この記事をまとめると
■ボルボ EX30はブランド史上最小のコンパクトEVだ
■操作はセンターディスプレイでほぼ完結する先進性が光る
■500kmの移動でも充電は1回で済むほどの大容量バッテリーを搭載
EVで東京から京都までドライブに出発!
今回は、ボルボの電気自動車「EX30」に試乗し、東京から京都までロングツーリングを兼ねて試乗をしてきました。
ボルボの電気自動車には、C40リチャージ、XC40リチャージ、そして今回試乗するEX30があります。EX30は、街なかの立体駐車場に対応するサイズの全長4235mm×全幅1835mm×全高1550mmで、ボルボ史上もっともコンパクトな電気自動車SUVということと、EV専用のプラットフォーム(SAE)を採用していることが大きな特徴となっています。
エクステリアは、電気自動車らしいグリルレスのフロントマスクにトールハンマーをモチーフとしたT字型のヘッドライトが印象的。これにより、実際のサイズよりも迫力のある大きなボディに感じました。試乗したカラーはクリスタルホワイト。ほかにクラウドブルー、オニキスブラックメタリック、モスイエロー、ヴェイパーグレーの全5色展開となっています。
インテリアを見てみると、縦型の大きなセンターディスプレイとシンプルな運転席まわりに目が留まりました。よくあるような物理スイッチはほとんどなく、すべてセンターディスプレイに集約されています。
このセンターディスプレイは、Google搭載でタッチ操作にも呼びかけにも対応してくれる優れもの。スピードメーターなどを表示するドライバーディスプレイとナビゲーションシステムがひとつに統合されているのもEX30のポイントともいえます。
さっそく乗り込むと、明るく優しい雰囲気の室内が好印象でした。
インテリアデザインは2種類あり、今回採用されていたのは「ミスト」というタイプ。夜明けの光に切り取られた朝霧の美しさをカラーやデザインで表現しています。ドア、ダッシュボード、シートなど、内装のいろいろな部分に再生可能な素材やリサイクル素材が使われていることにも驚きました。
ペットボトルやリサイクルと聞くと、チープなイメージをもつ方も多いと思いますが、車内はナチュラルで温かみがあり、優しく品のある空間となっていました。
シート表皮には、夏は涼しく冬には温かいという特徴を持ち、通気性がよく汚れにも強い「テイラード・ウール・ブレンド」が使われています。
EX30には電源(イグニッション)スイッチはなく、キーをもって乗り込めば、自動で電源がオンになるので、ハンドルの後ろ側に付いているシフトレバーを「D」にすることですぐに発進ができます。電源オフも同様に、キーをもって降りると自動でオフになります。手動で電源をオフにしたいときは、センターディスプレイで操作することも可能です。
走り出しはレスポンスがよく加速がスムーズ! 地面をしっかりキャッチしてくれる感覚もあり、乗り心地もいいです。ステアリングはスクエア型でもちやすく、切り替えしも自然にできて操作性に優れます。
ステアリングフィールは軽すぎず重すぎずちょうどいい感覚。重いと安定感に繋がりますが、長時間の運転の場合は疲れてしまうので、個人的にはこのくらいがGoodでした。
高速走行では、とくに合流や追い越しで加速が必要なときのパワーや瞬発力が際立ちます。
道路の繋ぎ目部分の跳ね返りやコーナーの揺り返しも気になることはなく、静かで穏やか。ひとつ注意ポイントをあげるならば、加速がスムーズな反面、EVなのでエンジンの音がないこともあり、想像よりスピードが出てしまうことです。
EX30は、フロント部分に大型のサウンドバーをまとめています。これがまた高音質で、運転中は音楽を聴きたい派なので流してみると音がクリアでした。さらにEX30には、「アンビエントテーマ」という車内のイルミネーションとサウンドが選べる機能が付いています。北欧の自然を感じさせる5種類のイルミネーションとサウンドが選べるので、音楽やラジオ以外の音を流して、気分を変えてドライブを楽しめます。
京都へ向かう途中に、今回は名古屋手前で休憩と充電をしました。電気自動車に乗る場合は、EV充電スポットを検索できるアプリを前もって入れておくと、各地の充電スポットの空き状況がわかるので、こうした運用もオススメです。
また、クルマ自体にもリマインダーが付いていて、充電残量が20%になると自動的にシステムが作動し、周辺の充電ステーションを検索してGoogleマップに表示してくれる嬉しい機能も備えています。
お昼ご飯は、名古屋近くなので味噌カツ定食を食べて自身もエネルギチャージ完了!
取りまわしのよさも抜群!
高速走行の後半は、追従クルーズコントロール(ACC/アダプティブ・クルーズ・コントロール)を使ってみました。ACCを使うときも、シフトレバーを下げることでシステムがオンになります。速度変更はステアリングの左にある、+と-のボタンで操作をします。
長距離運転となると、後半は疲れも出てくるのでACCは疲労軽減に大きく貢献してくれます。違和感のないレーンキープで安心してドライブを続けることができました。
安全機能も充実していて、「ドライバー・アラート・コントロール」は特殊なセンサーで1秒間に約13回、ドライバーの目の動きを検知し、注意力の低下や眠気などを警告してくれます。
恥ずかしながら、自身も何度か警告を表示されました。少し目線をディスプレイに向けていたり、同乗者と話し中に運転に集中できていないことがあったのかも。本人は注意をしている“つもり”でも、センサーは“つもり“を許さない、ボルボらしい安全第一な設定になっていることを実感しました。
ドライブの途中で今回は比叡山ドライブウェイの中腹にある、夢見が丘展望台へ立ち寄りました。
この展望台からは、びわ湖と大津市内の景色が一望できます。夜に街の明かりが輝き、昼夜問わず人気スポットだそうです。ちなみにドライブウェイを下っていくときに、ワンペダルをオンにしてみると回生ブレーキがより強く利き、数キロ降りたところで1%ほど充電が回復していました。もっと有効に使えば、さらなる回復も見込めそうです。
翌日は京都市内を観光。京都を走っていると、ところどころ道幅が狭い場所があります。知らない道というだけで少し運転が慎重になりますし、それに加えて道幅が狭いのはプレッシャーですが、EX30の視界のよさ、車両感覚の掴みやすさ、取りまわしのよさでその不安が和らいでいるように感じました。
東京から京都のドライブを通して、EX30をもし愛車として迎えたとしたら、コンパクトながらも高級車のような乗り心地と、さまざまなシステムで充実したカーライフが送れるのではないかと想像できました。
そして、東京から京都まで1回30分の充電をしただけで、バッテリー残量を気にせずに余裕で走れたのは正直驚きましした。環境に配慮されたクルマに乗ることにより、いままでよりも人や環境にも優しい気もちに、少しはなれそうなクルマだと感じました。