パレスチナ/ガザ絵本を翻訳出版するためのクラウドファンディングをスタート:併せて「ガザの子ども図書館」展を全国で

2024.10.02 11:00
ゆぎ書房
ゆぎ書房は、絵本『もしぼくが鳥だったら:パレスチナとガザのものがたり』出版のため、クラウドファンディングを実施中だ。併せて「ガザの子ども図書館」展パネルを書店のほか、学生団体・本読みデモに提供する。
『もしぼくが鳥だったら』アラビア語原書(アラブ首長国連邦カリマート社2009年刊行)

  ゆぎ書房~世界を旅する翻訳絵本の出版社(東京都八王子市、代表:前田君江)は、翻訳絵本『もしぼくが鳥だったら:パレスチナとガザのものがたり』の2025年1月出版を目指し、9月18日よりクラウドファンディングによる資金調達を開始しました。
  CAMPFIREにて、10月17日までに150万円の支援金を集める目標ですが、最初の1週間で全国から100人を超える人たちからの支援が集まり、10日間で目標の3分の2を達成するなど大きな反響がありました。
CAMPFIREでのクラウドファンディングは10月17日まで実施

プロジェクトの背景と概要
 絵本『もしぼくが鳥だったら』は、パレスチナの人々の追放とイスラエルによる占領・入植を、少年の目からやさしくやわらかい言葉で描いた絵本です。しかし、パレスチナ/イスラエル問題の根源をあまりに率直に語っていることから、訳者の片桐早織さんから6年前に紹介されたときは、日本で受け入れられるのは難しいと感じました。
 ところが、2023年10月以降、ハマスによるガザ越境攻撃ののちパレスチナ占領の状況が極度に深刻化するのに伴い、今だからこそ日本の子どもたち・大人たちに読んでほしい絵本だと考えるようになりました。
個別リターンのほか「社会的リターン」を設定
【リターン例】日本語絵本1冊+アラビア語原書セット

 支援者には、出版後の日本語絵本を提供するほか、部数限定でアラビア語原書とのセットのご用意もありましたが、好評のため終了してしまい、目下追加を検討しています。また、同プロジェクトの大きな特徴は「社会的リターン」を設定している点です。IBBY Palestine (国際児童図書評議会パレスチナ支部)の協力を得て、「ガザの子ども図書館」をテーマとした展示パネルを制作し、提供することを予定しています。

「社会的リターン」への想い
 「社会的リターン」を設定したのは、プロジェクト立案時に、「現地情勢が苛烈な中、現地への支援ではなく日本での出版のために資金を集めることは許されるのか?」とスタッフとともに自問自答したことがきっかけでした。

 絵本の原書出版社であるカリマート社(アラブ首長国連邦、シャルジャ首長国)が、同書売上利益のすべてをガザ地区でのIBBY Palestine (国際児童図書評議会パレスチナ支部)の図書活動に寄付していたことも背景にあります。同社はシャルジャ首長国の王女が創業・運営している出版社。創業5年目の小出版社である、ゆぎ書房には同じことはとてもできませんが、代わりに何かできることはあるだろうかと考え、思い至ったのが、IBBY Palestineが運営していたガザ地区内の二つの子ども図書館のことを伝えることでした。
「ガザの子ども図書館」展とは
 国際アンデルセン賞の選出などでも知られるIBBY (国際児童図書評議会)は、2024年現在、世界84の地域と国に支部があります。同パレスチナ支部は、国際的な支援を受けつつ、ガザ北部のベイトハーヌーンと南部のラファの2箇所に子ども図書館を運営していました。

 たくさんの子どもたちが楽しそうに図書活動に参加している写真も数多く残されています。しかし、2014年のイスラエルによる攻撃で、2館はそれぞれに全壊・半壊し、その後再建されていましたが、2023年10月の攻撃でいずれも跡形も無く破壊されています。これらの情報と画像、および、現地の司書さんによる発信などを展示内容とする予定です。

 パレスチナ/イスラエルについては、web上での情報も多く、日本語による一般書や専門書も多数出版されていますが、理解しようにもどこから手をつけていいのか分からない、という人も多い。その中で、絵本を読む人たちにとっても身近で想像しやすい「子ども図書館」というトピックに限定し、起きていることの一端を伝えようと思いました。

プロジェクトの今後の展開
 本プロジェクトに対しては、「テレビで現地情勢を見て、心痛めていた。自分にも何かできることがあればしたいと感じていた」との想いを込めて支援下さる方々がとても多いです。

「ガザの子ども図書館」展についても、大学のゼミの学生さんたちによるチャリティーイベントでの展示や、多文化共生や難民・移民と絵本をテーマにした学びの場などで、いずれも、「なぜこの絵本を出版するに至ったのか」などのトークや講演とともに実施してほしいとのお申し出をいただいています。

絵本をひとつの媒介として、「共に学ぶ/知る」ことへの糸口としていきたいと思います。
出版情報
タイトル+副題 『もしぼくが鳥だったら:パレスチナとガザのものがたり』
   (文)ファーティマ・シャラフェッディーン、(絵)アマル
   (翻訳)片桐早織、(解説)鈴木啓之(東京大学・中東研究文化センター 特任准教授)
2025年1月15日刊行予定 1980円(税込) B5変形 上製本
ISBN 978-4-910343-08-2
※クラウドファンディング開始と同時に、全国書店・ネット書店でも予約注文の受付をスタート。

会社概要
【ゆぎ書房】
「世界を旅する翻訳絵本の出版社」東京都・八王子市にて2020年にて創業。社名は八王子市の旧・由木村に由来する。難民をテーマとした絵本、ジョージア(旧ソ連・グルジア)の絵本、アイスランドの絵本の翻訳を刊行しており、アイスランドのホストタウンである東京都多摩市ともイベント等で共催する。

<リンク一覧(ゆぎ書房)>
出版社HP:
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Instagram:
note:
■ 会社概要
会社名:ゆぎ書房
所在地:東京都八王子市松木
代表:前田君江

■ ■本件に関するお問い合わせ先
ゆぎ書房 連絡先 (担当:前田)
info@yugishobou.com, yugishobou@gmail.com
090-4180-4135

■ ゆぎ書房・代表/前田君江
ペルシア文学研究、イスラームをテーマにした絵本の翻訳等を経て、2020年にゆぎ書房を創業。
2016~2018年に日本国際理解教育学会・特定課題研究のひとつ「難民問題から国際理解教育を問う」の一端としてメンバーと共に難民絵本100冊ワークショップを開催していたことが、本記事の絵本との出会いにつながった。
2007年より東京大学教養学部非常勤講師。常磐短期大学(認定絵本士養成講座)非常勤講師。

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