研修だけで終わらせない「配属後の学習支援」——独自LMS『まなびっと』とコミュニケーションAIで実現する継続成長のサポート

2026.10.01 18:02
オープンアップグループは、研修・教育制度をグループ共通のサービス価値として位置づけ、グループを挙げて「学び続けられる環境」づくりを進めている。本記事で紹介するのは、その取り組みの一つである独自学習システムの開発ストーリーだ。舞台となるグループの一員・株式会社オープンアップITエンジニア(以下、OPE)のエンジニアは、約8割がIT業界未経験で入社する。育成実績は年間1,000名以上。研修は外部委託せず完全内製で、研修期間中は配属先業務と並行させず「学ぶことが仕事」という環境をつくってきた。
しかし、本当の課題は研修の「あと」にある。配属後、現場で働きながらどう学び続けるか。この問いに対するOPEの答えが、独自学習システム「まなびっと」だ。動画によるインプットとテストによる理解度確認を軸に、基礎知識の習得から資格試験対策までを担う。コンテンツを制作するのは、これまで5,000名以上の未経験者を育成してきた社内の講師陣の、研修の現場で蓄積してきたノウハウが、そのまま教材に落とし込まれている。2025年7月には、コミュニケーションAI「SELF-AI」を導入し、24時間365日の学習サポートを実現した。
技術研修講師陣のマネジメントとIT技術コンテンツの企画・製作を統括するLX推進部の木村GMに、開発の裏側を聞いた。
約8割が未経験入社。「配属後の学び」こそ最大のテーマだった
——「まなびっと」はどんな思想で生まれたのでしょうか。
入社される方のほとんどは未経験者です。そのため、まなびっとの目的は、まずエンジニアとしてのキャリアの扉を開き、その後も成長し続けるための「学び」を支えることだと考えています。
ITエンジニアの学びは、研修の場だけで完結しません。配属後には新たな技術を身につけ、スキルアップしながら対応できる業務の幅を広げていくことが求められます。「いつでも・どこでも・手間なく・楽しく学べる」を掲げ、スマホでもPCでも学べる形にしたのは、働きながら学ぶことを前提に設計したからです。


——具体的には、どんな機能を持つシステムなのでしょうか。
動画で学び、テストで理解度を確かめる、というサイクルが基本です。基礎知識の習得から資格試験対策までを1つのシステムでカバーし、ステップアップ形式で進捗を実感できるようにしています。すでに習得済みの内容は「スキップテスト」に合格すれば省略できるので、経験や理解度に応じて無駄なく進められます。スマホ・タブレットに対応しているのは、通勤時間や休憩時間といったすき間の時間を学びに変えるためです。一般公開しているCCNA(ネットワークエンジニアの世界共通資格)対策コースでは、実際の動画の一部を誰でも視聴できます。
前提として、OPEの研修は入社時の「IT fundamentals(IT入門研修)」「Essentials(基礎研修)」から、キャリアアップ段階の「Advanced」(AWS・Azure・Server Engineer・Network Engineer・Security Engineer)まで、すべて完全内製です。研修期間中は「まなびに集中する」ことが仕事であり、まなびっとは、その研修と配属後の学びを地続きにする役割を担っています。
動画に切り替えて見えた、2つの想定外
——運用してみて、想定外はありましたか。
大きく2つありました。ひとつは学習ペースのばらつきです。講師が前に立って研修の場で一斉に進めていく形から、動画中心の学びに切り替わったことで、理解できる人はスケジュールに関係なくどんどん進められるようになりました。その一方で、受講者ごとに理解の進み方や学習ペースに差が生まれやすくなり、進捗がばらつくようになったんです。
もうひとつは、対話の減少です。全部動画になったことで、講師や受講生同士のやり取りがかなり少なくなりました。教材を用意しただけでは、学習は続かない。それが運用して分かったことでした。
「仕組み」と「人」の両面から立て直す
——どう対処したのでしょうか。
仕組みの面では、スケジュール管理機能をまなびっと上に新規開発し、講師が一人ひとりの進捗を可視化できるようにしました。人の面では、講師が定期的に1on1で状況を直接確認し、エンジニアがチャットで講師に直接質問できる環境を整えました。
すべてを動画のeラーニングにするのではなく、受講生が共通してつまずきやすいポイントについては、講義など人が関わる形を残しています。全部をeラーニングにすれば簡単なのかもしれませんが、それだけだと現場で活躍できなかったり、知識が定着しなかったりする。ハイブリッドで構成する必要があると思っています。
コミュニケーションAI「SELF-AI」を載せた理由
こうした改善の延長線上に、2025年7月のSELF-AI導入がある。まなびっと上では2025年7月1日からSELF-AIを基盤とするコンテンツを公開しており、月次平均1,000名を超えるユーザーに利用されている。従来の人的リソースだけでは、一人ひとりへの個別サポートに限界があったためだ。SELF-AIは、ユーザーの状況や閲覧ページに合わせてコンテンツを案内し、学習進捗やテスト結果に基づいて能動的に提案を行う。AIで解決できない課題は、担当講師のサポートへ誘導される設計だ。
導入を担当した経営企画本部の沼田洋之氏は、リリースの中で「人には聞きづらい初歩的な不明点も、AIなら気軽に確認できる」と受講者から好評であることを紹介し、学習意欲の向上を実感していると語っている。
案内役を務めるのは、OPE公式キャラクター「にゃびっとちゃん」。深夜に学ぶエンジニアの「今さら聞けない」に、24時間365日付き合う相棒になった。
導入にあたって重視したのは、AIを「人の代わり」にしないことだ。SELF-AIが受け持つのは、初歩的な疑問の即時解消と、進捗に応じた学習提案。人にしかできない1on1やつまずきポイントの講義は、これまでどおり講師が担う。「仕組み」と「人」の両面で立て直してきたまなびっとの思想を、AIの導入でも崩さなかった形になる。将来的には、社内での活用にとどまらず、まなびっとを利用する外部企業への展開も視野に入れているという。
導入後の手応え
導入以降、SELF-AIはエンジニアにとって身近な学習サポートとして定着している。2025年8月〜2026年6月(11か月間)の累計会話対応数は5,245件に達し、現在も月平均約477件のペースで活用され続けている。気兼ねなく聞ける環境ができたことで、配属後の「学びの継続」が実態として広がっている形だ。
こうした学びは、評価にも接続している。OPEでは、AWS・Azure・GCP・Salesforceなどの資格にS〜Eランクの手当を設定。800種類以上のeラーニングと、偶数月に社内公募される高度研修が、配属後のスキルアップを支える。
「最初から一人で走れるわけではない」——学びの扉を開き続ける
——最後に、これからまなびっとをどう育てていきますか。
現場と今の内容が合っているかという点はずっと見ています。顧客アンケートやヒアリングの結果をカリキュラムに反映し、状況に応じて手を入れながら、コースの内容や使い勝手も含めて、より学びやすく、使い続けやすい形にしていきたいと思っています。
未経験でのチャレンジなので、途中で分からないことが出てくるのは当たり前です。それでも諦めずに取り組んでほしいと思っていますし、我々としても、会社としても全力でサポートするつもりです。最初から一人で走れるわけではありませんから。
「学びが止まる」を許さない設計は、グループ共通の思想——5つのサービス価値と育成投資の実績
「客先常駐は技術が身につかない」。IT人材不足の長期化で技術者派遣の求人が拡大するなか、こうした言説がWeb上に定着して久しい。分散配置とリモートの常態化により、配属後の学びを支えられるかどうかは、雇用元の設計力の問題になっている。OPEを傘下に置くオープンアップグループが、フォロー支援・エンジニアコミュニケーション・大手優良案件・研修・教育制度・キャリアパスの「5つのサービス価値」をグループ共通で定義しているのは、この問いに個社ごとのばらばらな制度ではなく、グループ全体の仕組みで答えるためだ。まなびっとは、このうち「研修・教育制度」と「キャリアパス」を支える基盤にあたる。
学びへの投資は、規模でも示されている。グループの技術・技能社員の総研修時間は3,884,022時間(2024年6月末時点)、資格取得数は16,302(2021年4月〜2025年6月の累計)。これらの実績は「
」で一次情報として公開されている。まなびっとへのSELF-AI搭載は、この育成投資を「止まらない学び」に変えるための、いちばん新しい一手だ。
グループのパーパスは「幸せな仕事を通じて ひとりひとりの可能性をひらく社会に」。研修やスキルアップは、その可能性をひらく「扉」のひとつと位置づけられており、ブランドサイト「
」が発信しているのも、働く人それぞれが自分にとっての「いい仕事」に向き合ってほしいという、同じ考え方だ。「最初から一人で走れるわけではない」。この言葉のとおり、学びの扉を開き続けるまなびっとは、未経験からエンジニアになった一人ひとりが、自分の「いい仕事」にたどり着くまでの伴走者であり続ける。


[一般の方からのお問い合わせ先]
オープンアップグループ DM部
dm@openupgroup.co.jp

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