株式会社Bluevision
ホールに響く美術家の足音、横幅9mのキャンバスに光る「時」に描かれていく「筆音」の痕跡。音楽や美術といったジャンルを超越した新しい芸術は誰もが奏でる「生きる鼓動」から生まれた。
絵画「Recital "Sky" ay The Symphony Hall 2024」
10月31日、クラシックコンサートの殿堂 ザ・シンフォニーホールにて、美術家 山口和也が追い求める「生きる、それ自体の美しさ」が具現化された。その手法は絵を描く筆音(ふでおと)をホールへ響かせるという世界でも前例のない一人の美術家によるリサイタル(独演会)。展覧会とは違った一夜限りのこの舞台では、山口の足音や呼吸音が絵を描く筆音や描かれていく点や線と調和し、あたかも洞窟の中や胎内回帰のような空間へ観客を誘った。そして終演と共に、9mに及ぶ生まれたての絵画「Recital "Sky" ay The Symphony Hall 2024」が目の前に立ち現れ、時空を超えた普遍的な美が、鑑賞者の心へに焼きついた。
Recital "Sky" ay The Symphony Hall
「時」というキャンバス
舞台上には、幅9メートルに及ぶ黒い手漉き和紙の張られたキャンバスが薄暗い照明の中で浮かび上がり、観客はまるでキャンバスが空間に漂っているかのような錯覚に包まれる。この和紙は越前の工房で原料を黒く染めるという特別な仕様で漉いてもらった特注品。一枚を四人がかりで漉き、それを四枚連結して9メートルのキャンバスを制作、その中央には銀箔によって「時」を表す一本の光が走っている。
特別に漉いた和紙を木製のパネルに張り込むための準備
特別に漉いた和紙を木製のパネルに張ったキャンバス
一つの生命体がこの世に誕生し、生きる鼓動を刻んでいく
The Symphony Hall の空間に浮かび上がる一筋の「時」、その前に現れた白い生命体
薄暗い空間に満ちる静寂の中、美術家 山口和也が舞台へ現れた。一歩一歩と進む足音がホールに響き、それはあたかも一つの生命体がこの世に誕生したかのようであり、その息遣いや和紙に指先が触れる微かな音までもがホール全体に響き渡り、次第に張り詰めた空気の中に懐かしい心地よさを感じるような不思議な空間が立ち現れてくる。
来場者はホールに響く生命が躍動するような音に耳を傾け、また山口の一挙手一投足を固唾をのんで見守っているようである。
Recital "Sky" ay The Symphony Hall
白い衣装をまとった山口は様々な白い画材を手に取り、時に繊細な弦楽器のような、時に力強い打楽器のような様々な筆音を空間へと放ち、それが心地よい安堵感を伴った音楽のように感じられた。この音は単に絵を描く際に鳴った音というよりも、その音の個性が画面の痕跡となっていくようであり、初めて体験する「描く音楽」のように感じられた。そんな筆音の軌跡による「描く音楽」が、いつしか次第に視覚的な、絵画としての存在感を少しずつ帯びていく。
Recital "Sky" ay The Symphony Hall のはじまり
キャンバスに走る一本の光る線は「時」であり、山口が左右へと動くたびに彗星が流れるかのような幻想的な景色を生み出している。目を閉じるとその景色は音となり、また目を開けば、こんどは変化していく景色として立ち上がり、次第に巨大な絵画としての様相を成していく。その絵画はこの世に誕生した一つの生命の軌跡であり、観客もまたそれを自らの「生きる」軌跡と重ねているようだ。
一時間を過ぎた頃から照明は少しづつ暗転へと向かい、最後には暗闇の中に響く足音と共に白い生命体の気配が消え70分ほどの「Recital "Sky"」初公演は幕を下ろす。
終演後、あらためてステージの中央に姿を現した山口を待っていたのは、力強い輝きに満ちた大きな拍手だった。それはこの世を生き切った白い生命体への賛辞であると同時に、この場を共有した、今を生きる人々それぞれへの賛歌であるようにも聴こえた。
見上げることのできる自らの空が、誰の頭上にもある
今回、作家史上最大である9mの絵画を舞台上で描き上げた山口は、
「"Sky"では、舞台へ上がるまで何を描くのかどんな音を奏でるのかを決めておらず、一瞬一瞬が天や地への道標を内包していますが、不思議と緊張することはなくどこか懐かしい場所へ帰るようにザ・シンフォニーホールの響きの中へ身を置きました。そして終演の際に頂いた、いつまでも続くような重い拍手に、しばらく頭を上げることが出来ませんでした。宇宙に響いた最初の鼓動、、その波の中を今も私たちは生きているような気がします。」と述べている。
絵画「Recital "Sky" ay The Symphony Hall 2024」
鑑賞者の声
「心地よい筆音がホールに広がり、その痕跡として生まれる絵画の制作に立ち会えたことに、ただただ感動しました。あっという間の出来事でした。」
「ホールに響く筆音と、舞台を歩く足音のリズム、薄暗い空間に浮かび上がる作品-全てが調和して織り成す体験に包まれ、時間を忘れました。」
「山口さんがなぜこのホールでこの公演を実現させることにこだわったのか、その理由がはっきりと感じられました。この場所でしか成立し得ない『芸術』が確かにそこに生まれていたと感じています。」
「筆音が響くたび、自分もその音の波に包み込まれ、目の前の絵画と一体化しているような感覚でした。完成した絵画を見た瞬間、まるで自分もその一部であるかのような感動が胸に込み上げてきました。」
来場者の多くが、山口和也が生み出す「筆音のリサイタル」に安堵感や深い感銘を受け、その響きが心の奥深くまで浸透するといった体験を語ってくれました。
アートとは特別な才能を持った芸術家だけが成し得るものではなく「そもそも誰もがリサイタルを生きている」と考える山口の思想が、この夜、多くの生命体と共振したようだ。
美術家 山口和也の今後
山口和也は「生きる」という私たち生命体の根源的な有り様を、唯一無二の表現方法によって美へと昇華することのできる美術家です。
2020年のパンデミック下に、自らを一人ロームシアター京都メインホールという大きな劇場の舞台へ立たせた「Blackout/Whiteout」を経て、描く音を焦点としたリサイタルを構想し、今回クラシック音楽の殿堂と称されるザ・シンフォニーホールで実現した「Recital "Sky"」。これは同ホールの音楽総監督である喜多弘悦氏との出会いがあり、また大きなサポートがあってのことです。そしてこの世界初(※)のリサイタルは、双方にとっての挑戦でもありました。終演後に二人は、その成功を確信し強く手を取り合いました。
ともずれば不可解な現代アートが蔓延する時代に、「生きる」という鼓動や息遣いや足音といったものの尊さや崇高さに焦点を当て、それを音楽の殿堂と言われる空間へ響かせることで誰もが日々奏でる自身の音に宿る「美」の核心を、根源的な芸術へと昇華し、具現化することに成功した山口は、「Recital "Sky"」を今後も国内外の音楽の殿堂やリサイタルの聖地と言われるような然るべき空間で実現させていくことで、芸術や美術、音楽といった言葉が誕生する以前に我々が感じていた、ただ心震わせる「美」の共振を国境を越えて世界の人々と共振させていくことでしょう。
※ 「コンサートホールにおける美術家の筆音によるリサイタル」として 2024年9月 自社調べ
クラウドファンディングにて支援者を募っています(~11月17日まで)
Recital"Sky" 初公演は、ザ・シンフォニーホールの大きな協力体制のもと、舞台制作チームをはじめとしたスタッフ全員の力によって、即興性を大事にする山口の制作姿勢ゆえの不確実要素の大きな挑戦であったにも関わらず成功と呼べる内容で大きな一歩を踏み出すことが出来ました。
公演当日の様子は、映像や写真や音として各界のスペシャリストによって記録されました。我々は今後、山口監修のもとそれらの素材を映像作品、記録作品集、または展覧会として再構築させたいと考えております。またRecital"Sky"はこの初公演を皮切りに、国内外にある音楽の殿堂・リサイタルの聖地での実現へ向けて準備をはじめております。
こうした世界でも前例のない舞台公演の実現やその記録映像や作品集制作、展覧会展開催には大きな資金が必要となり、我々は11月17日までクラウドファンディング"CAMPFIRE"にて、様々な特典をご用意し、ご支援いただける方々を募っております。お力添えを頂けますと幸いです。
CAMPFIRE:
Recital "Sky" 概要
名称: Recital "Sky"
開催日時: 2024年10月31日[木] 19:00開演 (18:00開場) 21:00閉場
公演時間;約70分 +絵画鑑賞
開催場所: ザ・シンフォニーホール
〒531-8501 大阪府大阪市北区大淀南2丁目3-3
総合ディレクション/独演:山口 和也
主催/企画制作:空花(山口和也美術事務所)
舞台監督:夏目 雅也
音響:東 岳志
衣装:ROGGYKEI
協力:ザ・シンフォニーホール
協賛:ヤング開発株式会社
後援:公益財団法人 関西・大阪21世紀協会
協賛;株式会社Bluevision
ITコンサルティングの株式会社Bluevision(本社:東京都渋谷区 代表取締役:藤本光)は、美術家 山口和也の活動を支援しており、Recital"Sky"初公演においては、クライアントやパートナー、海外のお客様へ新しい芸術の体験を提供した。
Recital"Sky" at The Symphony Hall 2024 予告
写真:井上嘉和(「時」というキャンバスの章を除く)