この記事をまとめると
■クルマ系YouTuber兼ライターとして活動中の黒木美珠が連載をスタート
■かつて車中泊を95連泊して日本1周を経験
■経験をもとに必要な道具などを紹介
脱OLを機に車中泊で日本1周!
「宿泊先の予約も不要、いつでもどこでも自由に過ごせる」。
そんな車中泊旅の魅力に惹かれる人は多いかもしれません。私は95日間にわたる日本一周の旅を、すべて車中泊で完走しました。この経験を通じて学んだ、車中泊ならではの楽しみや、快適に過ごすための必須アイテムやルールなどなど、これからWEB CARTOPとCARトップ本誌の連載を通して紹介していきます!
●全日“車中泊”にこだわった理由とは? 日本1周の裏側
クルマ系YouTuber兼自動車ライターとして活動中の黒木美珠です。
数年前に95日間の車中泊をしながら日本1周を達成し、現在も年間約5万kmを走行、昨年は大雪のなか、北海道最北端の稚内から東京まで1700キロ、ひとりで自走するほどの運転好きを自負してます。
この約3カ月にもわたる車中泊の経験が誰かの参考になればと考えていたところ、このたびご縁をいただき”車中泊連載”をスタートする運びとなりました。
今回は初回として、なぜ私が車中泊で日本1周を決断したのかその経緯と、車中泊に最低限必要なものについてご紹介します。
私は、学生の頃から「日本1周をしてこれまで見たことのない日本を見てみたい」という情熱が、心にありました。しかし大学生のころは時間こそあったものの、クルマを所有しておらず、公共交通機関と宿泊施設を利用する旅では、私が理想とするコースをたどるのが難しく、また、予算の制約もあり断念したのです。
その後、社会人になってからも日本1周の夢を諦めることができず、退職を機に、日本1周の旅に出ました。クルマでしか行けない秘境のような場所も巡りたかったため、この旅の相棒として当時乗っていたホンダ・ヴェゼルを選びました。
“ヴェゼルで車中泊”と聞くと、少し窮屈に感じるかもしれません。しかし、コンパクトSUVでありながら、後部座席を倒すことでフルフラットな空間ができ、前席を最大限に前方へ移動させれば、身長1750mmの私でも十分に縦になって寝ることができるサイズ感だったのです! なので、旅をした95日間、そのすべてを車中泊で過ごしました。
車中泊の魅力はいくつもありますが、とくに印象的だったのはふたつです。
ひとつ目は、宿泊費の節約です。宿代を抑えたぶん、ご当地の美味しい食事を楽しんだり、旅全体の出費を大幅に削減することができました。もし日本1周旅のような大きな旅をされるときは、多くの人が収入はいったんなくなった状態(貯金)になる方も多いと思います。旅行で予算を多く取られる宿代が浮くのは大きなメリットではないでしょうか。
ふたつ目は、クルマへの愛着と感謝が深まることです。普段何気なく乗っているクルマですが、日本1周となると、日中は移動手段として、夜は風雨をしのぐ場所として役立ち、また、テントとは異なり、施錠ができる安心感のもとで快適に眠ることができます。この旅ができたのはクルマのおかげだと強く実感し、クルマが単なる移動手段以上の、より大切な存在になりました。
●車中泊旅を成功させるための「美珠的車中泊の三種の神器」
車中泊旅には多くの準備が必要ですが、とくにこだわっておきたいアイテムを3つご紹介します。
まずひとつ目は「目隠し」です。防犯対策、安眠、そして断熱効果の3つの面で欠かせない重要アイテムです。車内の様子を外から見せないことで防犯につながり、外の視線をシャットアウトできます。さらに、眠る際に意外と気になるのが街灯や外の光です。安眠のためにも、目隠しは必須です。
私自身は、ホームセンターで手に入る住宅用の断熱材「スタイロフォーム」を窓のサイズに合わせてカットし、アルミシートを被せて使用していました。これにより、外気温の影響を最小限に抑え、快適な温度で過ごすことができました。
とはいえ、数日間の短期間の車中泊であれば、こうした自作は大変だと思います。その場合、市販品で対応するのもオススメです。
なかでもとくに推しなのは、断熱効果のあるアルミタイプの目隠しです。外気温に左右されにくく、朝晩の冷え込みにも対応できます。また、隙間ができないように工夫することも大切です。これにより、光をしっかり遮断するとともに、不審者の視線から身を守ることができます。
ふたつ目は「寝具」です。車中泊やキャンプ用のマットは数多く販売されていますが、私は6つ折りのシングルサイズマットレスを2枚重ねて使っていました。これにより、車中泊でもベッド並みの快適な寝心地を確保できます。一般的にはふたつ折りや3つ折りのマットレスが多いですが、6つ折りタイプなら細かく折りたため、使わないときはコンパクトに収納可能な点も便利です。さらに、身長が高くない方であれば、ひとつ分を折り返して簡易的な枕として使うこともできます!
3つ目は「枕」です。寝具ということもあり、先述のマットと重複するように思えますが、枕もこだわるべき重要なアイテムです。数日程度の車中泊ならあってもなくても問題ないかもしれませんが、長期間の旅では、枕が快適な睡眠に大きく影響します。私は自宅で使っているものと同じ枕を購入し、できるだけ自宅と同じ環境を再現するように工夫するほどでした。
枕で睡眠の質が大きく変わるといっても過言ではありません。連続の運転旅では、目や脳が予想以上に疲れるため、枕はもっともお金をかけるべきアイテムかもしれません! 自宅の枕を持参するのもいいですが、車内とはいえ、屋外で使う以上汚れが気になる場合は同じものを購入して、車中泊専用にするのもおすすめです。私は後者を選びました。
これら3つのアイテムは、車中泊を快適に過ごすための最低限の必需品と言えるでしょう。
さらに、旅をより充実させるためのプラスアルファとして、ポータブル電源や電池式のランタン(照明)があると非常に便利です。
まず、ポータブル電源は、車中泊中に電化製品を使用する際に欠かせないアイテムです。停車中にも電力を確保できるため快適な旅をサポートしてくれるでしょう。走行中はシガーソケットを利用し、停車時にはソーラーパネルで充電することで、電力不足の心配を軽減できます。
また、ランタンも車中泊において非常に便利なアイテムです。夜間にトイレへ行く際や、目隠しをした車内で暗くなりすぎたときに、手もとを明るく照らしてくれます。このようなアイテムを取り入れることで、さらに快適で便利になるでしょう。
・アクセサリーソケットは多いに越したことなし!
クルマの電源としてお馴染みのアクセサリーソケットは車中泊において必須。出力は低めですが、前にひとつ、後部のどこかにひとつあればスマートフォンの充電など、小さな機器の充電に使えます。DIYでの増設も簡単です。
・冷蔵庫は超有能!
意外と車中泊旅で便利なアイテムが車載冷蔵庫。夏場でもアイスやお土産の海産物を安心して保存できるので、車中泊のQOL爆上がり! 3万円前後から買えちゃいます。
・女子は長ズボンが便利!
車中泊において服装も重要です。とくに女子はスウェットのような緩めの長ズボンがあると銭湯での入浴後や車内からお手洗いに行く際も気兼ねなく使えてかなりラク。数着もっておくことをオススメします。
●雄大な自然を駆け抜ける! 磐梯吾妻スカイラインで感じる日本1周の思い出
最後に、日本1周で訪れた思い出の地をひとつご紹介させてください。
今回ご紹介するのは福島県にある磐梯吾妻スカイラインです。吾妻連峰を縫うように走る山岳観光道路で、全長約29km、平均標高1350mを誇り、「日本の道100選」にも選ばれています。
雄大な自然が織りなす景観は、まるでアメリカのレッドロックキャニオンを思わせるほど美しく、見応えがあります。
例年4月中旬から11月中旬まで通行可能で、秋には美しい紅葉も楽しめるのも魅力です。凍結によって通行止めになってしまう日もあるそうなので、事前に通行可能かどうか確認の上、訪れることをオススメします。
時間に縛られることなく、好きなときに好きな場所へ行ける車中泊旅の魅力を発信していきます。ぜひ自分に合ったアイテムを揃えて充実した車中泊ライフを楽しんでくださいね。
CARトップ12月号(2024年10月26日販売)でも連載をスタートしたので、そちらもお見逃しなく!
【車中泊連載は動画も同時にスタート! ぜひチェックしてください】