省エネ建築物の新築・改修に取り組むメリットを総合評価する全12指標を整備・策定

2024.12.02 13:00
株式会社NTTファシリティーズ
-省エネ建築物の「地域貢献にもたらす効果」「社内啓発効果」など隠れた経済効果を定量化-

株式会社NTTファシリティーズ(代表取締役社長:松原和彦、以下「NTTファシリティーズ」)とデロイト トーマツ グループのデロイト トーマツ コンサルティング合同会社(代表執行役:神山友佑、以下「デロイト トーマツ」)は共同で、省エネ建築物の新築・改修による効果を総合的に定量評価する指標を開発し、2023年12月に発表*しています。エネルギー・光熱費削減以外の効果は、Non-Energy Benefits(NEBs [ネブズ])と呼称される効果として12項目を発表し、このうち8項目についてはロジックを公開しておりましたが、残りの「地域貢献・ブランディング」「環境認証・格付の取得」「社内啓発」「資金調達」の4項目の定量化ロジックを作成し、この度NEBsの全12指標を整備・策定しましたのでお知らせします。
全指標の整備・策定により、省エネ建築物が地域貢献にもたらす効果や建築物利用者への啓発効果など、数値では図りづらい効果を定量化することができるようになり、さらにこうした効果がNEBs効果の約1割を占めることが明らかとなりました。本指標の普及を通じて、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)等の省エネ建築物の新築・改修の投資判断を支援することで、企業や自治体の保有資産の脱炭素化に貢献していきます。

取り組みの背景・目的
ZEBプランナーとして長年ZEBの設計・監理を手掛けてきたNTTファシリティーズと、カーボンニュートラルの包括支援の経験やオフィスビルで働く従業員のウェルビーイングに関する知見が豊富なデロイト トーマツは、その知見を活かして2023年4月より省エネ建築物のエネルギー・光熱費削減以外の効果の定量評価手法の開発に取り組んでいます。
これまでに、NEBsの8項目に関して定量化ロジックを公開*していましたが、より網羅的に省エネ建築物の新築・改修によるエネルギー・光熱費削減効果以外の効果を定量化することを目的とし、12項目全体での定量化ロジックを作成しました。
合わせて、建築物のZEB化による価値を、経営指標とも紐づけて説明が可能になるよう、各NEBsが関係するステークホルダーを整理し、効果の種類を5グループに分類しました。これにより、さらにZEB等の省エネ建築物の新築・改修の投資判断を後押しすることをめざしていきます。

*
(2023年12月11日)

取り組みの詳細
1.各効果の位置づけの整理
NEBsとして洗い出しを行っていた12の効果について、経営指標とも紐づけて説明が可能になるようステークホルダー毎に分類を行い、12のNEBs指標について「人材価値の向上」「企業価値向上」「社会的責任の遂行」「事業への貢献」「経費削減」の5グループへの分類を行いました。これにより、NEBs指標活用時の事業との紐づけが容易になり、より使いやすい指標となります。
1.定量化ロジック未作成の項目について、ロジックを作成
昨年12月時点で未発表としておりました「地域貢献・ブランディング」「環境認証・格付の取得」「社内啓発」「資金調達」の4項目について定量化のロジックを作成しました。

2.NEBs指標の全体像更新
NEBs12項目について、より省エネ建築物の効果に合わせた名称を検討し、一部項目の名称を変更しました。
- 「内外装の美観向上」を「地域貢献・ブランディング」に更新
省エネ改修により、建物のエントランス等が整備され、外観・内装がより美しくなるという効果だけでなく、地域での環境意識向上にも寄与することや地域貢献の観点で地域でのブランド力が向上するという効果についても幅広く評価する項目として更新しました。

- 「炭素税等の軽減」を「炭素排出量削減」に更新
炭素税のみを対象として経費の削減効果を定量化しておりましたが、より幅広く炭素排出量が削減されることの価値を定量化する項目として更新しました。

- 「離職率低下」を「人材確保・定着」に更新
オフィス環境の改善により、ワークエンゲージメントが向上し、従業員の離職率が低下する効果について定量化しておりましたが、人材のリテンションのみならず採用力向上についての効果も対象とするよう更新しました。


2. NEBs12 項目全体版でのロジックの検証
自社ビルのZEB 化に取り組んでいるダイダン株式会社(代表取締役社長:山中 康宏、以下「ダイダン」)と引き続き連携し、ダイダンが所有するZEB 認証取得3 棟(ZEB Ready1 棟含む)において、今回見直しを行ったロジックを活用してNEBs の再検証を行いました。検証の結果、エネルギー消費量のみの投資回収年数に比べ、NEBs を含めた投資回収年数は約1/4 となることが推計され、ZEB に取り組むメリットを定量的に評価することができました。
なお、「地域貢献・ブランディング(4%)」「社内啓発(6%)」など、今回算出可能となった4 指標についての効果はNEBs 効果の約1 割を占めることが明らかとなりました。
今後の展望について
今後デロイト トーマツとNTT ファシリティーズは、NTT ファシリティーズが設計を手掛ける建築物を含め、より多くの建物においてNEBs の定量評価を行うことで知見を蓄積し、省エネ建築物におけるエネルギー・光熱費削減効果と環境負荷低減以外の価値であるNEBs 評価の精緻化をめざします。
また、現在発表の定量化ロジックについては、自社所有の事務所ビルを対象にした指標となっていますが、今後はテナントビルや商業施設などの他の建物用途を対象に算定可能な指標を作成することで、より多くの建物において、NEBs の可視化を行っていきます。
この取り組みを通じて、ZEB をはじめとする省エネ建築物の採用促進を通じたカーボンニュートラルの貢献はもちろん、従業員のウェルビーイングの向上や、Scope3 のCO2 排出量削減にも貢献することをめざし、幅広いステークホルダーと連携し、地域社会全体での脱炭素化を推進していきます。

NEBs評価指標-更新版-
<報道機関の方からの問い合わせ先>
株式会社NTTファシリティーズ
経営企画部 広報担当
pr@ntt-f.co.jp

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