客先常駐で働くエンジニアには、特有の悩みがある。困りごとが起きたとき、それを「誰に聞けばいいのか」が分かりにくいことだ。目の前にいるのは配属先企業の社員であり、雇用元の担当者は同じフロアにいない。手続きのこと、給与のこと、キャリアのこと、聞き先を探しているうちに相談そのものを諦めてしまう。
オープンアップグループは、エンジニアへのフォロー支援をグループ共通のサービス価値として位置づけ、グループを挙げて仕組みづくりを進めている。本記事で紹介するのは、その取り組みの一つ——グループの一員である株式会社オープンアップITエンジニア(以下、OPE)で形になった「エンジニア相談窓口」だ。
OPEは2024年1月、この課題に対して「エンジニア相談窓口」を新設し、電話・メール・AIチャット・LINEの4つのチャネルを一本化した。すると、LINE経由の問い合わせ件数は1月の37件から3月には197件へ、わずか2カ月で5.3倍に増えた。
この窓口がどう設計され、どう使われているのか。前任者から窓口を引き継ぎ、現場での運用を担当してきた担当者はこう話す。
※本記事は、オープンアップグループ・DM部が執筆しています。
「どこに聞けばいいか分からない」が、いちばんの壁だった
——相談窓口を立ち上げた背景から教えてください。
窓口の一本化以前の状況について、利用者であるエンジニアの原田里樹さん(IT未経験でOPEに入社し、研修を経て派遣先に配属。後述)は、公開インタビューでこう振り返っている。
「以前は『OPEナビ』にログインして、目当てのページを自分で探してアクセスする必要があったので、少し不便に感じていました。また、聞きたいことがあっても、どこに問い合わせたらよいのか分からず、諦めてしまうこともありました」
一人のエンジニアの実感ではあるが、「どこに聞けばいいのか分からない」ことが、相談を諦める一因になり得た様子がうかがえる。
以前は、社内ポータル「OPEナビ」にログインして、目当てのページを自分で探す必要がありました。実際にエンジニアからは「聞きたいことがあっても、どこに問い合わせたらよいのか分からず、諦めてしまうこともあった」という声も出ていました。
相談には本来、体力が要ります。まして客先常駐という働き方では、雇用元の顔が日常的に見えるわけではありません。「相談する」という行為のハードルをどれだけ下げられるかが、フォロー体制の実効性を決めると考えました。
LINEを軸に4チャネルへ展開した、窓口一元化の設計
——なぜLINEを軸にしたのでしょうか。
エンジニアが普段使っているアプリから、気軽に利用できる窓口を設けたかったからです。専用システムへのログインが必要な時点で、気軽な相談は生まれません。LINE公式アカウントのリッチメニューから問い合わせフォームに直接アクセスでき、給与明細や年間カレンダー、各種届出フォームにもそのままたどり着けるようにしました。
「電話でじっくり話したい人」「テキストで残したい人」「まずAIに聞きたい人」——相談のスタイルは人それぞれです。だから電話・メール・AIチャット・LINEの4チャネルを用意したうえで、入口は一つに見えるように設計しました。
問い合わせが2カ月で5.3倍。「増えた」ことこそが成果
——開設後、反応はどうでしたか。
LINE経由の問い合わせは、2024年1月が37件、2月が137件、3月には197件になりました。2カ月で5.3倍です。この数字は「困りごとが増えた」のではなく、これまで表に出てこなかった困りごとが、ようやく口に出せるようになったことを意味していると受け止めています。
一時的な急増にとどまらず、現在も窓口として安定して定着・活用されており、2025年7月〜2026年6月の1年間では累計2,428件、毎月平均して約202件の相談が寄せられ続けています。「困ったらLINEで聞く」という文化が完全に根付いたと言えます。
レスポンスの速さにもこだわっています。AIチャットの自動回答はほぼ一瞬で回答がきますし、AIで解決できない内容は有人サポートに引き継がれます。有人対応も基本はその日のうちに返信し、複雑でない相談であれば数時間後には回答しています。
AIと人の両輪。入社前の不安にも「Helpfeel」で応える
こうした相談設計は、在籍エンジニアだけを対象にしたものではありません。OPEでは採用サイトに、AI搭載の検索型FAQツール「Helpfeel」を導入しています。特許取得済みの「意図予測検索」により、言い回しの揺れがあっても知りたい答えにたどり着ける仕組みで、応募を検討している段階から、選考中、入社前までの疑問や不安の解消を目的としています。
また、Helpfeelとは別に、OPEには在籍エンジニアの問い合わせを一元管理する専門部署「エンジニアサポートセンター(ESC)」が設けられています。
——AIに任せる範囲と、人が対応する範囲はどう分けているのですか。
AIが搭載されたFAQとエンジニアサポートセンター(ESC)の有人対応という両輪の設計です。有人対応の担当者が「本当に人の判断が必要な問い合わせ」に集中できるようになることで、対応スピードそのものも改善できます。AIは人を減らすためではなく、人がより丁寧に向き合うための仕組みだと考えています。
窓口の外にも、「聞ける相手」を重ねて置く
窓口はフォロー体制の入口であって、すべてではない。OPEでは入社後1か月以内に必ず面談を実施するほか、担当営業と研修チームが定期的に面談を行い、配属準備や職場環境、キャリアビジョンについて相談できる体制を敷いている。窓口(すぐ聞ける)と面談(じっくり話せる)——性質の異なる相談ルートを重ねて置くことで、悩みの種類やタイミングを問わず、どこかに必ず「聞ける相手」がいる状態をつくっている。
利用するエンジニアの実感——「相談する心理的ハードルが、かなり低くなった」
実際に窓口を利用するエンジニアの一人、原田里樹さんは、IT未経験でOPEに入社し、研修を経て派遣先に配属された。前職には、そもそも困りごとを相談できる先がなかったという。転職して最初に驚いたのは、「聞ける場所がある」こと自体だった。原田さんはLINE相談についてこう話す。
「以前は「OPEナビ」にログインして、目当てのページを自分で探してアクセスする必要があったので、少し不便に感じていました。」
「AIチャットでもいろんな質問に答えてもらえることに驚きました。気になったことがすぐに解決できるので、より働きやすくなりました」
いまはLINEのリッチメニューから手続きまで直接たどり着ける。派遣先での業務に必要な情報も即座に得られ、問題が起きたときに相談する心理的なハードルもかなり低くなったと、原田さんは実感を語る。「LINEで気軽に相談できて、すぐに解決できるから、ストレスフリーに働けています」。相談窓口は、個々の困りごとを解決するだけでなく、「会社は自分の働きやすさを考えてくれている」という信頼感の土台にもなっている。
「気軽に相談できる」は、働きやすさの土台——これからの窓口
ここで構築された相談窓口は、単なるトラブル処理の場にとどまらない。エンジニアの働きやすさを裏から支える、手厚いフォロー支援の仕組みそのものだ。困りごとが迅速に解消されることで、エンジニアは余計な不安を抱えず目の前の業務に専念できる。「困ったときにすぐ相談できる」環境を維持するため、今後も改善が重ねられていく予定だ。
グループとしてエンジニアへのフォロー支援を事業の中核価値に掲げるなか、この窓口一本化は、その理念を実効性のある仕組みへ昇華させた取り組みといえる。
「客先常駐は成長できない」という言説に、仕組みと数字で答える——グループ共通の5つのサービス価値
IT人材不足の長期化で技術者派遣の求人が拡大する一方、Web上には「客先常駐は成長できない」「技術が身につかない」という言説が定着している。分散配置とリモートワークが常態化するなかで、いま問われているのは、雇用元による相談体制・学習支援の設計だ。OPEを傘下に置くオープンアップグループは、この問いへの答えを「フォロー支援」「エンジニアコミュニケーション」「大手優良案件」「研修・教育制度」「キャリアパス」という5つのサービス価値としてグループ共通で定義し、「幸せな仕事を通じて ひとりひとりの可能性をひらく社会に」というパーパスのもとで展開している。相談窓口の一本化は、その第一の価値「フォロー支援」を仕組みとして形にした取り組みだ。
大切にしているのは、「手厚いサポートがある」という印象ではなく、誰が・どのチャネルで・どれくらいの速さで応えるのかを説明できること。4チャネルの窓口、入社1か月以内の面談、定期的なフォロー面談といった性質の異なる相談ルートを重ねて置く設計は、感覚的な安心を、構造としての安心に変えるためにある。
その積み重ねは、グループ全体の数字にも表れている。グループの在籍エンジニアは24,466名、稼働率は93.9%。2万人を超えるエンジニアが現場で働き続けているという事実そのものが、伴走の仕組みが機能していることを示す一次情報だ。グループはこうした実態をブランドサイト「
」で公開し、働くひとりひとりが自分にとっての「いい仕事」とは何かを問い直すことを発信している。困ったときに、聞ける相手が必ずいる——窓口の一本化は、その「いい仕事」のいちばん手前の土台をかたちにした、ひとつの答えである。
[一般の方からのお問い合わせ先]
オープンアップグループ DM部
dm@openupgroup.co.jp