インディーゲーム開発スタジオとして精力的な活動を続ける一方、パブリッシャーとしても独自の世界観をもつゲーム作品を次々と世に送り出している「room6」。
そんなroom6の開発する唯一の運営型スマホゲームが、戦略型タワーオフェンスRPG『ローグウィズデッド(ログウィズ)』です。いわゆるソーシャルゲームではなく、買い切りゲームでもない、プレイヤーに独特の体験を与え続ける本作は「Google Play ベスト オブ 2023」インディー部門においても、大賞受賞という嬉しい評価をいただきました。
『ローグウィズデッド』キービジュアル
ここでは、『ログウィズ』の立ち上げから運営までを担当するコアメンバーを中心にインタビューを行い、ログウィズで実現したこだわりの世界観や、これからの展望について語ってもらいました。
来る2024年9月9日、ログウィズ運営は2周年を迎えます。運営チームの譲れないもの、目指すもの、プレイヤーへの思いを率直に語った本インタビューをぜひご覧ください。
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メンバー紹介
――自己紹介をお願いいたします。
kohei:ログウィズのディレクションを担当しているkoheiです。プログラムを中心に、企画の立ち上げからさせてもらっています。
玉ねぎ修字:ログウィズのグラフィックをメインに担当しています。今は幅広くプロモーションなども統括しています。最初は別のタイトル(※1)でアートメンバーとして参加してたんですが、その流れで「こっちも手伝ってほしい」と言われて参加したのがきっかけです。
木村征史:room6代表の木村です。一言でいうとログウィズ全体のプロデュース的なことをしています。開発初期はkoheiくんたちと一緒に作っていましたが、今はマーケティングや販売、プロモーションといった観点からプロジェクトへの数値的なアドバイスなんかを行ってます。たまに上がってくるアートにいいねえ、といったり。
アートスタッフ1:新しいイラストがアップされると、一番に「いいね!」と言ってくれるのが木村さんだったりしますね。
(※1)別のタイトル:「WORLD HORIZON(仮題)」。プレイヤーの行動によって展開が大きく変わる、人生シミュレーターのようなRPG。2024年7月現在、room6にて開発中
「スマホでいつまでも遊び続けられるゲーム」を作りたい
――開発のきっかけを教えてください。
kohei:スマホで無限に遊べるゲームが作りたかったんです。自分自身もやり込みタイプのゲームが好きなので、長く遊んでもらえるものを作りたいと思っていました。
ただ、長く続けるためには開発スタッフが必要だし、売上も必要になる。かといって、個人レベルで大きなソーシャルゲームのようなものは作れない。「個人の作るタイトルと大規模タイトルの中間くらいのものが作れたらいいな」という思いから始まったのがログウィズです。
玉ねぎ修字:そこからどんどん人が増えていきましたね。自分が入った時点ではkoheiさんともうひとりのプログラマーである大坂さん、木村さんの三人しかいなくて、最初はほぼ個人制作に近い所からのスタートだったので。
kohei:玉ねぎさんはアートとして入ったのに、今はあらゆることを牛耳ってる(笑)
玉ねぎ修字:牛耳ってるってのはちょっと(笑) いやその通りなんですが(笑) 逆に大坂さんはドラえもんみたいな人で、koheiさんが「これやりたいな」って言ったら、すぐに形にしちゃうような凄腕プログラマーだった。
――元々、かなり少人数で開発していたんですね。
玉ねぎ修字:はい。数名で開発していた頃は、ポジションの垣根を越えてあらゆることをしていました。自分はドット絵中心のグラフィックとして入ったけれど、リリース目前になにも露出の準備ができてなくて「プロモーション動画作らなきゃ!」となってプロモに関わるようになっていったり。
木村征史:最低限の人数しかいなかったからね。それぞれにメインの役割はあっても「なにをやろうか?」といった、企画はみんなでという風潮はありますね。企画というより、ひたすらプレイを続けてフィードバックをする、という繰り返しだったけど。
kohei:そこはすごくよかったですね。リリースできるようになった状態からのQAには本当に時間をかけたんです。オープンベータテストでユーザーさんを100人くらい募集して、ストレスポイントを洗い出して。あれができたのは本当によかった。
木村征史:そうね。途中で出すことは十分できたけど、そこからドラスティックな変更もあった。「敵がこっちに向かって歩いてくる」っていう仕様も、実は途中から導入された。最初言われた時は「正気か!?」って思ったけど(笑) それはもう放置ゲームじゃないやん!? とね(笑)
kohei:ストレスポイント増やしてますね(笑)
木村征史:けど、それが大正解だったよね。そこで従来の放置ゲームと少し違う、新しいゲーム性を作れたんじゃないかな。
kohei:ここがログウィズの面白いところの1つで、みんなが役職やポジションの垣根を越えた動きができるからこそ予想外の発見がある。これはユーザーさんも同じだと考えていて、ディレクターと、開発と、ユーザーさんも含めたみんなのゲームでありたいといつも思っています。
ログウィズのゲーム画面。敵を薙ぎ倒しながら進軍するタワーオフェンスの要素を持つ。 攻撃力を示す数字はインフレし、京・垓・秭、更にその上へと桁が増えていく。
「このゲームを10年続ける」運営の軸となった4つの考え
――10年続けると公言できるのはすごいと思います。
kohei:10年っていうのはちょっと適当で(笑)まだ内容がともなっているとはとても言えないんですけど。でも「10年続けるには」と考えることで、いろんなことの方向性が決まるのかなと思っています。
kohei:自分や開発チームに対して「このゲームは10年続ける!」と言うことで、意気込みが伝わるし、お互いに展望が見えてくる。もうひとつ、現在遊んでくれているプレイヤーさんに対しても「10年続けるつもりだよ」と伝えることで、安心感を持って楽しんでもらえると思います。立ち上げの時から考えていた「長く、深く遊べるゲームにしたい」というコンセプトにも繋がっている。
――その考え方について、もうすこし詳しく聞かせてもらえますか。
kohei:運営にあたっての軸となる要素として、4つのものがあると思っています。「コンテンツ追加」、「マネタイズ」、「ユーザー満足度」、「サイクル化」の4つです。それぞれ簡単に説明していきます。
kohei:まず、ゲームであるためには「コンテンツの追加」は必須です。新しいキャラクターやダンジョン、新しい機能など、ゲームがより深く展開していくことは、なにより大事だと思います。 次に、企業として運営を続けるために必要な「マネタイズ」。10年続けるという目標のために、これも欠かせないものです。今はエインヘリアル(※2)が主にそれを担ってくれています。
そして「ユーザー満足度」。ゲームを開発のひとりよがりで作ってもだめですしね。最後に、最近の課題になっているのが「サイクル化」。例えばログウィズでいうと「禁断の番人(※3)」のように、ある程度フォーマット化できるものが必要です。
――ゲームのサイクル化というと、ユーザーはちょっと不安になるのでは。
kohei:もちろんアレンジは必要で、その上である程度継続していける要素を作るという感じでしょうか。具体的にいうと「サイクル化できる部分」と「サイクル化できない部分」のバランスだと思います。
10年続けるのに必要なこととして、サイクル化は不可欠です。例えばエインヘリアルを入手するためのガチャそのものはサイクル化できる。でも、このゲームはエインヘリアルだけでは展開できない。新ダンジョンがあって、アートがあって、ストーリーがある。これらにはサイクル化できない面もあります。ここはのちほどもう少し具体的にお話できると思います。
(※2)エインヘリアル:ログウィズにおける固有のプレイアブルキャラ。キャラごとに個体差があり「寿命」そして「不死」という独特のステータスを持つ
(※3)禁断の番人:超低確率で遭遇する強敵キャラ。倒すことで手に入る報酬も格段に魅力的
能動的に攻略しているという手ごたえを感じてほしい。ソーシャルゲームとは異なるログウィズの独自性
――ログウィズは運営型ではあるけれど、ソーシャルゲームとは違いますね。
kohei:当然ソーシャルゲームから学ぶものはたくさんあったし、さまざまな優れた作品のプレイ体験があったからこそログウィズが生まれたとも言えます。ただ、先にも言った通り大きなタイトルのような運営はできないし、意図して違うものを目指したというより、結果として違うものになっていった、というのが近いと思います。開発を進めるうちにユーザーさんの声も聞こえてくるようになって、独自の視点を持てるようになった。
――それはどういったものでしょう?
kohei:「それは本当にログウィズっぽいか?」という視点です。ログウィズをプレイしてくれる人には、やらされている感ではなく、能動的に攻略している、という手ごたえを感じてほしい。また、課金しなければ手に入れられないものはなくて、基本的にはプレイを続ければ開放されるという仕組みです。感覚的なところも大きいですが、こういったログウィズっぽさを常に意識していますね。
玉ねぎ修字:ログウィズっぽいかどうか? を常に考えることで、チーム内の議論から「AでもBでもない、新しいC案」を出せるようになったのかなと。例えば、限定のガチャからしか出てこない限定エインヘリアルがいたとしても、プレイを進めることで手に入れられるようにする、とか。
期間限定の魂の選定(ガチャ)「魔嵐の弓術士たち」。ガチャを引ける期間が終わったあとも、解放条件を満たせば恒常的に引けるという独自の仕組み
議論を重ねた独自のシステム、エインヘリアルと「死の概念」
――エインヘリアル導入のきっかけは、やはりマネタイズでしょうか。
kohei:そういった側面も確かにあります。ただし、決してマネタイズ「だけ」にはしない。マネタイズだけ考えるならもっとこうしたほうがいいだろうな、というのはたくさんあるけれど、ここでも「どうすればログウィズらしくできるか?」という視点を忘れずに考えていました。
玉ねぎ修字:マネタイズを実現し、その上でどれだけクリエイティブに寄せられるか、ですね。そもそもこのゲームにガチャがあっていいのか、というのはかなり真剣に議論しました。
木村征史:自分たちの規模では、他社の大規模なゲームがやっていることをなぞるだけでは勝ち目はない。ログウィズにできること、ログウィズでしかやっていないことは何かを考え抜いて出てきたのが、現在のエインヘリアルのシステムです。
アートスタッフ1:エインヘリアルの実装当時、アートの担当は2人だけだったので……。大規模タイトルのように大量のイラストで勝負することはできないけれど、ランダムアビリティによって自分だけのエインヘリアルを引き当てるという面白さを作ることができました。
木村征史:同じキャラでもアビリティにランダム性があって、カスタマイズできる遊びがある。単に強いキャラを引けたから終わりではなく、同じキャラでも振れ幅がある。ユーザーさんもそこを楽しんでくれてるんじゃないかな。
玉ねぎ修字:所持しているアビリティで、人によっては星6より星5のほうが嬉しい、というのもありうる。
企画スタッフ1:レア度が高いから優秀、というわけではないのがエインヘリアルの特徴だと思います。アビリティや初期ステータス、果てには性格の差分も含めて、全く同じエインヘリアルというのは存在しませんから。
木村征史:プレイングに考える余地があって、頭を絞るところも多い。そういった点では人を選ぶけれど、その分深くプレイしてくれる濃いユーザーさんが多いのは嬉しいよね。キャラを引いたあとでどう生かすか、愛着を持つか持たないかで、さまざまに価値が変化する。キャラを手に入れたあとも記号化しないようにしたい、という狙いがうまく反映できたと思います。
kohei:キャラクター要素であるエインヘリアルの導入にあたっては、世界観から見た納得感もすごく大事にしています。このゲームに出てくる兵士たちには寿命の概念があって、いずれ死に至ります。でも、だからこそ「不老不死」に価値が生まれてくる。
――死ぬことが前提だからこそ、プレイヤーがキャラクターに「不死」を与えるかどうかの選択が生まれたわけですね。
木村征史:ここも相当議論を重ねたね。チャレンジングだったと思う。
企画スタッフ2:自分はエインヘリアル実装後にプレイしても特に抵抗はなかったです。
アートスタッフ2:でも、自分が最初に引いたエインヘリアルは、かなり愛着ありますよね。
企画スタッフ1:最初はちょっと抵抗あったけど、慣れてくると気にならなくなったというか。むしろ早く育成済ませてユグドラシル送り(※4)にしようとか……。
kohei:その「餌にするかどうか」の判断もユーザーさん次第ですしね。
(※4)「ユグドラシル送り」:キャラクターを強化の素材にすること。ログウィズではキャラユニットをユグドラシル送りにすることで、戦力幅に関わる「酒場」という施設のレベルアップが可能になる
ガチャで手に入る同じキャラクターでも、固有の能力にこれだけの差がある
ユーザーの率直な意見から学んだこと
――エインヘリアルの実装について、ユーザーさんの声はどうでしたか。
kohei:当時はいろいろな意見がありました。ユーザーさんの反応にはかなり厳しいものもあって、相当ネガティブな声も多く集まった。「運営は一体何を考えてるんだ」「集金ゲームに成り果てた」「ローグウィズデッドの良さが失われてしまった」といったコメントを見た時はショックでした。
玉ねぎ修字:Discordという、運営スタッフも利用しつつユーザーさんも集まるコミュニティがあるんですが、開発意図をきちんとユーザーさんに説明したくて、開発チームアカウントではなくkoheiさん個人から長文で声明文を出してもらいました。
kohei:こうやって話していると、運営がすべて綿密に計画して、なにもかも上手くいったように見えてしまうかもしれないけど、そんなことは全然なかったです。運営型のゲームは、決して意図した通りには進まない。ユーザーさんからの意見を受けて、開発の意図や今後の方針をできるだけ真摯にお伝えすることしかできなかったんですが、今でも思い出す印象的な出来事です。
――今現在、エインヘリアルの評判はいかがでしょうか。
kohei:ゲームの要素のひとつとして楽しんでいただいている声もありますが、すべてのユーザーさんに納得していただけた、とは思ってないです。さまざまな感想があって当然で、結果として今は受け入れられつつある、というだけで。ただ、世界観とあわせて体験してもらって、システムも込みで深く触れてもらうことで、少しずつ理解してもらえているのかなと思います。
より解像度を高め、充実しつつあるアートの魅力
――イベントや一周年などで見られる一枚絵がとても魅力的です。
玉ねぎ修字:アートもがんばっています。当初よりアートスタッフも増えて、作品のコンセプトをこれまで以上に取り込めるようになってきた。キャラクター、背景、アイテムなどのアートのどれもが、より解像度高く奥行きをもって表現できる体制になりつつあります。ログウィズのゲーム性に加えて、アートの魅力を今以上に上乗せできれば最高だと思います。
木村征史:いいスタッフが揃ってきたし、今後もっと伸ばせる余地があるよね。もう一段階上に行ける!(笑) 深堀しつつ、記号化せず、ここもログウィズらしさを大事に増強していきたいね。
アートスタッフ1:ログウィズのユーザーさんの間では、まず話題に上がりやすいのは性能面だと思います。けど、今後はアート面もどんどん向上して、ログウィズの強みの1つにしたい。4月の「ランドグリーズ」や「森の鷹使い」は特にそれを意識して作ったのですが、ユーザーさんにも良い評価をいただけてすごく嬉しかった!
プレイ中の立ち絵は2種類のアートスタイルから選択可能。出撃中の細かなモーションにもこだわっている
――クリエイターも増えているんですね。
アートスタッフ2:私は最近チームに加わったのですが、もともとログウィズのプレイヤーでした。キャラのドット絵がいいな、と思ったのが遊び始めたきっかけだったので、今後もそういった「見た目」から興味を持ってくれる人が増えるようにアート面強化はがんばりたいですね。
企画スタッフ2:最近はピクセルアートに特化したイベントなどもありますし、ドット絵の良さを伝えていきたいですね!
リファインされた「荒廃した国 ミッドガルド」のイラスト。リリース当初はアセット(既存の素材)を使用していた部分も、少しずつオリジナルの素材に差し変えている
唯一無二のストーリー体験を目指して、議論は今も進行中
木村征史:キャラクターに愛着を持ってもらいたいという点では、ストーリー要素ももっと力を入れたいよね。
kohei:そうですね。ゲームの魅力を高めたいという目的では、今後はストーリーの強化もしていくつもりです。ただここも「ログウィズらしさ」を踏まえて慎重に行っていて。ストーリーによって、さらにこのゲームを好きになってもらいたいので。このゲームの一番の味であるシステムの部分をストーリーにどう落とし込むか? という点で、現在も議論を重ねているところです。
――ストーリーは初期から実装しているのが一般的ですよね。
kohei:ストーリーというか、世界観については、実はちょっと大事にしていて。
玉ねぎ修字:いや、koheiさんはすごく大事にしてる(笑)
kohei:そうかも(笑) だからこれまで安易に入れられなかった。ここもログウィズらしさかもしれません。さっき、運営型ゲームにはサイクル化が重要だと言ったけど、サイクル化できない部分を作ることも同時に重要ではないかと思っています。このサイクル化できない部分が、ログウィズの場合はストーリーかもしれません。
kohei:ストーリー追加の方法はいろいろあると思うけど、ログウィズではそれがワンパターンにならないようにしたいと思っています。ストーリーは、バトルや強化といった基本のゲームプレイを飽きさせないための、変化を与えるものでありたい。ストーリーをストーリーだけで終わらせないようにしたいんです。
――具体的には、どういった方法がありそうですか。
kohei:エインヘリアルという固有キャラに「イズン」という女神のキャラクターがいるんですが、イズンと好感度を上げることによって、イズンしか知らない、彼女にまつわるダンジョンが開放されるとか。そうすると、ストーリーからシステム側へフィードバックが生まれますよね。ストーリーを体験することがゲームそのものの体験へ繋がるような仕組みにしたい。
――酒場で出会える小声の彼女(※5)のストーリーは秀逸でした。
kohei:彼女については、結構新しいことができたと思います。ガチャというシステムと、ゲームのメインにあたるバトルや育成と、酒場というちょっとした息抜きのできる拠点の3つを絡めて展開する、かなり変化球なストーリーになったかなと。これもログウィズらしい体験を作る、という考えを軸にしていたからこそできたと思います。
(※5)「酒場で出会える彼女」:ログウィズで発生するストーリーにおける重要人物。
重要なネタバレを含むため、ぜひ実際にプレイして確かめていただきたい。
帰還した兵士たちが一時の休息を得る酒場。プレイヤーの想像を超える物語が繰り広げられる
――あのようなストーリーを各キャラで展開するのは相当な労力では。
木村征史:コスパ優先なら、まさしくサイクル化・システム化するところですね。もともとエインヘリアルはマネタイズが目的で導入したものだったし。ログウィズのやり方には大変な部分も多々あります。言ってしまうとコスパが悪い(笑) でも、ログウィズらしさを無視して進めるよりは、このチームでできることを信じて追求してもらいたいなと。
kohei:基本、ゲームというのは繰り返しです。でも、ユーザーさんが繰り返しだと感じると飽きられてしまう。このゲームも基本的に周回ゲームではあるんですけど、サイクル化できない変化や新規性は常に考えていきたいと思っています。
木村征史:フォーマット化しないというのは、リスクを伴うことでもある。うまくいく施策もあれば外すものもあるということだから。チャレンジングだとは思うけど、ユーザーさんもそれを楽しみにしてくれてると思うので。外してしまった時はごめんね(笑) でも、その分予想外の出来事も体験してもらえると思います。
企画スタッフ1:ストーリーについていうなら、ノベル化なども面白そうですよね。
kohei:いいですね! いろんなアプローチを検討したいですね。
ユーザーひとりひとりが、独自の楽しみを見つけてくれた
――ユーザーさんのお話が出ましたが、今後ユーザーとどのような関係でありたいのでしょう。
kohei:ログウィズというゲームを作ったら、ユーザーさんが楽しみを見つけてくれた。そう思っています。もちろん当初は自分たちのやりたいことを形にしたわけだけど、すでにディレクターだけのゲームではないし、開発だけのゲームでもなくて、ユーザーさんも含めたみんなのゲームになっている。特にゲームの遊びの部分についていうと、ユーザーさんこそが答えを持っていると思ってます。もちろん、いろんな楽しみ方をする人がいていいんですけど。
イベント出展も精力的に行う。ユーザーと直接触れ合い、生の声を聞くことのできる貴重な場だという
kohei:とはいえ、100%ユーザーさんの意見を聞くだけでもだめですよね。こちらがこだわりをもって提供したい体験もある。そこはバランスを見て、ユーザーさんの意見を取り入れていきたいと思っています。具体的な話でいうと、もともと僕は周回をあんまりしないゲームにしたかったんです。
玉ねぎ修字:(笑)
kohei:いや、もちろんしてもらうんですけど(笑) でも、周回だけじゃないゲームにしたかったというか、どんどん周回自体の楽しさを追求するゲームになっていったというか。ある程度のユーザーさんも、それを楽しんでくれているかなと。アーティファクト(※6)を集めて、禁断の番人を倒して……といった。だから今は、周回をどうやったら飽きずに楽しんでもらえるか、という点に重きを置いて考えてます。
玉ねぎ修字:当初はだいぶ抗いましたね。周回ゲームにはしないぞって。 「周回応援パック」というアイテムを出してしまった時点で負けてしまったんですけど(笑)
kohei:敗北ではないです、敗北では(笑) でも、一方で周回だけを推奨するのでなく、いろんな遊び方ができるような企画も考えています。放置要素の強化とか。どっちかに偏るより、どっちもありにしたいなと。
玉ねぎ修字:こう遊んでほしいという僕らの思いはあるけど、それを強制したくはないですね。遊び方自体はユーザーさんそれぞれにあって、それを許容できるような環境を提供したいというか。
kohei:僕もそう思います。ユーザーさんの満足度を上げることと、開発・運営としてこれを提供したいという目的、それぞれをバランスよくやっていきたいですね。
(※6)「アーティファクト」ログウィズのプレイにおいて最も重要なアイテム。キャラユニットの獲得と同時に、いかにアーティファクトを集めるかがゲーム攻略のカギとなっている。
左から木村氏・kohei氏・玉ねぎ氏(Google Play ベスト オブ2023発表会にて)
最後に
このインタビューに限らず、毎日の企画会議の中でも、チームメンバーが常に口にするのは「それはログウィズらしいか」「これのどこが面白いか」という言葉です。
面白さ、新しさに加え「10年続ける」という目標が加わることで、開発チームは
「長く、深く、いつまでも遊べるゲームを」という最初期の目的に、より現実味をもって向き合いつつあります。
日々魅力的なゲームコンテンツが次々に登場する中、それでも「ログウィズが好き」「更新が楽しみ」「こうあってほしい」と言ってくださるユーザーのみなさんの声をしっかり受け止め、これからもログウィズならではの面白さを届けていきたいと思います。
ゲーム基本情報
タイトル:ローグウィズデッド Rogue with the dead
対応機種:Google Play/iOS
ストアページ:
ジャンル:戦略放置RPG
プレイ人数:1人
リリース日: 2022年9月9日
開発:room6
公式X :