「カスタム=インチアップ」って思い込んでない? あえて16インチを選択したヴェゼルのHuNTに乗って感じた「インチダウン」のメリットとは

2024.08.12 17:20
この記事をまとめると
■クルマのカスタマイズにおいて「インチアップ」という手法がある
■「インチアップ」は本来スポーツカーのブレーキサイズアップのために用いられていた
■「インチダウン」することでタイヤの扁平を厚くできるので乗り心地向上が見込める
足もとのカスタムはインチアップが定番
  クルマのカスタマイズやドレスアップといえば足もとの“インチアップ”が定番といえる。
  あらためてインチアップを説明すれば、タイヤが組み込まれ、一体となっているパーツ「ホイール径」を大きくすること。慣習的にホイール(=タイヤ内径)のサイズ表記の単位にはインチが使われていることで、インチアップ=ホイールのサイズアップを意味している。そして量産車において、ホイールをサイズアップするということは本来、ブレーキシステムを大きくして性能アップさせるためだった。とくにスポーツカーにおいて、大きなブレーキローターやブレーキキャリパーを収めるためにホイールがサイズアップしていったという経緯がある。
  そうした進化の流れを受け、大きなホイールはスポーティに見えるというトレンドになっていき、ブレーキ性能にかかわらず、インチアップはカスタマイズだけでなく新車のデザイン的な視点からも定番の手法となっていった。
  ただし、車体側に手を加えない限り、タイヤの外径は標準装着のサイズと同程度とする必要がある。
  そのため、インチアップした場合には、タイヤの厚みを変えて(薄く)してつじつまを合わせる。たとえば215/60-16サイズのタイヤを18インチにインチアップする場合は225/50-18サイズにするわけだ。それぞれのサイズ表記にある60や50という数字は偏平率と呼ばれ、タイヤ幅に対する厚みの比率を%で示したときの大まかな数字となっている。
  つまり、インチアップ≒低偏平率になるということだ。低偏平の薄いタイヤがもつ物理的な特徴として多くのドライバーが感じられるのは、タイヤのしっかり感が高いことだろう。シチュエーションでいえば、ハンドルを切ってコーナリングしようとする際に、思いどおりのラインを描きやすいというメリットがある。
  また、上記の例でも示したように、インチアップとタイヤのワイド化は同時に行われることが多い。これもコーナリング性能アップに効いてくる。
インチダウンもさまざまな効果あり!
  さて、前置きが長くなってしまったが、ここからが本題だ。2024年上半期におけるSUVのベストセラーモデルであり、4月にマイナーチェンジで進化したホンダ・ヴェゼルのトップグレードは18インチタイヤを履いている。そのトップグレードにはPLaYパッケージと呼ばれる都会的なコーディネートが設定されている。これはマイナーチェンジ前のPLaYグレードを進化させたものといえる。
  さらに、新しくなったヴェゼルではエントリーグレードにも「HuNTパッケージ」というアウトドア志向のアクティブテイストのパッケージが用意された。ここで注目したいのは、ヴェゼルのエントリーグレードは16インチタイヤを履いており、HuNTパッケージ仕様としたときもタイヤサイズは変わらないという点だ。ドレスアップを狙った仕様であればインチアップを伴うのはなかば常識とも思えるが、あえて16インチのままとしている。
  たしかにオフロード走行を想定したタイヤ選びにおいては、タイヤが変形して路面をとらえるようにするため高偏平タイヤを選ぶことが多く、むしろインチアップは走破性を下げてしまうという見方もあるが、ヴェゼルHuNTパッケージが想定しているようなアウトドアシーンはそこまでハードな走行性能を求めてはいないだろう。
  しかしながら、新型ヴェゼルの18インチ仕様と16インチ仕様を乗り比べた筆者には、HuNTパッケージをあえて16インチタイヤとしていることが正解だと感じられた。ちなみに前述したタイヤサイズはヴェゼルのそれで、あらためて記せば、225/50-18と215/60-16となっている。
  18インチタイヤを履いたヴェゼルは、50偏平ということもあってたしかにコーナリングはシャープで、SUVに期待する以上のスポーティなテイストを実現している。しかしながら、市街地を走っているときには、とくにFFにおいてコツコツとしたタイヤの硬さを感じることもあった。
  一方、60偏平の16インチタイヤを履いているヴェゼルでは、そうした硬さは感じられない。適度な柔らかさがシャシーとの好バランスにつながっており、けっしてハンドリングがダルくはないが、いい意味でのユルさがあった。アウトドアテイストのHuNTパッケージには、このタイヤのほうがキャラに合っているといえそうだ。
  クロスオーバーSUVであっても、ホイールサイズが大きい、インチアップしたほうがエライといった考え方もあるだろうが、あえて高偏平のインチダウンサイズを選ぶことのメリットをヴェゼルHuNTパッケージに試乗して再確認することができた。
  これはヴェゼルだけにいえることではないだろう。SUVであればホイールサイズが小さいほうのグレードを選ぶのもいいだろうし、上級グレードのオーナーがあえてインチダウンを検討するというのもアリかもしれない。
  ただし、冒頭でも記したように、ホイールサイズの選定はブレーキシステムを収めることも考慮されているので、インチダウンするときにはブレーキとホイールが干渉しないことを確認する必要がある。純正で設定されている範囲でのインチダウンや、ホイールを試着できるショップを利用するなど、注意してインチダウンカスタマイズを楽しんでほしい。

あわせて読みたい

マセラティがSUV「グレカーレ」のラインナップを変更 マイルドハイブリッドモデルは1車種に
webCG
フォルクスワーゲンの大人気コンパクトSUV、「T-Cross」が全方位進化。
GO OUT WEB
ロキソニンにまつわる素朴な疑問を薬の作り手が解決! 小さな錠剤に込められた想いとは
antenna
FRスポーツもEVもSUVもワンボックスもなんでもござれ! ヨコハマのスタッドレス「アイスガード7&アイスガードSUV」の「効く」性能
WEB CARTOP
「安さだけが取り柄」のように言われてきた「鉄ちんホイール」を見直すときがきたか! いま「スチール+ホイールキャップ」でキメるクルマがじわりキテる!!
WEB CARTOP
【ザ・プリンス パークタワー東京】 いちごをテーマにした「ストロベリーフレンチアフタヌーンティー」
PR TIMES Topics
ルノーが「アルカナ」をマイナーチェンジ アルピーヌの名を冠した新グレードを導入
webCG
いま「コンパクトSUV」が大盛り上がり! 迷える喜びと選ぶ難しさのある国産5台を徹底比較
WEB CARTOP
わんちゃんと泊まれる都市型ホテル「ザ・スクエアホテル銀座」予約受付開始
PR TIMES Topics
【NEW TIRE TEST】街乗りやロングドライブも安心してドライブできるSUV専用タイヤ「グッドイヤー・アシュアランス マックスガードSUV」
CARSMEET WEB
ホイールディスクのデザイン次第でクルマの印象は180度変わる! じつは見た目だけじゃなく機能面でも重要な要素だった
WEB CARTOP
秋の深みを感じる『ジャーマンポテトサラダ』登場
PR TIMES Topics
【海外試乗】生誕50周年で大幅リフレッシュ! その走りで鮮明になる新型ゴルフの真価「フォルクスワーゲン・ゴルフ」
CARSMEET WEB
上位車種の最廉価グレードと下位車種の最上級グレード! 価格差が小さいならドッチが買いか考えてみた
WEB CARTOP
花火×ドローン×音楽×花火タワーを完全シンクロさせた花火大会開催
PR TIMES Topics
新グレード設定・ボディカラー追加で選択肢が広がった!「レンジローバー・ヴェラール」2026年モデル受注開始!
CARSMEET WEB
見た瞬間バカ売れ確定! 新型スペーシアギアはさすがの装備と値段で勝負!!
WEB CARTOP
あなたの動画を自然に翻訳!「AI動画翻訳くん」とは?
antenna
「人気のミドルクラスSUV」最上位グレード“オートバイオグラフィー”を設定、早くもレンジローバー ヴェラールの2026年モデルが登場
MonoMaxWEB
【試乗】ルノー・アルカナに「アルピーヌ」風味が加わって洗練! 新モードも追加されたので早速乗ってみた
WEB CARTOP