適正飲酒を実現する“飲みづらい”グラス「ゆっくりビアグラス」の開発ストーリー

2025.06.20 11:00
「よなよなエール」などのクラフトビールを製造・販売する株式会社ヤッホーブルーイングと申します。


ヤッホーブルーイングは企業ミッションに「ビールに味を!人生に幸せを!」、価値観の1つに「顧客は友人」を掲げており、ビールを購入してくださるファンの皆さまのささやかな幸せを願い日々活動しています。また、事業ドメインを「ビールを中心としたエンターテイメント事業」と定義して、ビールの味だけでなくビールを通じた楽しさも含めてファンの皆さまに喜んでいただけることを目指しています。


私たちは2024年7月16日に、適正飲酒を実現する“飲みづらい”グラス「ゆっくりビアグラス」を発表しました。クラフトビールを製造・販売する私たちがなぜあえてビールが飲みづらいグラスを開発するに至ったのか。今回はそんな裏側をご紹介します。
手探りの状態で開発スタート 厚労省「飲酒ガイドライン」が後押し
私たちのミッション「ビールに味を!人生に幸せを!」の精神に基づき、お酒好き・ビール好きな人に健康で末永くビールを楽しんでほしいという想いで、「ゆっくりビアグラス」の開発以前より「適正飲酒」に取り組んでいました。具体的には、「酔わずに心を満たせる」をコンセプトにした0.7%の微アルコール飲料「正気のサタン」開発や、お酒に強くない人向けのイベント開催、サブスクリプションの年間契約を廃止しお客様が飲酒量を自由に調節できる状態へリニューアルなどです。


ウェルビーイングな活動を継続していく中で、楽しく適正飲酒を実現できる「飲みづらいグラス」はどうかとアイデアが生まれました。社内スタッフを含めビール愛飲者の中には、ついついハイペースで飲み過ぎてしまい、翌日に後悔するといった声も聞かれます。中には医者に減酒を勧められた人も……。できるだけ健康な体で、長く美味しくお酒を楽しみたい。我慢せずに楽しく減酒できるようにするには「グラス」でアプローチできるのではないか。手探りの状態で開発がスタートしました。


開発に着手しはじめた約1か月後に「飲みづらいグラス」開発を後押しする出来事が起こります。2024年2月に厚生労働省から「飲酒ガイドライン」が公表されたのです。適正飲酒の必要性の高まりを受け、お酒を製造する企業として真っ当に適正飲酒に関して取り組むことは大前提として、ヤッホーブルーイングらしく楽しくカジュアルに適正飲酒を実現したい。そのために「飲みづらいグラス」を開発する意義があると確信しました。
具体案は約30種類!こだわったのは「理想の飲みづらさ」と「クラフトビールを美味しく飲める」こと
「飲みづらいグラス」というテーマは早期に決まっていたものの、その「飲みづらさ」の表現度合いに苦戦しました。単純に飲みづらすぎるグラスでは、飲み手にストレスを与えてしまいます。かといって多少飲みやすくなると、適正飲酒を促すという目的が達成できません。「重すぎて飲みづらいグラスはどうか?」「形が複雑で飲みにくいグラスは?」「センサーを搭載して手から離れていくのは?」など約30種類の様々なアイデアが出されました。


また、単に「飲みづらい」だけでなく、ヤッホーブルーイングのビールをより美味しく味わえるように、香りや風味の広がりも考慮する必要がありました。私たちがつくるクラフトビールは全て「エールビール」で、色や香り、味わいをゆっくりと楽しむことができるビールです。エールビールをつくるメーカーだからこそ、ビールの美味しさは損ないたくない。


「理想の飲みづらさ」と「クラフトビールを美味しく飲める」ことを追求した結果、砂時計をモチーフにした独特のくびれのある形状に決定しました。くびれの太さもミリ単位で調整した6種類の試作グラスで飲み比べを行い、満場一致で6㎜の太さに決定しました。
この「ミリ単位」の調整が機械では難しく、日本初のガラス専門の芸術・工芸・造形技術の教育機関である東京ガラス工芸研究所にご協力いただき、ガラス職人2名による手作業での製作となりました。1日に最大5つしか作れないほどの繊細なつくりです。
※現在はガラスの素材と製造方法を変更し、職人1名が一部手作業で制作しているため量産が可能になっています。
肝臓専門医との運命的な出会い
「飲みづらさの黄金比『太さ6mm』」。理想の飲みづらさを実現するグラスの完成にたどり着いた私たちは、ある疑問に直面しました。「お酒をゆっくり飲むことは、本当に体にとって良いことなのだろうか?」ビールづくりの専門家ではありますが、人体の専門知識を持つわけではありません。正直なところ、自信を持てずにいました。


医学的な専門知識を持つ方から、「ゆっくり飲むことの効用」について確かな見解をいただきたい。そう考えていた矢先、思わぬご縁が舞い込みます。地元のFM佐久平のとある番組から取材依頼が届いたのです。なんとその番組のパーソナリティは、私たちが醸造所を構える長野県佐久平市内で、肝臓専門医としてご活躍されている尾形哲先生でした。
尾形哲先生プロフィール
1970年生まれ。肝臓専門医。医学博士。長野県佐久市立国保浅間総合病院外科部長、同院「スマート外来」担当医。一般社団法人日本NASH研究所代表理事。2017年スタートの「スマート外来」は肥満解消と脂肪肝・糖尿病改善のための専門外来。著書に『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術』、『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす7日間実践レシピ』『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(いずれもKADOKAWA)などがある。


「このタイミングでの出会いは、まさに運命だ!」私たちは確信しました。先生ご本人による取材が終わるやいなや、熱い思いを伝えました。「先生!私たちはゆっくり飲むことを広めるために、あえて“飲みづらいグラス”を開発しました。お酒をゆっくり飲むことは、肝臓にとって良い作用があるものでしょうか?ぜひ医学的な観点からレビューしていただけないでしょうか。」


すると尾形先生は、私たちの問いに二つ返事で快諾してくださいました。「面白い取り組みですね。お酒をゆっくり飲むことは、肝臓にとって良いことですよ。論文も参照してレビューしましょう。」この瞬間、私たちは「飲みづらいグラス」を通じて、「お酒をゆっくり飲む」文化を啓発していく活動に、心の底から意義と確信を持つことができたのです。
独自調査の結果見えたこと:「飲酒ガイドライン」を8割近くが知らない/酒を飲みすぎてしまう理由の主な原因は「飲むペース」
適正飲酒について、世の中の人々はどう感じているのか。2024年7月、20歳~69歳の日本人1,099人を対象に「適正飲酒に関する意識調査」を行いました。
2024年2月に厚生労働省が公表した「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」について、「知っている」と回答した人は全体の21.0%に留まりました。お酒を飲む人に限定しても23.4%と低く、飲酒ガイドラインに関する情報発信・啓発活動の必要性が示唆されました。
お酒を飲む人のうち、外食で約6割、自宅で約4割が飲み過ぎてしまった経験があると回答しています。飲み過ぎてしまう理由としては、「人と一緒に飲むと、ついつい飲むペースが上がってしまう」 (1位)「すぐに飲み干してしまう」 (3位)が挙げられています。 これらの結果から、「飲むペース」が飲み過ぎの大きな原因であることが明らかになりました。
普段お酒を飲んでいる人のうち35.2%が「飲酒量を減らしたい」と回答しており、適正な飲酒量のために「意識してゆっくりと飲む」人が15.5%いることが分かりました。
さらに、試作した「ゆっくりビアグラス」を16名に体験してもらったところ、93.8%(15名)が「飲みづらい」と回答しました。体験者からは以下のような前向きな感想も得られています。
「ゆっくり飲んだから、アルコールが回るのが遅かった。この飲む速度が適正なのかもしれない。」
「ずっとちょびちょび飲めるから飲み過ぎなくていい。少量で満足感を得られる。」
「今日、お酒セーブしたいときにちょうどいい。」 


これらの調査結果から、多くの人が適正飲酒への意識を持ちつつも、そのための情報や具体的な方法を知らないこと、そして「飲むペース」が飲み過ぎの一因となっていることを把握しました。そして「飲みづらいグラス」というアプローチが、楽しく適正飲酒を促す有効な手段となりうるという確証を得ました。


▼詳細はこちら(2024年7月16日発信のニュースリリース)
限定10個の抽選販売に2,750件以上の応募が殺到!海外メディアでも紹介/好評を受けグラスを量産化
「飲みづらいグラス」の構想から約半年後の2024年7月16日に、適正飲酒を実現する“飲みづらい”グラス「ゆっくりビアグラス」を発表しました。国内のテレビや新聞に留まらず、アメリカやロシア、イタリアやドイツなど7か国以上の国でも紹介していただきました。


また、リリース発表と同時に限定10個を9,800円(税込)で抽選販売を行ったところ、予想をはるかに上回る2,750件の応募が殺到!企画担当者たちにとって想像以上の反響でした。


その後、好評の声に応えるべくグラスの生産方法を見直すことで量産体制を整え、2024年11月8日より公式通販サイトでの通年販売を開始。こちらも初回生産分は約9時間で完売とご好評いただきました。


▼第一弾の「ゆっくりビアグラス」は職人2名による火吹き・手びねりで生産していたため、1日に製造できるのは最大5個ほどでした。
▼第二弾の「ゆっくりビアグラス」は、製作方法や素材を変更することでグラスの量産を実現しました。しかし理想のくびれをつくるためには職人による一部手作業が発生するため、大量生産はできません。丁寧に一つずつ生産しています。
現在、公式通販サイトでは先行販売の予約を受け付けており、お届けの準備が整い次第順次ご案内をしています。2025年6月12日時点での累計予約数は約1500件です。


公式通販サイト「よなよなの里」:
公式ビアレストラン「YONA YONA BEER WORKS」4店舗でいつでも体験可能
リリース発表の2024年7月16日から公式ビアレストラン「YONA YONA BEER WORKS」一部店舗で「ゆっくりビアグラス & よなよなエール(350ml缶)セット」の期間限定提供を行いました。こちらも大変ご好評いただき、提供期間を複数回延長しました。その後、「“飲みづらい”グラス『ゆっくりビアグラス』を通じて、より多くの方に楽しくカジュアルな適正飲酒実現を体験してほしい」という想いから、2025年4月より提供店舗を拡大しました。現在は新虎通り店・吉祥寺店・神田店・恵比寿店の4店舗で定常メニューとして提供しています。


YONA YONA BEER WORKS 店舗情報:
全国の飲食店50店舗へ「ゆっくりビアグラス」を無料提供
飲食店様より店舗でも取り扱いたいというお問い合わせを複数いただいていた背景もあり、グラスの量産体制が整った2024年11月に、全国の飲食店向けに「ゆっくりビアグラス」提供店舗の募集を行いました。北は北海道から南は鹿児島県まで広く申し込みいただきました。ご応募いただいた中から、「ゆっくりビアグラスで適正飲酒を楽しく広げたい!」という熱い思いを持っている飲食店50店舗を選出し、各店にゆっくりビアグラス2個を無料提供しました。


提供店舗一覧のGoogleMapはこちら:
※「2024年12月いっぱいは『ゆっくりビアグラス』を提供すること」を条件に無料提供しました。現在も提供しているかは各店舗にお問い合わせください。
「ゆっくりビアグラス」を知った約77%のお酒飲用者が認識や行動に変化あり
ゆっくりビアグラス」を知った人の認識や行動にどのような変化があったのか。2024年11月に1,095人を対象に「忘年会と飲酒に関するアンケート」を行いました。
お酒飲用者の中で「ゆっくりビアグラス」を認知していると回答した94人に「ゆっくりビアグラスを知ったことで認識や行動の変化があったか」を聞いたところ、約77%の人が何かしらの認識や行動に変化があったと回答しました。1位が「お酒の飲み過ぎには気をつけようと思った」、2位が「お酒はゆっくり飲むようにしようと思った」、3位が「お酒をゆっくり飲むようになった」という結果になりました。調査結果により、「ゆっくりビアグラス」が適正飲酒に関する意識を一定高めていることが伺えました。
今後も飲み手の健康やウェルビーイングに配慮した製品やサービスを強化
ゆっくりビアグラスを知った方から「ビールメーカーが飲酒量を減らすような取り組みをして、ビジネスとして成り立つのか。」と問われることがあります。それに対する回答は「大丈夫です。なぜならば、末永く飲んでいただくことを想定しているから。」です。


お酒を製造・販売するメーカーとして健康に配慮した飲酒を啓発していく責任があります。もちろん大量に飲んでいただくと短期的な売上にはつながりますが、持続性がありません。お客さまに無理なく末永くお酒を楽しんでいただくことで、人生を通してお付き合いをいただく方がプラスであると考えています。


そして世界的にも「適正飲酒」という大きな流れがある中で、これからの飲酒習慣は量より質にフォーカスされていくと考えます。私たちのつくる「エールビール」は香りや味わいが豊かで、ゆっくりと時間をかけて楽しむことでその魅力が最大限に引き出されます、「ゆっくりビアグラス」によって飲酒体験の質が向上するというメリットもあるのです。


今後もヤッホーブルーイングは、「とりあえずビール」から「自分の好きなビールを選んで楽しめる文化」を広めるべく、個性豊かなクラフトビールを開発していくと同時に、適正飲酒を実現する“飲みづらい”グラス「ゆっくりビアグラス」やAlc.0.7%の微アルコール飲料「正気のサタン」のように、飲み手の健康やウェルビーイングに配慮した製品やサービスの開発・提供を強化してまります。

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