株式会社文藝春秋
「誰かが死ななきゃ分かんないの?」 禁断のテーマは「週刊誌の罪 × SNSの罰」
株式会社文藝春秋(本社:東京都千代田区 社長:飯窪成幸)から5月27日(火)に刊行された、現代を代表する社会派作家・塩田武士さんによる最新長篇『踊りつかれて』が、第173回直木三十五賞の候補作にノミネートされました。
本作のテーマは「週刊誌の罪 × SNSの罰」。
発売前から各メディアのインタビュー申し込みが殺到し、全国の書店員さんからの応援メッセージも続々届いているなかでの、今回の選出となりました。
塩田さんご自身も「作家人生の節目となるような大切な作品」と思い入れのある本作に、ますます注目が集まります。
第173回直木賞の選考会は7月16日に都内で行われます。
■直木賞候補作ノミネートにあたって、著者・塩田武士さんからのことば
不確かでネガティブな情報が、私たちの生活に影響を与え過ぎています。ここ数年、ネット社会に息苦しさを覚えていた私は、日々胸の内に生じる違和感や苛立ち、疑問をメモし続けてきました。その中で芽生えたのは、質感のない世界で数多く発生している誹謗中傷によって、亡くなる人が増えるのではないかという危惧です。
今書くべき小説とは何か――構想と取材に時間をかけ、徹底的に「人」と「社会」を描きました。
『踊りつかれて』は作家人生の節目となるような大切な作品です。今回、本作が直木賞の候補になったことは大きな喜びです。読者の方々、創作にご協力いただいた皆様に心から感謝申し上げます。
■『踊りつかれて』あらすじ
言葉が異次元の暴力になるこの時代。
不倫を報じられ、SNSで苛烈な誹謗中傷を受けた
人気お笑い芸人・天童ショージは自ら死を選んだ。
一方、バブル期の華やかなりし芸能界を駆け抜けた
伝説の歌姫・奥田美月は写真週刊誌のデタラメに踊らされ、
人前から姿を消した。
彼らが目にした絶望、それは――。
■『踊りつかれて』<序章 宣戦布告>から一部公開
よく聞け、匿名性で武装した卑怯者ども。
SNSなんてなくなればいいのにな。えっ、ダメ? 余計なこと言うなって? そうだよなぁ。やっとおまえら権力者になれたもんな。炎上させて誰かが何かを諦めたときに、社会を変えてやったと実感できるもんな。そうやって表面的な正義感で研いだナイフで、悪意の塊でつくった毒で世直ししてるもんな。
やっぱり俺は週刊誌とおまえたちを赦せない。
だからやってやるよ。俺には俺の、ケジメのつけ方ってもんがあるんだよ。
これから重罪認定した八十三人の氏名、年齢、住所、会社、学校、判明した個人情報の全てを公開していく。
八十三なんて数字は氷山の一角に過ぎない。だが、図に乗ってると、次はおまえの番になるから肝に銘じておけ。
明日にはおまえたちの人生はめちゃくちゃになっている。
せめて今日を楽しめ。あばよ。
▼『踊りつかれて』<序章 宣戦布告> 全文公開中!
「誰かが死ななきゃ分かんないの?」――『週刊文春』連載時から話題沸騰! 『罪の声』や『存在のすべてを』の塩田武士さん最新作『踊りつかれて』より、衝撃の序章〈宣戦布告〉を大公開!
■塩田さんはなぜ「誹謗中傷」をテーマに週刊文春で連載するに至ったのか?
執筆にまつわる秘話も公開中です!
▼動画『文藝春秋 PLUS』
【塩田武士が描く週刊誌の罪とSNSの罰】「文春から依頼がきたらこれを書くと決めていた」|神戸新聞記者として当時目撃した"週刊誌報道"|SNSから途中下車し、"良質な孤独"を得る大切さとは
▼『文春オンライン』
「誹謗中傷をテーマに週刊文春で連載したい!」社会派作家・塩田武士の最新長篇『踊りつかれて』出版秘話〈週刊誌の罪×SNSの罰〉
▼ポッドキャスト『本の話』
[前編]
【著者が語る】社会派作家・塩田武士さんの最新長編『踊りつかれて』は、「週刊文春」連載で堂々の週刊誌批判!?
[後編]
【著者が語る】芸能人のプライバシー、音楽番組全盛期のテレビ…塩田武士さんの最新長編『踊りつかれて』取材&執筆秘話。
■発売前から各メディアも大注目!
・5/27【インタビュー】日経新聞〈塩田武士、新作小説で「人はSNS使いこなせていない」〉
・6/2【インタビュー】スポーツ報知〈情報被害あふれる現代社会へ「ブレーキが必要やな」社会派作家・塩田武士さん「週刊誌批判」意欲作〉
・6/6【インタビュー】「ダ・ヴィンチ」(7月号)「Book Mark EX of This Month」〈社会に存在する問題を共有して話し合うきっかけとなる作品を〉
・6/6【インタビュー】「週刊ポスト」(6月20日号)「著者に訊け!」〈自分ひとりの考えなんて知れているからこそプロや経験者の実の凄みを大事にしたい〉
・6/8【インタビュー】北海道新聞〈<訪問>「踊りつかれて」を書いた塩田武士さん SNSや週刊誌の闇 小説で問う〉
・6/8【インタビュー】京都新聞「本を語る」〈情報の銃弾 翻弄される〉
・6/9【インタビュー】毎日新聞〈作家・塩田武士さん新作はSNSの手荒な説明書 「文春」連載秘話〉
・6/9【インタビュー】週刊現代(6月23日号)「書いたのは私です」〈「匿名」の安心感に踊らされ、言葉の刃を振りかざす――SNSが行き渡った現代に向けて鋭く問題提起した社会派長編〉
・6/11【インタビュー】朝日新聞〈SNSの中傷に怒り、虚実見つめ描く「人間愛」〉
*今後も、全国紙・雑誌でのインタビュー記事が掲載予定です。
■全国の書店員さん68名から応援メッセージが届いています!
その文字数はなんと累計2万2000字超! 『本の話』では、その熱く、熱(圧)いコメントを全文公開しています。
▼『本の話』
「まるで鋭い凶器に何度も切りつけられるような感覚」「心の内は今も震えている」塩田武士さん最新刊『踊りつかれて』に圧倒された書店員による感想2万2000字を一挙大公開!
(以下は、抜粋コメントです)
紀伊國屋書店西武東戸塚S.C.店 鶴見祐空さん
もうずいぶん前から踊りつかれている。SNSに。ネットニュースに。
もういい、もういいよと願うのもつかれた。
ネット社会に対する圧倒的な敗北感でかき消された怒りに、絶望に、かなしみに、この作品は言葉を与えてくれました。
こんな作品が書かれることをどこかでずっと待っていたように思います。
高坂書店 井上哲也さん
本作は直ぐそこにある緊張と恐怖の現実を、緻密な取材と膨大な情報の解析によりエンターテインメントにまで高め上げた、見事な物語であり、令和の今だからこそ、より多くの人に読んで貰うべき作品である。
立ち止まって、深呼吸して、今の自分自身を見つめ直す時間が、誰しも必要であろう。
序章から終章まで、息をもつかせぬ展開の連続で、500頁近いボリュームを微塵も感じさせない、正に超弩級の一気読み小説。
ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん
SNSで情報が氾濫している社会への警鐘を鳴らし、人間への愛しい思いが、厳しくも温かい眼差しで語られていた傑作に心が震えた。
自分を戒めた。今私たちが知らなければならないことが思いを込めて綴られていた。
踊らされたくない。踊りたい。
人を語る時、確実な事実を知り、思いをこめて、心あることを語りたい。
紀伊國屋書店梅田本店 小泉真規子さん
「言霊」という語彙をもつ日本人だからこそ
言葉には良くも悪くも大きな力があることを
誰よりも知って、信じていなければならないと強く感じた。
うさぎや矢板店 山田恵理子さん
時代の闇に炙られ、今やSNSの波に踊らされる恐怖と、哀しくも至純の光が胸に広がる。尊き命への問題提起と人間愛が伝わってくる作品だ。
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週刊誌の中吊り広告をイメージして作られた『踊りつかれて』の内容を紹介する書店用POP
■著者プロフィール
塩田武士(しおた・たけし)
1979年兵庫県生まれ。関西学院大学卒業後、神戸新聞社に入社。2010年『盤上のアルファ』で第5回小説現代長編新人賞を受賞し、小説家デビュー。同作は第23回将棋ペンクラブ大賞文芸部門大賞も受賞した。2012年に神戸新聞社を退社し、専業作家に。2016年『罪の声』で第7回山田風太郎賞を受賞、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第一位。2019年『歪んだ波紋』で第40回吉川英治文学新人賞受賞。2024年『存在のすべてを』で第9回渡辺淳一文学賞を受賞。その他の著書に『崩壊』『雪の香り』『騙し絵の牙』『デルタの羊』『朱色の化身』などがある。
■書誌情報
書 名:『踊りつかれて』
著 者:塩田武士
判 型:四六判上製カバー装
定 価:2,420円(税込)
発売日:2025年5月27日
ISBN:978-4-16-391980-5
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