株式会社ワコール(本社:京都府京都市、代表取締役社長執行役員:川西啓介)が展開する「SCANBE(スキャンビー)」は、3秒のセルフ計測で自分のからだを知ることができる3D計測サービス。2019年のサービス開始から延べ25万人以上(2024年6月末時点)のお客さまが体験し、今年3月からはAIによる骨格診断が受けられる[わたしを知る骨格診断]も有料サービスとして提供中です。
PR TIMES STORYでは、既存のインナーウェア売場を超えてお客さまに新しい価値をお届けしていく「SCANBE」の展開を連載で発信していきます。
第二回となる今回は、5月24日(金)~6月10日(月)にルミネ新宿 ルミネ2で実施した「SCANBE」初のポップアップストアをピックアップ。開催の目的や反響、今後の展開などをワコールで「SCANBE」のサービスデザインを担当する南さん、高田さんにインタビューしました。会場となったルミネ担当者からのコメントも交えながらお届けします。
“トレンド発信地”ルミネ新宿 ルミネ2での新たなチャレンジ。
― 「SCANBE」のポップアップストアをルミネ新宿 ルミネ2で開催する目的は何だったのでしょうか?
高田:大きく2つあります。ひとつは「SCANBE」の認知拡大、もうひとつは今後の出店戦略のヒントを得ることでした。
2023年5月にリブランディングした「SCANBE」は、10代から20代のZ世代をメインターゲットにしているため、ルミネ新宿 ルミネ2さんという、Z世代にとってより身近な商業施設に出展し反応をみることで、今後の展開の参考にしようと考えました。
― Z世代が集う施設はたくさんあります。そのなかでルミネ新宿 ルミネ2に決めた理由は?
南:ルミネ新宿ルミネ2さんは新宿というロケーションにあって、圧倒的な集客力をもっているファッションビル。常に新しいショップが入っていて最旬のアイテムがそろう、トレンド発信地でもあります。私自身も高校生のころから通い、様々なタイプの人がおしゃれを楽しめる場所だと認識していたので、「SCANBEのイベントをやるならここだ!」と考えていました。
実は3D計測サービスの前身ブランド「3D smart & try(スリーディー スマート アンド トライ)」の時代からルミネさまに出店の相談をしていて、「まずはポップアップストアから」と仰っていただいていました。しかし当時はポップアップストアのスキームが私たちに整っておらず、残念ながら実現には至りませんでした。そして今回、「SCANBE」へのリブランディングのタイミングでルミネさまが改めて興味をもってくださったことを受け、これはチャンスだとチャレンジを決めました。
高田:リブランディング後、お客さまに向けたイベントを実施していなかったなかでの、ポップアップストアの出店。新宿という好立地にあってターゲット層であるZ世代が集まるルミネ新宿 ルミネ2さんのポテンシャルをお借りできれば、「SCANBE」の価値を多くの方に実感いただけると思いました。
― ポップアップストアを成功させるためには、施設とのパートナーシップが重要です。ルミネ担当者とのコミュニケーションはいかがでしたか?
高田:とてもスムーズでした。私たちのサービスが大切にしている「自分を知ってもらう」という部分と、ルミネさまが掲げる「わたしらしさをサポートする」という想いは重なっている部分が多いと思っています。今回のポップアップストアでは、お客さまが自分らしくお買い物できる“体験”の部分に期待されていました。
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●ルミネご担当さまのコメント
現代はお客さまの価値観や興味が多様化しています。ただモノを販売するのではなく、体験型コンテンツが含まれたポップアップストアを出店することでお客さまにより楽しんでいただきたいと考えました。
ワコールさまの「SCANBE」は結果が詳細で、デニムのサイズや似合うファッションに関してもかなりパーソナルな情報を提供してくれます。「お客さまが新しいカタチでファッションを楽しめる」、そのきっかけづくりができればという期待感を込めて出店をお願いしました。
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南:お客さまのためにより良いものを提供したいという想いとともに、「出店者にとってのプラス」もルミネさまは大切にされています。物販のないポップアップストアはルミネさまにとってもトライアルな要素が多く、常に「一緒にがんばりましょう」と対応してくださいました。高さのあるスキャナーを設置するときも柔軟に対応いただき、自由度の高い設計ができたことで私たちが思い描くストアが実現しました。
体験にフォーカスしてもらうため、“売り感”をできるだけ排除した。
― 今回のポップアップストアは若手スタッフの高田さんがメインで担当されたとか?
南:Z世代が集まるルミネ新宿 ルミネ2さんへの出店なので、お客さまと年齢の近い高田が空間づくりをするのが適していると考えました。実際、とてもキャッチーな空間が完成したと思っています。
― どのような空間を目指したのですか。
高田:とにかく目立つストアにしたくて。社内のデザイナーにオーダーしたら、ピンクと赤をメインにした視認性の高いデザインを提案されました。海外の街中にあるようなおしゃれなスタンドがコンセプトです。
― なぜそのコンセプトに?
高田:サービスだけを提供するストアはモノを置いていないので、入りにくい空間になってしまうのではないか?という懸念がありました。「スタンドみたいに気軽に入ってもらえる場所になったらいいよね」とデザイナーやチームメンバーとアイデアを出し合い、販売はしませんがTシャツや雑貨を飾るなどして入店しやすい雰囲気をつくりあげました。骨格タイプ別おすすめコーディネイトを店頭ディスプレイにしたのもそのひとつです。
南:「SCANBE」は個室に入って行うサービスなので、外から見てもわかりにくいという難点があります。そのうえ今回は下着などの商品を展開していないので、アイキャッチとなるものが必要でした。トレンドアイテムが並ぶ骨格タイプ別のコーディネイトは視覚的にわかりやすいし、興味を引くことで入店のきっかけにもなります。ルミネさまが館内のアパレルショップと連携してくださり、[わたしを知る骨格診断]を監修いただいた先生と一緒に商品をピックアップしていきました。
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●ルミネご担当さまのコメント
ストレート、ウェーブ、ナチュラルの3つの骨格タイプに合わせて館内のアパレルショップのアイテムをセレクトしてもらい、ポップアップストアに展示いただきました。骨格タイプごとにアイテムをディスプレイするのは、アパレルショップでは見たことがありません。お客さまにとっても新鮮に映り、該当のアパレルショップへの興味・関心を高めるきっかけとなったのではないでしょうか。
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― 骨格診断を物販につなげていなかったのも驚きました。
高田:「SCANBE」の体験にフォーカスしてもらいたかったんです。商品を置いてしまうと、“買わされるかもしれない”と感じて体験に集中できない方もいらっしゃるのではないか、と考えました。ポップアップストアでは3D計測結果からお客さまに合うブラジャーの選び方を10分でお伝えする[わたしに合うブラ診断]もご希望の方には行っていましたが、気軽に体験してもらえるよう、“売り感”はできるだけ排除しました。
― ワコールであることもアピールしていませんでした。
高田:外観に小さくワコールのロゴを配置している程度です。
南:ターゲットであるZ世代にとって、「ワコールのブランドパワーがどれほど響くのか?」をメンバーとよく話し合いました。ワコールを知っている人にとっては信頼の証になるかもしれませんが、知らない人にとっては「何かのマーク?」ぐらいの印象かもしれません。ルミネ新宿 ルミネ2さんの客層に対してワコールを積極的にアピールするよりも、「SCANBE」のブランドの世界観を大切にした空間づくりをしようと思いました。
高田:今回は事前予約制を採用していて、予約はワコールのサイトで行いました。また「SCANBE」で計測したボディデータはワコールのアプリに記録されます。そこで「SCANBE」がワコールのサービスであると知り、「安心しました」と言ってくださった方もいたんです。「AMPHI (アンフィ)」や「une nana cool(ウンナナクール)」を使っているお客さまも多く、想像以上にワコールが認知されていたのはうれしい誤算でした。
― 事前予約制ということですが、すべてを事前予約にしたのですか?
高田:当日予約も受け付けていて、全体の3分の2を事前予約、残りを当日枠に割り当てるイメージでした。
― 集客のための施策は?
高田:Z世代にアプローチできるよう、SNSでの告知に力を入れました。影響力が高かったのがインフルエンサーとのタイアップです。以前、個人的に「SCANBE」を体験され、それを動画コンテンツにされていた方に協力をお願いしました。Instagramでタイアップリール動画を投稿していただいたらとても大きな反響があり、「こんなサービスがあるんだ。やってみたい!」と思ってもらえたようです。実際に事前予約を開始すると、あっという間に予約枠が埋まったんですよ。
南:当初設定していた事前予約の650枠がすぐに埋まってしまいました。急いで50枠以上を追加したのですが、それもすぐに埋まって驚きましたね。
ポップアップストアは連日大盛況。お客さまのテンションも高かった。
― さまざまな準備をし、いよいよポップアップストアがオープンします。
高田:連日大盛況でした。スキャナーをフル回転させていても、6席あったお待ちいただくブースも常に満席。土日は当日枠がなくなってしまい、お断りすることもありました。
― 体験されたお客さまの様子はいかがでしたか。
高田:期間限定のポップアップストアでお祭り感覚もあるのか、お客さまのテンションがとても高く、お友だち同士で体験して感想を言い合って気持ちをシェアしながら盛り上がられている様子も多く見られました。体験の感想を付箋に書いてもらっていて、「何気なく選んでいたお洋服が診断でキラキラとして見えます」「自分のからだを知れば、あら不思議…違和感のあった鏡に写る私が少しカワイくなるよ」などのコメントを見たときは感動しましたね。
南:体験後お客さまがスキャナーから出てこられると、入る前より表情が明るくなっている方が多かったことも印象的です。自分のからだを知ることができた喜びや、心から楽しんでいただけたからか、スタッフに話しかけていただく頻度も高かったと思います。
「SCANBE」へリブランディングしてはじめてのイベントである今回は、顧客インサイトを知ることも目的のひとつでした。現場スタッフがお客さまとコミュニケーションをとりながらヒアリングも行っていましたが、様々なお話をお伺いできたようです。さらに、物販がないのも好影響を与えていました。スタッフもお客さまもお互いが体験にフォーカスして話せたので、会話も弾んでいました。
― [わたしを知る骨格診断]は3,500円。価格への反応はありましたか?
高田:「安い」という声をよく聞きました。骨格診断は雑誌やウェブなどのチャートで手軽に診断できますが、自己診断のため結果に確信を持ちづらいです。またサロンなどで行う専門家の診断は、時間やコスト面でハードルを感じる方もいらっしゃるかもしれません。3Dスキャンで自分のボディデータをもとにした客観的な結果がでるなら3,500円は高くない、と感じてもらえたようです。
― 期間中、ルミネ新宿 ルミネ2では「BEAUTY ADVENTURE 2024 ―知らなかった私と、遭遇する―」というキャンペーンを実施されていました。
高田:「新しい自分を見つける冒険」を応援するキャンペーンで、自分のからだを知る私たちのサービスはとてもマッチしていたと思います。パーソナルカラー診断機の出店もあって、「SCANBE」とセットで楽しんでいるお客さまが多くいらっしゃいました。待ち時間も含めると多い時は3~4時間ほどお時間をいただいたのですが、お友だち同士でおしゃべりしながらお待ちいただけたことが印象的です。Z世代のお客さまが自分を知る体験にお金も時間も惜しまないことが実感できたことも、良かったです。
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●ルミネご担当さまのコメント
選択肢が多様化している昨今、「自分に似合うアイテムはどのようなものか」と悩みながらお買い物をされるお客さまが増えている印象があります。パーソナルカラー診断や骨格診断で自分を知ることは、お買い物を楽しむうえでのヒントが見つけられるだけでなく、新たな冒険にでるようなワクワクとした感覚も味わえるのではないでしょうか。
「新しい自分自身を知って今まで挑戦できなかったアイテムにふれ、知らなかった新たな自分に出会ってほしい」というメッセージを込めて本キャンペーンを企画しました。
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約1,600人のお客さまが体験し、満足度でも高評価を獲得。
― 5月24日~6月10日まで開催したポップアップストアの実績を教えてください。
高田:トータル約1,600人のお客さまに体験いただき、アンケートでの満足度も5点満点中の4.5点で高評価を獲得できました。体験された方は、ターゲットに設定していた10代〜20代の方が約7割を占め、ワコールの商品やサービスが初めての新規の方は約6割です。
南:既存のワコール店舗では、若年層のお客さまとここまで接点がもてる店舗はそう多くはありません。ターゲットのお客さまにご評価いただき、非常に良い結果だと考えています。
― ルミネ側からの評価はいかがでしょう。
高田:“自分を知る体験”をお客さまに提供するという当初の期待に対しては評価をいただけたと思っています。一方で「体験にとどまらず、購買など、その後の行動に繋がる仕掛けを考えていく必要がある」とフィードバックをいただきました。私たちも、お客さまがお買い物の場面などの日常生活で、ボディデータや診断結果をより活用していただけるよう、今後様々な提案をしていければと考えています 。
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●ルミネご担当さまのコメント
骨格診断の体験者を対象とした事後アンケートの体験の満足度では、93.3%ものお客さまが「とても満足」「やや満足」と回答しており、高い満足度につながりました。一方で、診断を受けて実際にお買い物をしたお客さまは約15%。骨格診断を直近のショッピングにつなげる人は多くなく、診断結果からお買い物までの過程にはいくつかの段階があると感じました。
骨格診断の結果をお客さまがどのように捉えられているのか、そこから商品購入に至るまでにどのような情報や機会を設けるべきか、お客さまの購買心理をさらに考察していく必要があると思っています。
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― そのほかにも課題は見えてきましたか?
高田:ルミネ新宿 ルミネ2さんにはカップルで来店されるお客さまや、ファッションや美容に関心の高い男性も集まっています。男性からも「診断したい」と申し出があったのですが、今のスキャナーはこれまで蓄積してきた女性のからだのデータをもとにしているため、男性に計測していただくことは難しいのが現状です。とはいえ、自分のからだを知りたいのは男性も同じなはず。もっと幅広いお客さまが計測できるようにしなくてはいけないと強く感じました。
― 得られたものは何でしょう?
南:「SCANBE」のタグラインは「わたしを知って、わたしになる」。今回のポップアップストアは、それを実感できるイベントになりました。主に、下着など商品を提供してきたワコールで、無形のデジタルサービスだけを提供することに私たちも不安がなかったわけではありません。しかし、多くのお客さまが、スキャナーに入り3,500円の料金をかけ、自分のからだを知ることに価値を見出してくださいました。その様子を目にして、私たちも「SCANBE」というサービスに自信がもてるようになりました。
― 自分のからだを知ればファッションがより楽しめますし、なりたい自分に近づけるかもしれません。
南:自分のサイズや骨格タイプがわかれば、下着や洋服を選ぶときの手助けになります。お客さまが自分らしいスタイルを楽しみたいと考えたとき、それを実現するためのサポートが「SCANBE」ではできます。ありたい自分でいられるソリューションを提供するのが、「SCANBE」の役割。とはいえ、診断結果に左右される必要はありません。自由に楽しんでいただければうれしいです。
― 今後はどのように展開していく予定でしょうか。
高田:今回のポップアップストアで「SCANBE」の可能性を実感できました。パーソナルカラー診断などの他の診断コンテンツと組み合わせても面白いと思いますし、コーディネイトのヒントになるから、スタイリストのようなファッションの専門家とも相性がいいはず。多様な分野とコラボレーションができると思うので、チャレンジしてみたいですね。そして、ポップアップストアを各都市で開催し、多くの方に「SCANBE」を体験してもらいたいと願っています。