1000psオーバーのハイパーカーの世界とは マクラーレン「W1」

2025.05.09 12:00
F1グランプリで幾度もの栄光を築いてきた、英国を代表するスーパースポーツブランド、マクラーレン。フェラーリと同様に、レース活動で培った技術をロードカーに惜しみなく注ぎ込む姿勢が、世界中の熱心なファンを惹きつけてやまない。こうしたメーカーの評価は、F1での成績と密接にリンクしており、昨年コンストラクターズタイトルを獲得した今、マクラーレンはまさにその頂点にあると言えるだろう。そんな絶頂期に登場したフラッグシップモデルが「W1」だ。マクラーレンのロードカーはすべて、F1マシンと同様のカーボンファイバー製モノコックシャシーを基盤としているが、W1はその中でも飛び抜けた存在。スーパースポーツの枠を超え、“ハイパーカー”と呼ばれるカテゴリーに位置付けられている。
W1の特筆すべき点は、車体全体を覆うボディカウルやエアロパーツまでもが軽量かつ高価なカーボンファイバー製であること。そして、それ以上に圧倒されるのが、その「桁違いのパワー」だ。4.0リッター、V8ツインターボエンジン単体で928psを発生し、さらにモーターが347psを加勢。システム全体で1275psという、もはや航空機のような出力を叩き出すハイブリッドパワートレインを搭載している。
普段われわれが乗るクルマが200〜300ps程度であることを思えば、1000psを超える出力がいかに異次元かは容易に想像がつくだろう。停止状態から100km/hまでをわずか2.7秒で駆け抜け、最高速は300km/hオーバー。もはやレースカーと構成要素を同じくするのは、当然の帰結とも言える。
この領域になると、車両の挙動を安定させるのにタイヤのグリップだけでは不十分となる。そこで重要になるのが“ダウンフォース”だ。W1は、速度や走行モードに応じて可変する前後のアクティブスポイラーを備えるほか、F1さながらのアンダーボディ形状や可変車高システムによって、最大950kgものダウンフォースを発生させる。
マクラーレン史上、最もパフォーマンスに優れたW1の登場は大きな話題を呼んだ。しかしこの世界では、1275psの出力ももはや特別とは言い切れない。たとえば、アストンマーティン「ヴァルキリー」は1176ps、ランボルギーニ「レヴェルト」は1015ps、メルセデスAMG 「ONE」は1063ps、ブガッティ「トゥールビヨン」は1800ps。そしてマクラーレンW1の発表直後に姿を見せたフェラーリ「F80」は1200psを誇る。ハイパーカー市場は、まさに百花繚乱の様相を呈しているのだ。
そしてこの種のモデルには、“資金があれば手に入る”という常識が通用しない。W1の生産台数はわずか399台、価格は約200万ポンド(約4億円弱)に設定されたが、発表と同時に完売。発売前からVIP顧客には情報が提供され、すでに予約が埋まっていたという。
その希少性ゆえに価値が下がるどころか、むしろ価格が上がることさえ珍しくない。それもまた、富裕層を惹きつけてやまない理由のひとつだろう。常軌を逸した世界だが、スポーツカーの頂点には、想像を遥かに超える“ハイパー”な領域が広がっている。
マクラーレン W1  車両本体価格: 200万ポンド(約4億円弱)ボディサイズ | 全長 4635 X 全幅 2074 X 全高 1182 mmホイールベース | 2680 mm車両重量 | 1399 kg排気量 | 3988 ccエンジン | V8ツインターボ+モーター(ハイブリッド)最高出力 | 1275 PS(983 kW)最大トルク | 1340 N・mお問い合わせ先
cars.mclaren.com
Text : Takuo Yoshida

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