「ミラノ」と発表から5日で車名変更したアルファロメオ「ジュニア」! 謎の事件の「裏側」

2024.07.12 17:30
この記事をまとめると
■アルファロメオの新型SUV「ミラノ」は発表の5日後に車名を「ジュニア」に改名した
■改名の理由は「ミラノという名前の使用について、イタリア政府より法律で禁止されているとの通達があった」から
■アルファロメオは「議論によってもたらされた無料の宣伝に対し、政府に感謝します」と粋な対応をした
アルファロメオの新SUV「ミラノ」→「ジュニア」の改名劇
  ここ数日ネットの世界で、アルファロメオ・ジュニアについて取り沙汰されてるのを目にする機会が増えてるんじゃないかと思う。理由はとてもシンプル。認証前の生産型プロトタイプの段階ではあるのだが、ジュニアの国際試乗会がイタリア本国のテストコースで行われ、ほぼ同時期にこれまで公開されてなかったジュニアに関する詳細が明らかにされたからだ。
  アルファロメオ初のピュアなバッテリーEVとマイルドハイブリッドの2本立て。メディアが触れることができたのはバッテリーEVの高性能版“ジュニア・ヴェローチェ”のみだが、従来はラインアップにあったミトやジュリエッタなどコンパクトなサイズをしたアルファロメオの再来のようなもの。不思議なことに黙って注目を浴びてしまいがちなブランドではあるのだが、世界のジュニアへの関心は高いようだ。
  ジュニアはもともと、“ミラノ”という名称で今年の4月10日に正式発表されたモデルだった。にもかかわらず、それからわずか5日後に車名がジュニアへと変更されることになったのは、皆さんの記憶にも新しいことだろう。斬新といってもいい印象的なスタイリング、そしてブランド初のピュアEVということで話題になったのに、前代未聞の出来事でさらにクルマ好き達の耳目を集めてしまったわけだ。
  アルファロメオの公式発表によれば、改名の理由は“ミラノという名前の使用について、イタリア政府より法律で禁止されているとの通達があった”から。現地の同業の知人によれば、その通達は“ミラノ”の発表会の模様が世界に向けてオンラインで流された、わずか数時間後のことだったらしい。
  アルファロメオがニューモデルの名称を“ミラノ”とすることは2023年末から正式にアナウンスしていたにも関わらず、発表したあとに横やりを入れてくるなんて、イタリア政府がボケてたのか、それとも何かのイジメなのか。いずれにしても、“何だそりゃ?”なお話である。
  どうやら「ポーランドで生産されるクルマなのに“ミラノ”と名乗るのは法律違反だ」というのが政府側の論旨で、たしかにこのニューモデルは、アルファロメオが属するステランティスグループ内のプラットフォームを共有するモデルたちと同様、ポーランド工場で生産される。そしてイタリアには、“イタリアの製品だと誤解させる表示を禁じる”という法規制があるようだ。
すったもんだがあった「ジュニア」だがクルマのデキはお見事
  が、自動車メーカーだって、そんなことは百も承知だろう。何せ正式な諸手続を経て正式に車名を登録し、新型車を正式に発表したわけだし。イタリア政府の主張に説得力がまったく感じられないのは、当然といえば当然だ。
  これは何だかキナ臭いぞ。そう思ってたのだけど、これまで先述の知人によると、どうやら目に見えないところでステランティスとイタリア政府の間で、イタリア国内での自動車生産にまつわる対立構造があった模様。
  イタリア国内での生産を増強して雇用を確保しろと迫ることで国民にアピールしたい現政権。イタリア国内で生産しないことでクルマの販売価格を1万ユーロほど引き下げたいステランティス。そしてグローバルな企業であるステランティスは、同じプラットフォームをもつフレンチブランドのクルマやアメリカン・ブランドのクルマと同じく、イタリアン・ブランドのニューモデルをポーランドで生産するという、当然の選択をした。
  今回のイタリア政府の措置はそれに対する報復のようなものだろう。現地ではそういわれているらしい。
  それを受けてのステランティスの動きは見事なもので、“ミラノ”と同じく一般公募から候補に上がっていた“ジュニア”という歴史的な名前へと車名を変更するとともに、車名変更を伝えるプレスリリースのなかに、“この議論によってもたらされた無料の宣伝に対し、政府に感謝します”と、粋とも皮肉とも受け取れるコメントを刻み込んでるのだ。
  デビューに際して子どもじみた政府の干渉を受けることになってしまったミラノ改めジュニアだが、もちろんその出来事がこの新しいモデルの魅力を左右するようなことにはならない。いや、じつにお見事! といえるだけの出来映えを見せてくれたからだ。
  そう、じつは僕もジュニアの国際試乗会のために、イタリアはバロッコにあるテストコースに飛んでいたのだ。近々、そのときのリポートを皆さんに御覧いただけると思うので、どうかお楽しみに。

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