「バキュームカーがきた」なんて臭いでわかったのは昔の話! 臭いとおさらばした最新バキュームカー事情

2024.09.23 20:00
この記事をまとめると
■バキュームカーの歴史について解説
■初めて登場したのは1950年代だといわれている
■現在では脱臭装置が装着されるなど高機能化している
昨今の車両は臭いがほとんど気にならない
  昭和世代には、懐かしく感じるバキュームカー。いまはあまり見かけることがなくなり、どのような車両か知らない人も増えているようだ。一般には、屎尿の回収・運搬に使用すると認識されており、「汲み取り車」と呼ぶ人も多かった。英語で表すと「Vacuum Track」で、バキュームカーという名称は和製英語である。
  初めてバキュームカーが国内に登場したのは、1950年代だといわれている。もともと、屎尿は畑などの野菜栽培で肥料として利用されていたため、トイレから柄杓で汲み取ったあとに桶に入れ、人力・荷車・川舟などで運搬し、貯蔵場所に移してから使われていた。高度成長期に入ると、代替肥料の普及や農家の減少で、屎尿肥料の需要が減ると同時に、都市部では下水の整備が進んだために、屎尿は廃棄物として衛生的かつ効率的に回収する必要に迫られた。そこで、トラックにタンクを設置して、ホースで吸い取るという方式が編み出されたのだ。
  吸い取る仕組みは大正期から確立していたシステムで、タンク内を減圧して吸い込むという真空ポンプを使った方式である。その動力はエンジン回転力から得ているため、別途にモーターなどを必要とはしない。トラックシャシーの上に、タンク・真空ポンプ・ホースなどといったものを搭載するだけの、比較的シンプルな構造になっている。
  バキュームカーは屎尿のほかに、泥・水・油などといった、固形物や粘性物を含んだ液体を取り扱うことができる。これは、真空ポンプがタンクの外に設置されているため、対象物がポンプを通過せずにタンクに積載するというシステムをとっているからだ。
  もし、対象物がポンプを介してからタンクに入るようなシステムであると、固形物や粘性物を扱えば故障の原因になりかねない。真空ポンプが作動すると、タンク内の空気が外に排出されることになるため、臭いの強い対象物を積載する際には、臭気が周辺に充満するという問題が生じる。そこで、バキュームカーには脱臭装置が装着されるようになった。脱臭方法は複数あり、 ・脱臭剤(薬剤)を使用する ・悪臭ガスを燃焼させる ・真空ポンプの潤滑油に香水の原理を応用 などといった方法がとられているため、昨今の車両はほとんど臭いが気にならない。
  積載物の排出は、真空ポンプを逆転させることでタンク内の圧力を増加し、排出口などから強制的に押し出すタイプが多い。大型車両の場合は、タンクがダンプ機構を有するものもあるので、自然落下力を利用して一気に排出することができる。
  ほかにもさまざまな装備があり、利便性の向上や用途の多様化が図られている。たとえば、ステンレスタンク・タンク洗浄装置・タンク内点検窓・タンク内容量ゲージ・作業灯・コンセントなどだ。また、吸引・排出作業のコントロールパネルやリモコン装置なども実用化されつつある。
  一般家庭の屎尿回収は減っているものの、災害時・イベント時などに使用される簡易トイレの屎尿回収需要はなくならない。また、土木工事現場・工場・下水管やマンホール・道路側溝・池や川などの汚泥回収などといった、環境保全に関する役割にも期待が寄せられる。今後はさらにIT化AI化が進んで、吸引・排出作業の自動化・簡便化が図られていくことになるだろう。

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