Numata(DESIGN+ART)Museumが出来上がるまで
常設でいつでもデザインを学び楽しめる場所を作りたい、という思いから
デザインミュージアムをオープン。
「自分たちの身近にあるプロダクトデザインの逸品をミュージアムで観ることができる。」その衝撃と感動は、初めて海外でデザインミュージアムを訪れたあの日から数十年たった今でも鮮明に記憶に刻み込まれています。その感動を分かち合うべく、“常設でいつでもデザインを楽しめる場”をつくるため、私設ミュージアム “ Numata (DESIGN+ART) Museum ”を立ち上げました。
これまでに収集した北欧デザインのビンテージコレクションを中心としながら、自分たちが「良い」と思えたプロダクトやアートを国や地域、アイテムの種類を問わずジャンルレスに展示してまいります。
長年かけて集めたパーマネントコレクションを一堂に
何故デザインミュージアムをオープンさせたいと思ったのか
2023年1月 土地を探し始める
海外のミュージアムのような環境を探す事からスタート。
自然に溶けこむデンマークのルイジアナ美術館・オードロップゴー美術館の
様なミュージアムをつくりたい。
その為の条件を決め、不動産情報を調べ始めた。
⚪︎Chickadee&HOMEから車で30分程度のアクセスの良いエリア
⚪︎広さ300坪以上
⚪︎自然豊かな静かなエリア
⚪︎敷地に川が流れている土地
⚪︎雪があまり降らないエリア
⚪︎ハザードマップで安全な場所
⚪︎建築条件なし
上記の条件に近い物件があれば、問い合わせをしたり現地を見に行ったり。
2023年4月 土地が見つかる
国道286号線で山形市に家具の配達に向かう道中、偶然に気になる土地が出現。
国道沿いに『荒れ果てた森が』。
車を停めて覗いてみると長い年月、放置されている土地のようで大木・雑草・不法投棄の荒れ果てた土地である事がうかがえる。
ただ隣接した幅6mの私道が奥の方まで100m近く続いており、奥にはジャングル状態だが更に広大な敷地が広がっている。
おそらく、昔開発されたが使われることなく、そのまま放置された場所の様だ。
奥の敷地まで歩いて行く途中には、理想的な清流があり何か可能性を感じさせた。
頭をフル回転させて想像してみた。この土地を開拓すれば、探していた理想の土地になるのではないかと胸が高鳴り始めた。
敷地に不動産会社の立て看板があったので、情報を確認すると聞き覚えのある
不動産屋の名前が。偶然にもお客様である事を思い出す。
この土地は『運命』であると確信に変わった瞬間
不動産屋に連絡をし情報を取得すると、30年以上前に開発された場所で、投資目的に購入された土地であったが、持ち主は何もせず放置していた事が判明。奥の敷地にも、数名の持ち主がいる事が分かった。
建築条件などの調査をした結果、良好な土地である事が確定したので、まずは土地を購入する事に。
この時点では、ミュージアム建設費の融資が受けられるかは分からないが、先ずは購入し勝負にでる事に。
建築士と現場調査中に、偶然にも奥の土地の持ち主から声を掛けられ『自分の土地も購入してくれないか』となったので話を聞くと、他の地主も紹介できるとのこと。2人の土地を合わせて100坪ほど購入できるという流れに。
’’未来への投資’’
今後カフェやレストランを始めたい企業などへ貸すなどし、ここに新しい街を作れたらとの思いから、奥の土地も追加で取得する事に。
この敷地をより楽しめる場所へ変えたい
その後地主との交渉も進み、
2024年5月 宮城県川崎町に約300坪弱の敷地を取得。
’’デザインミュージアム計画’’が本格的にスタート
事業計画書を作成
銀行からの融資を受けるため、本格的に事業計画書を作成する事に。
長年に渡りChickdee&HOMEの広告の仕事を引き受けてくれている友人の会社にサポートしてもらい、計画を具体化していく。
銀行を納得させる客観的事実の資料を集める作業
世界のデザインミュージアムの資料、年間来場者数、予算計画、これまで日本国内で開催されたデザインエキシビションの来場者数の統計など、あらゆるデータを取集し事業計画書を作成。
その後、銀行にプレゼンを複数回行い融資が遂に決定。
2023年7月 ~ 2023年12月 遂にデザインミュージアム建設計画が始動
できるだけコストを削減する為に、自分たちで土地を切り開く事に。
沢山の友人達が協力してくれ、草を刈り、大木を次々に伐採。
伐採した木は、薪に加工してSNSで『ご自由にどうぞ』と情報発信。
数日で綺麗に無くなり、理想的なリサイクルを実現する事に成功。
約2ヶ月掛けて、更地になった頃には雪が降り始め、
土地の開拓と、並行して図面を完成させる作業を進める。
普段から住宅や店舗の建築設計・デザイン・プロデュースの仕事をしている事もあり、
殆どの計画を自ら行う事に。
アルヴァ・アアルト、ル・コルビジェ、ロバート・アーウィンの建築にインスパイアーされたデザインを予算内に纏めあげる。建具は全てビンテージやデザイン性の高いものを採用。それらも自分達で買い付け、並行して準備を進めていく。
2024年4月18日 工事開始
春を待って、いよいよ工事が開始。
2024年7月 ミュージアムの名称を「Numata(DESIGN+ART)Museum」と決め、ロゴマークやグッズなどのデザインを全て、平林奈緒美さんへ依頼
並行して、クラウドファンディングへチャレンジする事に。
↓
ロゴデザイン、クラウドファンディング返礼品のTシャツ・キャップ・
ミュージアムショップ限定販売のオリジナルアイテム(バッグ・Tシャツ・マグカップ)などをデザインして頂きました。
パートナーの建築士・親友の大工・家具職人などあらゆる仲間達の協力で工程表通りに、
工事は進んで行きます。
並行して外構工事・植栽は自ら行う事に、草を刈り・耕し・砂利を敷き・芝を張り・植物を植える作業。お客様のガーデナーさんの協力と指導の元、工事は進んで行きます。
地元の強い協力者が現れる
過疎化が進む川崎町、高齢化で宮城県で4番目に消滅する可能性がある町とニュースで発表されたばかり。
そこに、この土地に新規事業を行う我々の想いに共感してくれる、地元の土木会社との出会いがあり、大幅な工事コスト減額となるアドバイスや協力をして頂けることに。そのおかげで、工事規模の拡大も叶いました。
植栽はドイツ・ベルリンの新国立美術館の庭のような雰囲気を希望していた事もあり、同じようにガーデナーさんが宿根草で彩ってくれました。
2024年9月 クラウドファンディング終了
全国から多くの方々にご協力頂き、目標の3倍の支援額を達成する事ができました。
この資金はミュージアムの設備の拡充やPR活動に充てさせて頂きました。
ミュージアム建設 ''最大の難所'' 受付カウンター工事
重さ5kg近いAlvar Aaltoの1950sタイルをどのようにして天板下側面に取り付けるのかが最大の難所。ミュージアムの顔となる場所だけに、職人さんが妥協する事なく諦めず、失敗をしながら、話し合いを繰り返し何とか理想的な仕上がりに着地する事に成功。
家具職人・タイル職人・左官職人さん達の素晴らしい共同作業によって、ミュージアム建設の有終の美を飾る事に。
Alvar Aaalto タイル買い付けエピソード
継ぎ目の無い研ぎ出し天板とタイルが組み合わされた、美しいカウンターが完成。
2024年10月24日 完成引き渡し・展示物の搬入作業
2日間トラックとハイエースで何度もミュージアムと店を往復し、200点以上の家具と雑貨を搬入、設置。
2024年11月2日 ミュージアムオープン
10月31日のプレオープン、11月2日のグランドオープンには、お世話になった方々やお客様に多数お越し頂き、無事営業を開始しました。
ミュージアム建設にあたっては、長年付き合いのある友人達やChickadee&HOMEのお客様に多くの応援・協力を頂きました。
また、地元の材料を数多く使用し、残った資材は地元企業の他施設で利用してもらう、
ミュージアムの空調設備の動力には太陽光発電を使用しCO2削減にも取り組むなど、自然あふれる周りの環境への負荷をできるだけ抑えることができました。
展示品収集の道程・東京で開催してきた過去エキシビション 活動コラム