【国立劇場2月文楽公演】品川区・文京区の2会場にて、吉田和生文化功労者顕彰記念として、通し狂言『妹背山婦女庭訓』を上演!

2025.01.22 12:00
文化庁
 これまで多くの伝統芸能公演を制作、上演してきた国立劇場は、再整備期間中も伝統芸能の振興のため、首都圏の各劇場にて主催公演を続けています。今回は大井町・きゅりあん大ホール、後楽園/春日・文京シビックホール大ホールの2会場で、文楽公演を開催します。
 初代国立劇場さよなら特別公演以来となる通し上演にて、「王代物(おうだいもの)」の傑作『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』を3部制で上演します。敵対する2つの家の子供同士が惹かれ合う“日本版『ロミオとジュリエット』”とも称される場面が中心の第一部、帝側への復権のためわが子を犠牲にした旧臣とその家族の悲劇を大和地方の伝説を背景に描く第二部、身分違いの恋をする一人の娘が政争の渦に巻き込まれていく第三部と、通しでのご鑑賞はもちろん、各部のみでもお楽しみいただける構成でご覧いただく公演です。

 報道各位におかれましては、本件の皆様への周知にご協力を賜りますようお願い申し上げます。
舞台一面に日本の美しい四季が展開する大作 『妹背山婦女庭訓』
妹山背山の段

 『妹背山婦女庭訓』は、明和8年(1771)1月、大坂竹田新松座(竹本座)で初演されました。人形浄瑠璃黄金期の最後の名作者と評される、近松半二(ちかまつはんじ)ほかによる合作です。
 中大兄皇子(後の天智天皇)と中臣(藤原)鎌足が、大豪族・蘇我入鹿を武力によって排除し天皇中心の新政を到来させた「大化の改新」や、大和地方に点在する名所旧跡や伝説を題材とした、複雑な伏線と鮮やかな謎解きが、洗練された義太夫の演奏により進行し、舞台一面に日本の美しい四季が展開する大作です。

 第一部では、久我之助(こがのすけ)と雛鳥(ひなどり)の出会いを描く「小松原(こまつばら)の段」、大判事清澄(だいはんじきよずみ)と後室定高(こうしつさだか)が邪知深い蘇我入鹿(そがのいるか)から難題を突き付けられる「太宰館(だざいやかた)の段」、入鹿が行う恐怖政治のもと、死を選ばざるを得なかった恋人二人とその親たちの悲劇を描く「妹山背山(いもやませやま)の段」を上演します。
第二部では、流浪を続ける天智帝(てんちてい)を匿うことを命じられた藤原鎌足(ふじわらのかまたり)の旧臣・芝六(しばろく)とその一家の悲劇がみどころの中心となる、二段目「猿沢池(さるさわのいけ)の段」「鹿殺し(しかころし)の段」「掛乞(かけごい)の段」「万歳(まんざい)の段」「芝六忠義(しばろくちゅうぎ)の段」をご覧いただきます。
 第三部では、入鹿討伐を目的とする恋人のために犠牲となる酒屋の娘・お三輪(おみわ)の激しい恋とその結末までとなる四段目「杉酒屋(すぎさかや)の段」「道行恋苧環(みちゆきこいのおだまき)」「鱶七上使(ふかしちじょうし)の段」「姫戻り(ひめもどり)の段」「金殿(きんでん)の段」を描きます。

 王朝ロマンに彩られた大作の全容をどうぞお見逃しなく!
第一部 「小松原の段」「太宰館の段」「妹山背山の段」
小松原の段

 天智天皇の寵妃・采女の局(うねめのつぼね)に仕える久我之助は、雛鳥と互いに恋心を抱きます。ところが久我之助は大判事家の嫡男、雛鳥は太宰家の一人娘で、仲たがいをしている家の子女だったのです。
 豪族・蘇我入鹿は反逆の志を顕し、政権を強奪してしまいます。帝位を窺う入鹿は、天智帝への忠誠を断ち切った証明として大判事清澄には息子久我之助の出仕を、太宰の後室定高には雛鳥を妃として差し出すように命じます。久我之助は、背山の山荘に謹慎していました。雛鳥も久我之助を追って川向かいの妹山の山荘に来ています。それぞれのその館に、入鹿からの厳命を受けた二人の親たちが覚悟を固めて帰還するのです……。入鹿が行う恐怖政治のもと、過酷な運命を背負う若い恋人二人とその親たち。桜咲き誇る吉野川を挟んで、左右に両家の屋敷が配された豪華絢爛たる舞台とともに彼らの悲劇がダイナミックに展開されます。
妹山背山の段
妹山背山の段

第二部 「猿沢池の段」「鹿殺しの段」「掛乞の段」「万歳の段」「芝六忠義の段」
猿沢池の段
鹿殺しの段

 天智天皇は寵妃の采女の局が入水したと聞いた猿沢池を訪れ、その死を悼みますが、鎌足の嫡男淡海(たんかい)に励まされ、都を離れます。藤原家の旧臣玄上太郎(げんじょうたろう)は芝六と名乗り、猟で生計を立てていました。芝六は淡海から、禁じられている春日神社の鹿狩りを命じられ、見事に仕留めます。淡海は帝を、芝六の家に匿わせています。しかし鹿殺しが発覚し、芝六とその貧家に詮議の手が伸びるのでした……。窮地の帝を守護する藤原鎌足・淡海父子の知略、わが子を犠牲にして忠義を貫く芝六の壮絶な覚悟、かつて鹿を殺めたために幼い命が失われた「十三鐘(じゅうさんがね)」の伝説をもとに、帝側の復権へ向けた動きが、涙あふれる展開とともに綴られます。
芝六忠義の段

第三部 「杉酒屋の段」「道行恋苧環」「鱶七上使の段」「姫戻りの段」「金殿の段」
道行恋苧環
鱶七上使の段

 杉酒屋の娘お三輪は、恋人である求馬(もとめ)の家に女が訪れたのを知り、その女と争います。求馬は素性の知れない女(入鹿の妹橘姫(たちばなひめ))の、お三輪も求馬(身をやつし市井に潜伏している藤原淡海)の跡を追い、大和路を進み、大神神社(おおみわじんじゃ)の御神木の薫り床しい三輪の里から政争の中心地・三笠山へと向かうのです。
 三笠山の蘇我入鹿の宮殿に、漁師の鱶七が鎌足の使者として乗り込んで来ます。大胆な言動に不審を抱いた入鹿は、鱶七を留め置きます。鱶七、淡海、橘姫……それぞれの思惑から彼らが集結する入鹿の宮殿において繰り広げられる政権をめぐる闘争の渦、そんな争いとは無縁の存在であったはずのお三輪の犠牲がこの一大叙事詩を、悲恋の涙とともに大団円に向かわせるのです。
金殿の段

吉田和生が文化功労者に顕彰
 人形浄瑠璃文楽座人形遣いで重要無形文化財保持者(人間国宝)の吉田和生が、令和6年度の文化功労者として顕彰されました。
 顕彰を記念した今回の公演では、第一部に登場する後室定高を遣います。この役は、師である吉田文雀が得意としたもので、吉田和生も受け継いで上演を重ね、代表作の1つとなっています。文化功労者・吉田和生の至芸をぜひご堪能ください。
吉田 和生(よしだ かずお)
人形浄瑠璃文楽座 人形遣い

昭和22年(1947)7月28日生まれ



[芸歴]
昭和42年 7月 文楽協会人形部研究生となり、吉田文雀に入門、吉田和生と名のる
昭和43年 4月 大阪毎日ホールにおいて初舞台
平成29年10月 重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される

[主な受賞歴]
平成16年 1月 平成15年度大阪文化祭賞
平成26年 3月 第64回(平成25年度)芸術選奨文部科学大臣賞
     6月 愛顔(えがお)のえひめ文化・スポーツ賞
平成27年 3月 第34回(平成26年度)国立劇場文楽賞文楽大賞
平成29年11月 平成29年度兵庫県文化賞(伝統芸能)
        第30回関西・こころの賞(特別賞)
平成30年11月 第53回大阪市市民表彰
令和 元年 5月 旭日小綬章
令和 6年11月 文化功労者として顕彰される

[その他]
独立行政法人日本芸術文化振興会 伝統芸能伝承者養成研修講師
大阪樟蔭女子大学非常勤講師
品川区・文京区2会場での文楽公演
 老朽化等による再整備事業のため、令和5年10月末日をもって初代国立劇場は57年の歴史に幕を閉じました。閉場後も他劇場にて主催公演を引き続き行っています。今回は大井町・きゅりあん大ホール、後楽園/春日・ 文京シビックホール大ホールの2会場にて、文楽公演を開催します。
 通常、太夫と三味線がいる床は上手側のみですが、「妹山背山の段」では下手側にも床を設置します。今回の会場でも両床にて上演しますので、上手と下手の掛合での演奏もお楽しみください。

きゅりあん大ホール[大井町] ワンスロープ型の広くゆったりとした客席を誇る8階大ホールほか、品川区民の皆様のさまざまな催し物にお応えできる施設として、平成元年(1989)10月に開館しました。
 「きゅりあん」は、一般公募により選ばれた品川区立総合区民会館の愛称です。ラテン語の「集会所」を意味する「キュリア(curia)」が語源の造語で、『人が集まり、ふれあうように』との願いを込めてつけられました。
文京シビックホール 大ホール[後楽園/春日] 文京シビックホールは、大ホール、小ホール、練習室エリア、会議室エリアから成る多目的ホールです。文京シビックセンターの地下1階から3階に位置し、文京区の芸術文化活動を担うため、平成12年に開館しました。
 文京シビックホール大ホールは、令和7年3月に25周年を迎えます。令和6年12月から令和7年7月までの間、25周年記念事業として多彩なラインナップで様々な周年記念事業を行います。
国立劇場 令和7年2月文楽公演

吉田和生文化功労者顕彰記念
通し狂言 妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)

【第一部】午前11時開演 (午後2時10分終演予定)
小松原の段
太宰館の段
妹山背山の段

【第二部】午後3時開演 (午後5時10分終演予定)
猿沢池の段
鹿殺しの段
掛乞の段
万歳の段
芝六忠義の段

【第三部】午後6時開演 (午後9時終演予定)
杉酒屋の段
道行恋苧環
鱶七上使の段
姫戻りの段
金殿の段

主催=独立行政法人日本芸術文化振興会
共催=公益財団法人品川文化振興事業団〈きゅりあん公演〉
   文京シビックホール(公益財団法人文京アカデミー)〈文京シビックホール公演〉
   文京シビックホール25周年記念公演〈文京シビックホール公演〉

【公演日程・会場】
令和7年2月8日(土)~16日(日)
きゅりあん大ホール (〒140-0011 東京都品川区大井5-18-1きゅりあん8階)
JR京浜東北線・東急大井町線・りんかい線「大井町駅」徒歩約2分
令和7年2月20日(木)~26日(水)
文京シビックホール 大ホール
(〒112-0003 東京都文京区春日1-16-21文京シビックセンター1階)
東京メトロ丸ノ内線・南北線「後楽園駅」直結
都営地下鉄三田線・大江戸線「春日駅」直結
JR中央・総武線「水道橋駅」から徒歩約10分
【料金[各部・税込]】
1等席 9,000円(学生6,300円)
2等席 8,000円(学生5,600円)
※障害者の方と介護者1名は2割引です(他の割引との併用不可)。
※車椅子用スペースがございます。
※インターネットでも学生料金・障害者割引による申し込みが可能です。
※残席がある場合、公演会場にて当日券のみ窓口販売いたします
(当日券窓口 午前10時~各部開演前)。

チケットのお求めは
 国立劇場チケットセンター 0570-07-9900
 【インターネット】 国立劇場チケットセンター  
国立劇場について 日本の伝統芸能の保存及び振興を目的として昭和41年(1966)に開場。外観は奈良の正倉院の校倉造りを模している。大劇場・小劇場・演芸場・伝統芸能情報館を備え、多種多様な日本の伝統芸能公演、初心者や外国人を対象とした解説付きの鑑賞教室を上演。
 老朽化による再整備事業のため、令和5年(2023)10月末に閉場。外部劇場にて主催公演を継続して上演している。

所在地:東京都千代田区隼町4-1
03-3265-7411(代表)
プレスリリースはこちらから

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