公益財団法人 横浜市芸術文化振興財団
2024年11月29日(金)~ 12月15日(日)KAAT神奈川芸術劇場、フォーラム南太田(男女共同参画センター横浜南)、横浜市開港記念会館、BankART KAIKO、CROSS STREET 他
2, Hwayeon Nam, 2024, single-channel video, stereo, 33 min 12 sec, courtesy of the artist
YPAMと今年のプログラムについて
YPAM(ワイパム、横浜国際舞台芸術ミーティング、Yokohama International Performing Arts Meeting)は、同時代の舞台芸術に取り組む国内外のプロフェッショナルが、公演プログラムやミーティングを通じて交流し、舞台芸術の創造・普及・活性化のための情報・インスピレーション・ネットワークを得る場です。1995年に「芸術見本市(Tokyo Performing Arts Market、TPAM)」として東京で開始、2015年からはアジア・フォーカスを強化し、アジアとの共同製作にも参画。25年以上の歴史を経て、アジアで最も影響力のある舞台芸術プラットフォームのひとつとして国際的に認知されています。職業的目的に特化した一部のプログラムを除き、ほとんどのプログラムは一般のお客様にもご参加いただけます。
主催公演プログラム「YPAMディレクション」では、世界初演の2演目を含む5作品が上演されます。日本体育大学横浜・健志台キャンパスで「集団行動」を実践する学生70名とドイツの現代バレエの振付家とのコラボレーション、シンガポールの演出家が横浜を中心にボランティアパフォーマーを募って取り組むイギリスのバロックオペラのクィア的翻案、在日コリアンの死刑囚との想像上の対話を通して日本の暴力史を考察するレクチャーパフォーマンスなど、YPAMらしいトランスナショナルな視点による作品が集まりました。日本植民地主義時代から冷戦にかけての東アジア史を体現するダンサー、崔承喜について異なる視点から語る2作品もぜひ合わせてご覧ください。
プロフェッショナルの交流プログラム「YPAMエクスチェンジ」では、日本モダニズム建築の傑作と名高く、今年で開館70周年を迎える神奈川県立音楽堂にて、レセプションと基調講演/公演(内容は後日発表)を開催します。また、今回はゲストスピーカーが登壇するシンポジウムやYPAM参加登録者がホストする公募ミーティングなどが実施される「ミーティングポイント」を、フォーラム南太田(男女共同参画センター横浜南、12月4日~6日)、横浜市開港記念会館(12月12日~14日)という二つの会場と期間で展開します。横浜と海外の芸術文化団体との特別協力による「YPAM連携プログラム」では規模も内容も様々な6企画をご紹介します。参加自由の舞台芸術フェスティバル「YPAMフリンジ」には、
YPAM史上最多の50演目がエントリー。その3割が海外からの参加です。予測不能な展開と発見の喜びに満ちたフリンジフェスティバルの醍醐味を是非ご堪能ください。
いま・ここでしか体験することのできないライブパフォーマンスが持つローカリティの肯定と、国境を超えた専門家交流との両立を通して、横浜から新しい価値を発信するYPAMにご注目ください。
プログラム概要
1)YPAMディレクション(主催公演プログラム)
ユニ・ホン・シャープ(フランス)『ENCORE - mer』12月4日(水)~5日(木) BankART KAIKO在日コリアン3世として東京に生まれ育ち、後にフランス国籍を取得したアーティストによるレクチャーパフォーマンス3部作の1作目(2022年初演)。朝鮮のダンサー崔承喜(1911~1969)に関するパンデミック中のリサーチについてのプレゼンテーションが、自身の言語的、民族的、文化的、政治的アイデンティティについてのパフォーマティブな問いを呼び起こしてゆく。
Graphic design: Tezzo Suzuki
ユニ・ホン・シャープ(フランス)『ENCORE - violet』12月6日(金)~7日(土) BankART KAIKO今回が世界初演となるレクチャーパフォーマンス3部作の2作目は、暴力についての作品。東京で1958年に日本人女子高生を強姦し殺害したとされ(小松川事件)、1962年に絞首刑に処された在日コリアン2世の少年との架空の対話を通して、1923年に神奈川、東京、隣接地域で起こった朝鮮人大量虐殺を語る試み。最終回後に3作目の構想を共有予定。
Graphic design: Tezzo Suzuki / Photo: Courtesy of Asahi Shimbun
■T:>Works (シンガポール)『ディドーとエネアス』12月5日(木)~7日(土) KAAT神奈川芸術劇場<中スタジオ>ヘンリー・パーセル作曲のバロックオペラ『ディドーとエネアス』(1689年)を、T:>Worksの演出家オン・ケンセンが「シンガポールでいちばんデカい」ドラッグクイーン、ベッカ・ド・バスと横浜を中心にクィアコミュニティから募ったパフォーマーとのコラボレーションで再解釈。古典的物語から愛、喪失、運命、エンパワーメントなどの主題を新たな視点で引き出す。
Left:(C)Jaya Khidir Right:(C)Khairullah Rahim & Taufiq Rahman
ナム・ファヨン(韓国)『2』12月5日(木)~7日(土)、12日(木)~14日(土) KAAT神奈川芸術劇場<アトリウム>崔承喜と台湾のダンサー蔡瑞月(1921~2005)はいずれも、日本植民地時代に石井漠に学んでいる。すでに崔の人生と仕事を10年以上リサーチしているナムにMMCA(ソウル)とアジアン・アート・ビエンナーレ(台中)が委嘱した新作。2人のダンサーについて、2つの都市で「記録を残した者」と「未来に属する者」の対話が時間をねじ曲げるかのように展開する。
2, Hwayeon Nam, 2024, single-channel video, stereo, 33 min 12 sec, courtesy of the artist
リチャード・シーガル/バレエ・オブ・ディファレンス(ドイツ)+日本体育大学『集団行動』12月4日(水)*、6日(金)*、9日(月)*/14日(土)KAAT神奈川芸術劇場<ホール> *公開リハーサル(YPAM参加登録者のみ)日体大で1966年から実践され、その精度の高さで近年多分野から注目される歩行訓練/パフォーマンス「集団行動」。個人/群衆、規律/主体性、芸術/スポーツについて多くの問いを誘発するこの実践に着目した振付家が、クリス・サルターによる振付アルゴリズム、カーステン・ニコライ(アルヴァ・ノト)による音楽を導入し、70人以上の学生と取り組む新作。
提供:日本体育大学
2)YPAMエクスチェンジ(交流プログラム)
Photo by Ryusuke Ohno
今年の交流プログラム「YPAMエクスチェンジ」は、オンラインのキックオフ・ミーティングで開始。日本モダニズム建築の傑作と評価され、今年で開館70周年を迎える神奈川県立音楽堂にて、レセプションと基調講演/公演(内容は後日発表)を開催します。
今回はミーティングポイントを二つご用意。フォーラム南太田(男女共同参画センター横浜南)でのミーティングポイント1では、3日間にわたってシンポジウム、公募ミーティング(プレゼンテーション、ラウンドテーブル)を実施。TPAMで人気だった 、国内外のフェスティバルディレクターやプロデュー
サーとの1対1のミーティングができるプログラム「スピードネットワーキング」も復活します。
ミーティングポイント2(横浜市開港記念会館)では東アジアを代表する3つのダンスフェスティバルが協働して展開する第6回「HOTPOT 東アジア・ダンスプラットフォーム」の関連シンポジウムとプレゼンテーション、公募ミーティング(ラウンドテーブル)、横浜で地域でアートを考える「ヨコハマアートサイトラウンジ」を実施。一部のセッションは一般のお客様にもご入場いただけます。
以上のプログラム詳細はウェブサイトに順次掲載します。
YPAMヘヴィユーザーの皆さまには最重要プログラムとの呼び声高いレイトナイト・ミーティングポイント。今回は日ノ出町のシャンソンバー「シャノアール」が会場となります。フリンジ作品の上演もあり、渾然一体となった交流は深夜まで続きます。
3)YPAM連携プログラム
横浜/神奈川と海外の芸術文化団体の特別協力によりお届けする「YPAM連携プログラム」。今年は、ヨコハマダンスコレクション(主催:横浜赤レンガ倉庫1号館)と第6回「HOTPOT 東アジア・ダンスプラットフォーム」がYPAMと同期間に開催されるほか、KAAT × Vanishing Point『品川猿の告白Confessions of a Shinagawa Monkey』、KAAT × ケダゴロ× 韓国国立現代舞踊団『黙れ、子宮』といった野心的な国際コラボレーション、愛知県芸術劇場× Dance Base Yokohama主催のダンスショーケース、公共空間の新しい活用法を提案する「ゾウノハナ・フューチャースケープ・プロジェクト」、猿島と横須賀市内で展開する芸術祭「SENSE ISLAND/LAND」が並びます。
- ヨコハマダンスコレクション2024/HOTPOT 東アジア・ダンスプラットフォーム
11月28日(木)~12月15日(日)
- 『品川猿の告白 Confessions of a Shinagawa Monkey』日英国際共同制作KAAT × Vanishing Point 11月28日(木)~12月8日(日)@KAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>
- 「ゾウノハナ・フューチャースケープ・プロジェクト2024」主催:象の鼻テラス
12月6日(金)~8日(日)@象の鼻テラス、象の鼻パーク
- 愛知県芸術劇場× Dance Base Yokohama『パフォーミングアーツ・セレクション2024』/DaBYレセプション+ショーケース
12月7日(土)~9日(月)/12月10日(火)~12日(木)@KAAT神奈川芸術劇場<ホール>/Dance Base Yokohama
- 『黙れ、子宮』KAAT × ケダゴロ× 韓国国立現代舞踊団
12月13日(金)~15日(日)@KAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>
- SENSE ISLAND/LAND|感覚の島と感覚の地2024
10月26日(土)~12月15日(日)@猿島、横須賀市内複数会場
4)YPAMフリンジ(公募プログラム)
「横浜で観る。横浜で演る。」すべてのアーティストに開かれた舞台芸術祭「YPAMフリンジ」。TPAMフリンジから名称を改め、会場を横浜/神奈川エリアに限定して今回で3年目を迎えます。昨年より大幅に参加アーティストも増え、50演目がエントリー。有名カンパニーから、新進アーティストまで、YPAMフリンジ史上最も多彩なラインナップとなりました。海外からの参加アーティストも過去最多。誰にも予測不能なフリンジフェスティバルの醍醐味を是非ご堪能ください。
ラインナップについては全国の劇場/アートスペースなどに配架されているYPAMフリンジプログラムブックとYPAMイベントサイトをご覧ください。
フリンジ参加アーティスト・制作者・観客の寄合所「YPAMフリンジセンター」では、自然栽培の玄米食と自然派ワインを通年で提供。YPAM会期中は月曜日から金曜日の21時まで営業しています。
YPAMフリンジ2024参加アーティスト/カンパニー(プログラムブック掲載順)
●小林企画●東京タンバリン●平原慎太郎/OrganWorks●水越朋、ホシノメグミ、JUNKO、南阿豆、他●ザジ・ズー●ヨコハマサウンドスケーププロジェクト●青木涼子+ ジェイムス・ハリック/JOLT Arts●Murasaki Penguin × Yu-Feng Lai●SLOW CIRCUS/SLOW LABEL●沈行舟|サッシャ・ペレグリーニ●ジェイムス・ハリックと青木涼子/JOLT Arts●櫻井想●ジュンハ/主流持込禁止●パク・チャンウ/主流持込禁止●Washi+●ジェジェ-プロジェクト●前半生藝術概念●牧原依里/聾の鳥プロダクション●譜面絵画、新聞家/村社祐太朗●奥村万琵●若葉町ウォーフ●NAGORI Ensemble●かもめマシーン●肉態演劇団●キウチアサミ●抗原劇場●StarMachineProject●Point View Art Association × Creative Links × Dynamo Management●劇団かかし座●人間の条件●Passoverdance●マージナルコンソート●Mirai Circus Network●濱田陽平●役者でない●スヌーヌー●中屋敷南●世界劇団●Point View Art ×Creative Links × Dynamo Management●李思遥/リーシャオ劇場●小野彩加中澤陽スペースノットブランク●篠田千明●玉川鈴●池田亮司(ゲスト:VMO a.k.a Violent Magic Orchestra)●鮭スペアレ●アリス劇場実験室●y/n●菅原圭輔●オル太●NPO法人あしおとでつながろうプロジェクト
スケジュール(YPAMディレクション、YPAM連携プログラム)
スケジュール(YPAMエクスチェンジ、YPAMフリンジ)
参加登録/チケット
舞台芸術関係者のみなさまには参加登録をお願いしています。
一般のお客様は参加登録は不要です。プログラムごとにチケットをお求めください。
開催概要
名称横浜国際舞台芸術ミーティング2024(YPAM2024)
会期 2024年11月29日(金)~12月15日(日)
会場 KAAT神奈川芸術劇場、フォーラム南太田(男女共同参画センター横浜南)、横浜市開港記念会館、BankART KAIKO、CROSS STREET、YPAMフリンジセンター、神奈川県立音楽堂、他
主催 横浜国際舞台芸術ミーティング実行委員会
(公益財団法人神奈川芸術文化財団、公益財団法人横浜市芸術文化振興財団、横浜市にぎわいスポーツ文化局、特定非営利活動法人国際舞台芸術交流センター)
共催 横浜市にぎわいスポーツ文化局、公益社団法人全国公立文化施設協会
助成 一般財団法人地域創造
事業共催 独立行政法人国際交流基金
協力 BankART1929、特定非営利活動法人黄金町エリアマネジメントセンター、公益財団法人横浜
市観光協会、協同組合伊勢佐木町商店街、横浜中華街発展会協同組合
後援 外務省、神奈川県