【町田康 本人が朗読…!】町田康 現代語訳『宇治拾遺物語』(河出文庫)から、「序」「雀が恩義を感じる」朗読動画を特別公開!

2024.09.25 17:00
河出書房新社
池澤夏樹=個人編集 日本文学全集に収録時から「笑い死ぬ…」と話題を集めた町田版『宇治拾遺物語』が、河出文庫「古典新訳コレクション」から単巻で刊行。発売記念として作家本人による朗読を無料配信!
町田康氏

株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役 小野寺優)は、町田康さん現代語訳『宇治拾遺物語』(河出文庫)から「序」「雀が恩義を感じる」二篇を、町田康さん本人による朗読動画として本日より特別公開いたします。

町田康さんによる現代語訳『宇治拾遺物語』は、「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」第8巻『日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集』に収録、2015年に刊行されました。同全集は創刊時から"古典作品を身近に楽しんでほしい"というコンセプトで創られたシリーズでしたが、その中でも町田版『宇治拾遺物語』は爆笑必至の作品としてたびたび話題を集めてきました。
本年4月に、河出文庫「古典新訳コレクション」として単巻で発売。よりポータブルに楽しめるようになり、「電車で読むと危険」「なぜほとんどが下ネタなのか…?」など、より広い読者層から支持されています。

『宇治拾遺物語』は、中世説話集の白眉として名高い読み物です。町田康さんの現代語訳では、「奇怪な鬼に瘤を除去される」(こぶとり爺さん)をはじめ、笑いと下ネタ満載の197話から、選りすぐりの33話を収めています。

『ギケイキ』『口訳 古事記』など、古典作品を軽妙かつユーモア溢れる新訳で現代に蘇えらせる作家が、心の動きを見事に捉えた古典新訳の金字塔! このたび「雀が恩義を感じる」(注:「腰折れ雀」として知られる中世説話)の町田康さんご本人による朗読動画が誕生しました。町田版『宇治拾遺物語』を既読の方も、未読の方も、町田康さんの最高の朗読をぜひお楽しみください!
【町田康 本人朗読】『宇治拾遺物語』(河出文庫)より「序」「雀が恩義を感じる」
■町田康 訳「奇怪な鬼に瘤を除去される」(『宇治拾遺物語』日本文学全集版より)全文ためし読みも公開中!
リーダー、って感じの鬼が正面の席に座っていた。そのリーダー鬼から見て右と左に一列ずつ、多数の、あり得ないルックスの鬼が座っていた。
 見た目はそのように異様なのだけれども、おもしろいことに、盃を飛ばし、「ままままま」「おっとっとっ」「お流れ頂戴」なんてやっているのは人間の宴会と少しも変わらなかった。
 暫くして酔っ払ったリーダーが、「そろそろ、踊りとか見たいかも」と言うと、末席から、不気味さのなかにどこか剽軽な要素を併せ持つ若い鬼が、中央に進み出て、四角い盆を扇のように振り回しながら、ホ、ホ、ホホラノホイ、とかなんとか、ポップでフリーな即興の歌詞を歌いながら、珍妙な踊りを踊った。
 リーダーは杯を左手に持ち、ゲラゲラ笑っており、その様子も人間そっくりで、酔っ払って油断しきった社長のようであった。
 それをきっかけに大踊り大会が始まってしまって、下座から順に鬼が立って、アホーな踊りを次々と踊った。軽快に舞う者もあれば、重厚に舞う者もあった。非常に巧みに踊る鬼もいたが、拙劣な踊りしか踊れない鈍くさい鬼もいた。全員が爆笑し、全員が泥酔していた。
 その一部始終を木の洞から見ていたお爺さんは思った。
 こいつら。馬鹿なのだろうか?
 そのうち、芸も趣向も出尽くして、同じような踊りが続き、微妙に白い空気が流れ始めた頃、さすがに鬼の上に立つだけのことはある、いち早く、その気配を察したリーダーが言った。
「最高。今日、最高。でも、オレ的にはちょっと違う感じの踊りも見たいかな」
 リーダーがそう言うのを聞いたとき、お爺さんのなかでなにかが弾けた。
 お爺さんは心の底から思った。
 踊りたい。
⇓⇓⇓⇓⇓
■書誌情報
書名:宇治拾遺物語(河出文庫 古典新訳コレクション)
訳者:町田康
仕様:文庫判/288ページ
発売日:2024年4月8日
税込定価:880 円(本体800円)
ISBN:978-4-309-42099-8
URL:
■町田康 現代語訳『宇治拾遺物語』報道記事
下ネタだらけの古典『宇治拾遺物語』が映し出す人間の本質(2024年8月29日)
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作家・町田康さんの現代語訳「こぶとりじいさん」がポップと話題に「やっぱ、瘤、いこうよ、瘤」(2015年10月6日)
【人前で読めない】「やっぱ、瘤(こぶ)、いこうよ、瘤」!? 町田康さんの「こぶとり爺さん」現代語訳がトバしまくりで超ポップ! こんなん絶対笑うって…!!(2015年10月5日)

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