燃料代も安くて燃費もよくなるなら最高な気がする! それでも「ディーゼルハイブリッド」をほぼ見かけない理由とは

2024.10.20 10:00
この記事をまとめると
■HVやPHEVシステムの多くはガソリンエンジンと組み合わせられる
■ディーゼルエンジンととモーターは特性が似ており組み合わせるメリットが薄い
■ハイブリッドシステムもディーゼルエンジンも高額なので車両も高くなる
いわれてみれば見かけない気が……
  ハイブリッド車(HV)が、あらためて注目されている。電気自動車(EV)の普及に期待は大きいが、本格的普及段階まではHVや、プラグインハイブリッド車(PHEV)の販売がまだまだ伸びるだろう。
  それでも、HVやPHEVで使われるエンジンはガソリンがほとんどで、ディーゼルは、マイルドハイブリッド止まり。本格HVを目にする機会は限られる。それはなぜか?
  ディーゼルエンジンとモーターの出力特性は似ている。もちろん、ディーゼルエンジンもガソリンエンジンと同じように、回転が上がるほど出力が高まる特性だが、ガソリンエンジンに比べトルクが大きく、低速トルクにゆとりがある。
  モーターも、回転が上がれば出力は高くなっていくが、大きな特徴は、ディーゼルエンジンと同じようにトルクが大きく、しかもそのトルクは低回転から最大値を出せる能力がある。このため、EVは出足の加速がよい。
  ディーゼルエンジンも、出足がよいことで知られている。それは低回転のトルクが大きいからだ。その特性を活かし、大型バスやトラックで重宝されてきた。その後、ターボチャージャーによる過給を加えることで、高回転での加速の伸びもでて、乗用車への採用が広がった。
  つまり、ディーゼルエンジンとモーターは、出力の出方や、ことに低回転でのトルクにゆとりがあるので、これを組み合わせる利点を実感しにくいのだ。
  一方、ガソリンエンジンは、高回転での伸びやかな加速が特徴だが、低回転はトルクが小さいので、そこにモーターのトルク特性を組み合わせると、出足がよくなる。
  動力性能が高まるだけでなく、燃費も改善される。発進が苦手なガソリンエンジンは、スタート時に運転者がアクセルを深く踏み込みがちになり、燃料消費が多くなる。
  ディーゼルエンジンはまた、排出ガス規制への対応で、後処理装置に費用が掛かる。尿素SCR(選択還元触媒)という触媒や、DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)という粒子状物質を除去する装置が不可欠で、日本においてはガソリンエンジン車の場合不要な装備だ。
  このように、ガソリンエンジンより追加の排出ガス後処理装置をもちながら、さらに、ハイブリッド用のモーターやバッテリーを装備するとなると、原価が上がり、車両価格が値上がりしてしまう。
  ガソリンに比べ軽油の燃料代が安いとはいえ、そもそも新車価格が上がったのでは選択肢から外れてしまう可能性も大いにあり得る。
  加速性能や燃費性能で明らかな優位性が出るわけでもなく、それでいて車両価格が高くなりがちになる懸念のあるディーゼルハイブリッドは、なかなか消費者に受け入れられにくいのではないか。
  なので、減速時の回生でエネルギー回収の一助となるマイルドハイブリッドは商品化されるかもしれないが、ディーゼルハイブリッドの選択肢が限られるのは、以上のような背景による。

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