば、ひと・もの・カネを一元管理。予約の管理だけでなく、会計、SNSとつながる機能、社内SNSなどを搭載している優れものです。
最終日には、さらなるユニークな改革についてうかがいました。
つぎつぎに打ち出した創意工夫やIT改革が功を奏して3年ほどで黒字を出すようになると、2014年2月から、なんと、火曜日と水曜日を「休館日」にしました。まわりの反対もあったようなんですが、女将の宮崎知子さんによれば、お客様からの手ごたえは感じるようになってきたものの、従業員満足度があがらなかったのが問題。「みんな疲れているので、休もう」ということだったそうです。「赤字にならなければいい」ぐらいの気持ちでしたが、幸い、システムができていたので、ある程度、試算ができたのが心強かったとか。いざやってみたら、休館日の認識が浸透して、休館日前後の稼働率があがってきたし、計画性をもっていろいろなことに当たれるようになり、チーム力がアップ。常にレギュラーメンバーで仕事ができるようになったのが良かったとおしゃっています。さらに現在では、独自のホテル・システム「陣屋コネクト」を使って、「陣屋EXPO(エクスポ)」という、ホテル同士の「相互扶助ネットワークサービス」を推進しています。ITだけでは解決できない、旅館単体ではどうにもならない問題がたくさんあるので、これをみんなで解決しようというのが目標。女将さんは、「正月・GW・お盆を除いて、日本全国を見れば、観光のトップピークはズレるはず。『陣屋コネクト』を使っているユーザー(ホテル)同士で、忙しいときに人材をシェアしてカバーしよう。それだけでなく、食材・備品・集客などでも協力しあえれば……」と、抱負を語っています。

そんなお話から導き出す「WORK SHIFTのヒント」は・・・『情報を共有して、たすけあって働こう!』
ITを導入して紙をなくすときもそうでしたが、重要なのは、情報を共有すること。情報の共有によって、互いの助け合いも生まれ、新しい働き方の方向性も見えてくるようです。