この記事をまとめると
■現役GTドライバーの平手晃平選手がファンミーティングを開催
■「RECAMP 富士スピードウェイ」を会場とし11名のファンが参加
■クルマ好きを増やすべく平手選手はさまざまな活動を行いファンと交流している
現役GTドライバーと一緒に楽しめる驚きの会!
突然だが、読者の皆さんはプロのスポーツ選手と聞いてどんな印象をお持ちだろうか?
きっと多くの人は「雲の上の存在」、「憧れの人」……みたいな感じで、同じ人間とはいえ、ちょっと遠い存在に思っているかもしれない。もちろん私もそのひとり。とくに野球やサッカー、レーシングドライバーともなれば、そうそう触れ合えないどころか、サインだって簡単には貰えない印象があるし、自身も子どものころにそんな経験もしてきた。
しかし、今回のリポート記事を見たらきっと驚くはずだ。なんせ、現役のプロドライバーと、「一緒に肉を焼いて」、「一緒に宿泊」までできてしまうのだから……。
このたびお邪魔したのは、2008年からaprよりスーパーGT GT300クラスに参戦して以降、数々の輝かしい成績を収めてきた平手晃平選手(以下:平手選手)と、そのファンたちによって組織されているファンクラブ「KTESORO」の人たちによるファンミーティングだ。それも、急遽(2週間前)開催が決まった突発イベントでもある
ちなみに、平手選手のファンクラブは2種類あり、ひとつがこの「KTESORO」。こちらは食事会やツーリングといったイベントを年数回行っている集まり。もうひとつは「車で遊ぼう」という、こちらも平手選手を筆頭としたオンラインクラブで、こちらではドライビングレッスンなど、クルマを使ったイベントが多め。会員は合わせて150名ほどいるというなかなかの大所帯っぷり。
会場は、富士スピードウェイ内に9月にオープンしたばかりの、レーシングコースの真横という、クルマ好きにはたまらない立地の「RECAMP 富士スピードウェイ」内。ここになった理由は、10月27日に世界一(!?)GT-Rが集まるといわれているR’sミーティングや、ジャパントラックショーが開催され、1万人以上が来場した「POWER & TORQUE」内に、平手選手が出展ブースのスタッフとして来場していたのと、平手選手が1度この「RECAMP 富士スピードウェイ」で、ファンたちと交流会をしてみたいという想いがあったため。
当日の参加者は11人。多くはR’sミーティングに参加していたGT-Rオーナーたちだが、平手選手はトヨタでもドライバーを務めていたこともあり、レクサスに乗っているファンの方や、フェアレディZで訪れていたオーナーも見受けられた。
平手選手のマネージャーを務める内田さんに参加者の愛車事情について聞くと、「ファンクラブにおいて、メーカーや車種は問いません。クルマ好きを増やしたい、クルマの楽しさを多くの人に知ってもらいたいというのがこの集まりの根底にありますからね。平手は昔からGT-Rが好きなのと、いまでも愛車としてもっていることもあって、GT-Rオーナーが多めではありますが……(笑)」とのこと。
会場に先まわりして、平手選手の到着を待っていると、ファン同士が「こいつは同級生なんですよ〜」といわんばかりの仲良しっぷりで、和気藹々とした雰囲気で集まっていた。聞くと、「皆さん顔馴染みなので、結構気が知れてるんですよ。なので、今回に限らず、みんなこんな感じで友達のように交流してますよ〜」とひと言。なるほど。これは居心地がいい。
しばらくすると主役(!?)である平手選手登場。だが、ファンも本人も含め「どうも〜」といった感じで合流。現役GTドライバーと交流しているような、ちょっと緊張感がある雰囲気は皆無だ。平手選手の爽やかっぷりもそれにブーストをかけている。
クルマ好きを増やしたいんです!
今回の集まりは、「RECAMP 富士スピードウェイ」全体を貸し切り、各宿泊エリアを平手選手とファンでそれぞれ使うといった1泊2日による贅沢な集まり。夜はBBQで火を囲み、翌日は富士スピードウェイの一部コースを借りて行われる平手選手によるドライビングレッスンというなんとも贅沢な内容だ。
平手選手到着後、BBQの準備を行うのだが、ここでも驚きの連続。勝手な先入観で申し訳ないが、基本的にこの手のイベントがもしほかでもあるとすれば、選手のマネージャーや参加しているファンが積極的に準備をして、選手は一歩距離を置いている印象がある。しかし、この集まりでは真逆。平手選手が自らテントを組んで火を起こし、足りない道具は事務所に取りに行き……。ファンの人たちと区別がつかないくらい縦横無尽に動きまわっている。もっというと、持ってきている道具も平手選手の私物が多数とのこと。
手慣れていることもあって、「アウトドア、好きなんですか?」と聞くと、「いや。ぶっちゃけ全然で、むしろめんどくさいくらいの考えでした。ただ、コロナ禍もあって、子どもたちと試しにやってみたら見事にハマりまして……(笑)。いまではこのありさまですよ!」と眩しい笑顔で答えてくれた。
ファンの人たちもことあるごとに「平手さ〜ん」と呼び、あれやこれや一緒に作業。まるで大学のサークルのような雰囲気だ。とても現役GTドライバーと一緒にBBQをしているようには見えない(もちろんいい意味で)。役割は、男性が力作業、女性が調理がメインといった感じでなんとなく分担されていた。
ここで、ファンの皆さんに「なぜ平手選手を好きになったのか?」と聞いてみた。
ある人は、「僕はもともとレースには大して興味がなかったんですが、GT-R(R35)を持っていたこともあり、クルマでサーキットとか走ってみたいなぁという思いがありました。そこで、『車で遊ぼう』という集まりを知り、いざ参加してみたら、これが楽しいのなんの。平手選手の面倒見のよさもあって、いまではどっぷりです(笑)」。
女性の参加者に聞くと、「私はもう彼がaprでデビューしてからずっとファンなんです。注目したきっかけは、子どもと一緒に見にいった2008年のスーパーGTで、ライトニング マックィーン apr MR-S(95号車)に乗っていた彼を見てからですね。子どもは当時『カーズのクルマがいる!』と興奮していました(笑)。優しくて格好よくて速いと、選手として素晴らしいですね」と思い出を語る。
もうひとりは、「僕も彼がデビューしてからずっとファンなんです。とあるレースで、平手選手がほかの号車をパスしたシーンがあるのですが、そのときの抜き方がかなりキレてて、『顔に見合わずアグレッシブで格好いいなぁ』とそのとき思ったんですね。それと、平手選手が僕の住まいのそばのカート場に遊びにきてたんです。そのときはもう飛んでいって、同じGT-Rオーナーということもあり、話しかけたらすごくフレンドリーで。この集まりにも、平手選手から誘ってくれたんですよ!」と、平手選手と繋がったキッカケを語ってくれた。
BBQはその後も順調に進み、肉を焼き火を囲い、平手選手はファンとの交流を深めた。
平手選手は、「僕自身、クルマが大好きなので、こういった集まりなどを通じて、いま参加している人はもちろん、その周囲の人、さらにはその子ども、孫……といった幅広い層に、レース以外でもいろいろな接点をもって、いちクルマ好きとして、クルマの楽しさを知ってもらいたいと思ってます。僕はサーキットにいればレーサーですけど、それ以外ではただの人ですので、こういった活動も大事にしたいですね」と、熱い想いをコッソリ筆者に語ってくれた。
それにしても、あまりにも楽しそうな雰囲気に満ち溢れていたので、「POWER & TORQUE」の撤収作業をよそに、そのままこっそり参加してしまおうかと思ったのは内緒だ。それくらい、充実の集まりであったのだった。