リッター1kmなんて燃費も当たり前! 全日本ラリーマシン各車の「燃費性能」をドライバーに直撃した

2024.10.26 17:30
この記事をまとめると
■10月18~20日に全日本ラリー選手権「ラリーハイランドマスターズ」が開催された
■ワインディングを舞台に競技を行ったラリーカーの燃費をクラスごとに検証
■給油量も戦術のひとつだった
考えてみれば気になりませんか? 競技車両の燃費
  2024年の全日本ラリー選手権もついに最終戦を迎え、10月18~20日、岐阜県高山市を舞台に第8戦「ラリーハイランドマスターズ」が開催。19日のレグ1は雨/ウエット、20日のレグ2は曇り/ドライ&ウエットの難しいコンディションのなか、各クラスで激しいタイム争いが展開されていたのだが、そもそもワイディングでタイムを競うラリーカーの燃費はどのくらいなのだろうか?
  当然ながらSS(スペシャルステージ)とリエゾンでは燃費が異なるほか、エンジン排気量や車両重量などでも燃費性能は異なってくると思うが、ラリー競技用に開発されたマシンは、いったい1リットルあたり、どれくらいの距離を走ることができるのだろうか?
  というわけで、最終戦の舞台、ラリーハイランドマスターズで各クラスを代表するラリーカーの燃費を調べてみた。
  まず、もっとも気になるマシンが最高峰のJN1クラスに参戦する国際規定モデルのRally2/R5だといえるだろう。
  2024年のJN1クラスにはトヨタGRヤリスRally2に加えてシュコダ・ファビアRally2およびファビアR5、さらにシトロエンC3 R5などが参戦していたが、エンジン排気量は1.6リッターながら、純レーシングカーだけあって国際規定モデルの燃費性能は悪く、NUTAHARA Rally Teamのメカニックによれば「SSでは1.1km/L、リエゾンでは5km/Lぐらい」だという。
  一方、国内規定で開発されたJP4モデルも燃費性能は低く、2.4リッターのエンジンが搭載されているスバルWRX S4について、SUBARU TEAM ARAIのメカニックによれば、「SSで1.1km/L、リエゾンはラリー北海道で10km/Lまで行きました。直噴ターボなので排ガスはクラスで一番きれい」とのこと。
  さらに2リッターのスバルWRX STIも燃費が悪く、WinmaX RALLY TEAMのメカニックは「SSで1.1km/L、リエゾンで5km/Lぐらいです」と語る。
  このように、ラリーカーの燃費はSSとリエゾンで大きく異なるが、その傾向はほかのクラスでも同様で、JN2クラスのGRヤリスはSSで1km/L、リエゾンで7~8km/L、スバルWRX STIがSSで1km/L、リエゾンで5km/Lといった状況だが、同じGRヤリスでもノーマルコンピュータを使用しているMORIZO Challenge Cupのマシンは、ECUにMoTECを使用したほかのマシンよりも燃費性能は高く、SSで2km/Lと約2倍の数値となっている。
ハイブリッドはラリーでもやっぱり低燃費
  そのほか、JN3クラスの主力モデルの一台、トヨタGR86の燃費について、2024年のチャンピオンに輝いた山本悠太選手によれば、「SSで2km/L、リエゾンで10km/Lぐらい。それは2リッターの旧型モデルも同じでした」とのこと。さらに、JN4クラスの主力モデル、スズキ・スイフトはSSで4km/L、リエゾンで10~12km/Lというのが平均的な数値だといわれている。
  一方、JN5クラスのCVTモデルは燃費性能が低く、第8戦のラリーハイランドマスターズを制した大倉聡選手は、自身の駆るCVTモデルのGRヤリスについて「ずっとアクセルを踏んでいるので、SSでは2.5km/Lぐらいです。水温が高くなると燃費が悪くなりますね。リエゾンは11km/Lぐらいまで行きます」という。
  さらにハイブリッド車両や電気自動車を対象にしたJN6クラスの参戦マシンは燃費性能が高く、トヨタ・アクアGRスポーツを武器にシーズン7勝目を獲得した天野智之選手は、「SSは4km/Lしか走りませんが、リエゾンでは20km/Lぐらい走ります」とのこと。さらにトヨタ・ヤリスの清水和夫選手のコ・ドライバーの山本磨美選手は「SSは4km/L、リエゾンは14km/Lで計算しています」と語る。
  そのほか、オープンクラスに参戦しているトヨタ・ハイエースは、ディーゼルとガソリンで燃費が異なっており、ディーゼル仕様のSSが3〜4km/L、リエゾンが7km/L、ガソリン仕様がSSで1.5〜2km/L、リエゾンが7km/Lといった数値。同じくオープンクラスに参戦したダイハツ・ミライース ターボはSSで8km/L、リエゾンで20km/Lで、やはりラリー競技でもエンジン排気量と車両重量で燃費性能が異なっている。
  ちなみに、ラリーカーは競技期間中にリフューエルとして定められたガソリンスタンドで給油を行っているのだが、ドライバー/コ・ドライバーは残された走行距離に応じて必要なガソリン量を計算し、そのぶんだけを給油している。事実、ラリーハイランドマスターズでもレグ2の2回目のリフューエルでは、11リットルや17リットルなど1リットル単位で少量のガソリンを入れる選手が多かったことも、ラリー競技の燃費事情を語るときには欠かせないトピックだといえるだろう。
  もちろん、リフューエルでガソリンを満タンにしている選手もいるようで、JN4クラスでスイフトを駆る西川真太郎選手は、「そもそもドライバー/コ・ドライバーの体重が重いし、燃料がギリギリだとガス欠を心配して走りに集中できないので満タンにしています」とのこと。当然ながら満タンにすれば車両重量は増してくるのだが、それでも西川選手が第5戦のモントレーを制していることは興味深い。
  このように、ラリーカーの燃費はじつにさまざまで、各クルーは給油量をシビアにマネジメントするなど、ドライビング以外の部分でも激しいバトルを行っているのである。

あわせて読みたい

スバルとSTIがコンプリートカー「S210プロトタイプ」を世界初公開【東京オートサロン2025】
webCG
レクサスLBX MORIZO RR(4WD/6MT)【試乗記】
webCG
消化酵素「カタヂアスターゼ」に込められた「生活者に寄り添う」思い
antenna
市販予定の限定車「スバルBRZ STI Sportパープルエディション」を初披露【東京オートサロン2025】
webCG
進化型「GRカローラ」モータースポーツの神髄
東洋経済オンライン
都道府県にフォーカスしたおやつ菓子発売
PR TIMES Topics
「トヨタGR」の、WRC仕込み四駆“GR-FOUR”の雪上パフォーマンスを目撃!!
GO OUT WEB
サウジアラビアでの過酷な挑戦! TOYOTA GAZOO Racing、最も困難なルートが予想される「ダカールラリー2025」に挑む
CARSMEET WEB
まるで洋菓子のような「季節のYO KAN KA」新登場
PR TIMES Topics
ガソリンがまた値上がり!? でも本格SUVに乗りたい漢に贈る、低燃費と楽しさを両立する5台
OCEANS
TOYOTA GAZOO Racingが新開発の2リッター直4ターボエンジンを展示【東京オートサロン2025】
webCG
家族みんなで使えるハンドケア「オー・ド・プチバトー ハンドクリーム」登場
PR TIMES Topics
TOYOTA GAZOO Racingは「ニュルブルクリンクでのクルマづくり」をテーマに出展【東京オートサロン2025】
webCG
話題のクルマを品定め!すごいヤツが改良されて再登場! 〈トヨタ〉GRカローラ
Safari Online
行列のできるカヌレ専門店POPUP開催
PR TIMES Topics
PIAA、2025年WRCでもトヨタのサポートを継続!9年連続、ライティング製品等の供給で
CARSMEET WEB
約29時間、一人で走りきるなんて…チームジャオスのBAJA 1000 優勝報告会。次回はレクサスGXのハイブリッドで挑む!
ドライバーWeb
真っ白ないちごを使用した「天使のいちごプリン」期間限定販売
PR TIMES Topics
ダイハツがターボと5段MTを搭載した「ミラ イースGR SPORTコンセプト」を初披露【東京オートサロン2025】
webCG
ヤリス/ヤリス クロスを一部改良。装備の充実化とスタイリッシュな特別仕様車を設定
ドライバーWeb