アプリで呼ばれたら行く……じゃ稼げない! 儲けているタクシードライバーが実践する5つの掟

2024.09.28 07:00
この記事をまとめると
■タクシー配車アプリの普及でタクシーの営業スタイルが変化してきている
■タクシードライバー界には上手く稼ぐための掟がある
■稼げるドライバーは頭を使って効率よく動いている
タクシーで上手く稼ぐためのコツとは
  筆者は地元でよく利用するタクシー会社があり、そして電話で配車要請をして自宅まできてもらうのだが、最近はいままでに見かけない「初顔運転士」が増えている。筆者の居住地域では、都内のように街を空車で流してお客を探す「流し営業」ではなく、駅前などで利用客を待つ「着け待ち」をしながら、無線による(いまではスマホアプリでの配車も利用)配車要請待ちをするのが基本的な営業スタイルとなる。
  スマホアプリによる空車タクシーとタクシー利用希望者のマッチングサービスが普及してからは、都内であろうが地方部であろうが、だいぶタクシーの「動き」が変わってきているのは肌で感じている。
  時間帯にもよるが、駅前で着け待ちするタクシーは以前より少ない傾向が目立ってきた。「流し営業」のない地域であっても、従来のタクシー会社に電話してタクシーを配車してもらうこと以外に、自分のスマホで簡単に呼べるようになった事情もあり、今までは駅前から乗せたお客の目的地に到着してお客をおろすと駅前に空車で戻るのが一般的だったのが、戻る間もなく出先で配車要請を受ける頻度が多くなっているようである(駅前へ戻る暇がなくなった!?)。
  また、いつも営業している地域から離れた場所へお客を乗せていった出先でも、アプリにより慣れない場所であっても配車要請があれば、お客を乗せるということも増えているようである。
  そうはいっても、街を走るすべてのタクシーがアプリサービスに加盟しているわけでもないし、すべてスマホアプリ配車に依存しているというわけでもない。そこで、タクシーを運転するときの基本的な心構えといったものをいくつか聞いたことがあるので、ここで紹介しよう(流し営業が基本スタイルとなる東京23区及び武蔵野・三鷹地域のケース)。
1)地下鉄の通っていない通りから都心をめざせ
  タクシー会社の車庫というものは、環状6号線(山手通り)、環状7号線、環状8号線近くにあることが多い。そして朝に車庫を出ると、よりお客のいる都心をめざすのが一般的な流れとなる。そのとき、環状道路から都心へ入るときに、都心から放射状に延びる道路のなかで、地下鉄が道路下を走っている通りは避けるようにと教えられるそうだ。
  たとえば板橋区あたりの車庫を出て山手通りを走ると、目白通りの交差点あたりから道路下を都営地下鉄大江戸線が走ることになる。そこでボチボチ都心へ向かおうとしても、早稲田通り下には東京メトロ東西線が走っているので避け、地下鉄の走っていない大久保通りなどから都心をめざしたほうがいいということらしい(途中から大江戸線が走っているが……)。
  なぜ地下鉄が通っている道路を避けるかといえば、地下鉄を利用して都心を目指す人が多いので、タクシーに乗りたいという人が少ないということが挙げられる。
2)街を流すとき右折は極力避けること
  仮に空車で流していて右折したかったときには、一本先の交差点を左折し、左折を繰り返して自分の行きたい方向にタクシーを持っていくようにする……ということになる。交差点の角には、タクシーに乗りたいと待っている人がかなりの確率でいるので、ゆっくり左折しながら取りこぼさないようにするというのも鉄則のようだ。
いわれてみると「なるほど」な掟
3)すぐ前にタクシーがいたらその通りから離れる
  街なかで、空車のタクシーが連なっている光景を目にすることもあるだろう。このような場合は当然ながら、進行方向に手を挙げるお客さんがいても前方のタクシーがお客を乗せてしまうことになる。つまり、前方にタクシーがいるかぎりは二番手以降になってしまうので、そんなときは停車、できれば停車してさらに間を置くか、その通りから離れることがベストとなっているようである。
4)同じことは二度とないと思え
  深夜に繁華街でもないところで乗せたお客が、予想もしていなかったのにロング(長距離利用)客だったということもよくあること。ただ、これは「一期一会」と思うようにと指導されているようである。どうしても「この前いたからなあ」と日にちを代えて同じ場所に向かうのだが、同じようにロング客に当たることはほとんどないようだ。
5)情報に敏感になれ
  不謹慎といわれるかもしれないが、たとえば山手線がなんらかの事情で運転中止(遅延)になっているとラジオなどで伝えられたら、すぐに最寄りの、とくに山手線しか停まらない駅をめざすのもタクシー独特の動きといえよう。当然山手線は動いていないが、移動したいという人たちがタクシー乗り場に集結し、長蛇の列ができているからである。また、羽田空港で天候不順などにより、鉄道やバスの運行が終了したあとに着陸する飛行機が多数あるといった場合も同様に、情報を聞いたら空港に向かうことになる。
  また、出庫する前に、いまならインターネットなどで、その日の都内のイベント情報を確認する運転士もいるようだ。とくに日本武道館や東京ドームでコンサートがあれば、終わったあとには、新宿などへ繰り出す人がタクシーに乗りたがるので格好の稼ぎどきとなる。シーズンオフを除けばプロ野球のナイター終了後もねらい目といえる。
  長距離利用はそう多くはないようなのだが、逆に新宿までといった短い距離を複数回往復するといったことも可能なので効率的に稼ぐことができるのである。
  タクシーといえば、気楽に街を流してお客を探すのが仕事といったイメージを持たれがちだが、稼ぐ運転士ほど時間帯によってどこにお客が多くいるのかを把握し、走る道も厳選し、情報収集に余念がないなど、緻密に動いているのである。
  ちなみに流し営業の多い地域ではタクシー運転士は、常に手を挙げている人がいるかどうかを見るため視線をまっすぐではなく、道路端、つまりやや斜め左を見て運転……、つまりわかりやすくいえば、「わき見運転」をしている傾向にある。いまは煽り運転にもなってしまうので、車間距離に気を付けた運転を心がけていることだろうが、一般車よりも車間に余裕をもたせたほうが安全だ。

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