足元に眠る地域資源を掘り起こそう。飛騨市の薬草を使った元気なまちづくり

2024.07.10 10:00
地域をもっと元気にしたい。観光客や移住者、地域に携わる人を増やしたい。そうした思いはあっても、その「柱」はなかなか見つからないもの。


そんなときは、まずは足元に目を向けてみてください。地域を元気にする素は、意外と身近にあるかもしれません。


飛騨市では、その豊かな自然を生かし、薬草を使った地域おこしに官民一体で取り組んでいます。2013年に「飛騨市薬草ビレッジ構想推進プロジェクト」を立ち上げ、2014・2019・2023年の3度にわたって「全国薬草シンポジウム」を招致。2019年には活動拠点として薬草施設「ひだ森のめぐみ」を設立し、近年では地域外からも注目されています。


今回は、薬草の啓発活動に従事するNPO法人「薬草で飛騨を元気にする会」理事長の北平嗣二(きたひらつぐじ・写真左)さん、飛騨市役所商工観光部まちづくり観光課の今村彰伸(いまむらあきのぶ・写真右)にインタビュー。多くの薬草好きの間で「薬草といえば飛騨市」とまで言われるようになった経緯を聞きました。
薬草の活用法を開発し、地域内外へ広める
──主な活動内容をお聞かせください。
北平さん:「ひだ森のめぐみ」を拠点に、薬草商品の開発・提供、ワークショップの開催、薬草加工サービスの提供などを行っています。薬草加工サービスとは、お客様が採取した薬草を専用の機械で乾燥させたり、粉末に加工したりするサービスです。


薬草加工サービスについては、地元の方がリピーターとなって利用されるケースがほとんどですが、来店者の半数は観光客で、2024年の春からは海外の方も多くいらっしゃいます。


また、薬草の啓発活動を担う「薬草コンシェルジュ」の育成にも大きく注力しています。


私自身は、薬草研究の第一人者である故村上光太郎先生(※1)の教えを受け、薬草について人一倍の知識を身につけてきました。その知識を生かし、薬草の価値を広める人材の育成に取り組んでいます。ゆくゆくは私と同じか、それ以上の知識量と熱量で薬草について語れる指導者を育てるのが目標です。


※1 村上光太郎
薬学博士。崇城大学薬学部の元教授。
生前は全国で薬草の普及活動を推進し、飛騨市の薬草事業にも深く関わる。
薬草を起点に健康意識の向上を図る
飛騨市の「エース級」薬草の一つであるメナモミ。
──薬草を使った地域おこしを始めるに至った経緯は何でしょう?
飛騨市における薬草活動の歴史
今村:もともと、飛騨市の一部地域では薬草を生活に取り入れる文化がありました。例えば、飛騨市河合町(旧河合村)では、1997年より野草茶の製造・販売を行い、地域の健康促進に取り組んでいます。


2001年には、飛騨市古川町で村上先生と共に調査を行い、245種類もの薬草が自生していることを確認しました。まずは、この事実を誰よりも地域の皆さんに知ってもらい、見過ごされがちだった地元の価値を分かち合いたいという思いから始まった取り組みです。


高齢化が進み、医療費の増大が課題となっている飛騨市において、地域の方がより長く健康に過ごせる土壌をつくるのは重要です。地域の方に薬草の価値を広めることで、健康への意識が高まるのではないかと考えています。実際に、薬草に興味を持ち野山を散策するようになってから、以前より健康になったという声をよく耳にします。
──245種類というのは、他の地域と比べて多いのでしょうか?
今村:わかりません。というのも、飛騨市ほど本格的な調査を行い、地域にどんな薬草があるかを把握している自治体は私の知る限り多くないからです。


いずれにせよ、種類が多いか少ないかはそれほど重要ではないと考えています。大事なのは、単なる景色の一部だった野草を、地域の価値ある資源として認識できているということです。
飛騨市古川町黒内エリアに広がる「朝霧の森」。
現代のミネラル不足を解消し、地域を元気に
──確かに、地域に眠る価値の発掘は、地域おこしの一つのあり方かと思います。ただ、「薬」と付くだけに、薬草は気軽に扱えるテーマではなさそうです。
北平さん:おっしゃる通り、中途半端な知識で薬草を扱うのは危険です。有毒な成分を含む薬草を誤って口にし、食中毒を引き起こす可能性もあります。見た目は似ていても全く異なる薬草だった、というケースも珍しくないので、くれぐれも個人で採取する際には気を付けてほしいですね。


今村:薬草について情報発信を行う際には、医薬品医療機器等法(薬機法※2)を遵守する必要があります。例えば、薬草を使った茶葉などの商品について、具体的な効能を謳う行為は薬機法違反になり得るため避けなければなりません。


同時に、薬草の誤った情報やイメージがひとり歩きしないよう的確に伝えることを徹底しています。
北平さん:そもそも、私が本当に伝えたい薬草の価値とは何なのか。個別の薬効なのか。原点に立ち返った時に、本当に伝えたいのは「地球を食べる」という考え方だと思い至りました。これは、私の師である村上先生の教えです。


「地球を食べる」とは、言い換えるとミネラルの摂取だと私は考えます。


近年、現代人のミネラル不足が懸念されています。食材に含まれるミネラルは加工の過程で失われるケースも少なからずあり、加工食品を取り入れた食生活を送る現代人はミネラル不足に陥りがちです(※3)。


注:カルシウムや鉄、亜鉛、ヨウ素などの不足が指摘されている一方で、保存料にも使われるリンについては、反対に過剰摂取の傾向があるとされている(※3)。


ミネラル不足は、体にさまざまな不調をきたすおそれがあります。摂りすぎに注意しつつ、バランスよく食事に取り入れるのが大切です。


「地球を食べる」という考え方をベースに薬草の価値を広めることが、そうしたミネラル不足の解消につながり、地域の健康づくりに役立つと信じています。


※2 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」を指す。(引用:厚生労働省「
」2024年6月26日閲覧)
※3
参考①:国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「
」2024年6月26日閲覧
参考②:国立健康・栄養研究所「
」2024年6月26日閲覧
料理人として感じた薬草料理の新たな可能性
北平さん。薬草施設「ひだ森のめぐみ」で撮影。
──北平さんは「薬草で飛騨を元気にする会」の理事長であると同時に、明治時代から続く旅館「蕪水亭(ぶすいてい)」の料理人ですよね。薬草を広める活動にどのような経緯で関わることになったのでしょう?
北平さん:本格的に関わるようになったのは、2014年に飛騨市で開催された「第3回 全国薬草シンポジウム in 飛騨市」で料理を提供する役割を担って以降です。


さかのぼること2013年12月、飛騨市の職員さんから薬草の話を聞く機会がありました。当時、薬草に対して「臭い・まずい・苦い」というイメージしか持たなかった私が「薬草をおいしく食べられる所なんてないですよね?」と半ば決め付けて質問したところ、「あります」と意外な答えが返ってきたのです。徳島県と熊本県の名前が挙がりました。


そして、すかさず「一緒に視察へ行きませんか?」と提案され、後に引けなくなった私はそのまま同行することになりました。徳島県で初めて村上先生の講演を聴き、薬草料理を食べさせてもらったのが私と薬草との最初の出会いです。


飛騨市に帰り、なぜ私を視察に同行させてくれたのか疑問に感じていたところ、職員さんの口から初めて「全国薬草シンポジウム」の話が挙がりました。そこで提供する薬草料理を作ってくれる人を探しているとのこと。まんまと相手の思惑に乗せられてしまいましたよ(笑)。


一方で「蕪水亭」の料理人として薬草に大きな可能性を感じていたのも事実です。旅館の新たな「柱」が必要だと考えていた私は、初めて薬草料理を食べた瞬間、自分ならこの料理をもっと進化させることができると確信しました。


私は50種類の薬草料理を作ると宣言し、レシピを考えること約半年。想像以上に大変な作業で、開催日直前の2日間は徹夜で追い込みました。


周りは「薬草料理は簡単ではない」「にわか仕込みでは絶対にできない」と口々に言いましたが、シンポジウム当日を迎え、考えを変えざるを得なかったようです。ありがたいことに薬草料理は好評でした。


ところが、村上先生に感想を伺うと、思わぬ言葉が返ってきたのです。


「幼稚園児の料理だ」と。


おいしいけれど独自性はない。薬草が持つ本来の価値を生かしきれていない。そのような意図でおっしゃったと理解しています。


その言葉が、私が薬草料理の探求を始めた原点です。


飛騨市が薬草事業に積極的に取り組んでいくという話を受け、民間でも何か貢献できないかと考えNPO法人を立ち上げました。市民による市民のための地域おこしをしようと決意したのです。


市民が元気になれば、笑顔あふれるまちになる。笑顔があふれるまちには人が集まってくる。それが私の思い描く理想の未来です。


関連記事:
──薬草料理の開発で苦労した点は何ですか?
北平さん:薬草独特の苦味に加え、調理の過程でミネラルが失われることが大きな壁でした。苦味を旨味に変え、普通の料理のように提供したい。一方で苦味をとるためにアク抜きをすれば、水溶性のミネラルは失われてしまいます。


5年ほど失敗を重ね、私が見つけた一つの答えが「役草だし」です。体に「役」立つという意味を込めて名付けました。
「役草だし」は、味噌汁やお吸い物、雑炊や煮物など、さまざまな料理に使えます。苦味を感じずミネラル豊富な薬草を食べることができる一つの理想形です。


日本料理においては、苦味などの不要なものを取り除き、ほのかに残った季節の香りを出汁や醤油の味で楽しむのが基本の考え方です。薬草本来の価値を残した「役草だし」は、他には真似できないオンリーワンの料理だと確信しています。


毎日の食生活に薬草を取り入れ、習慣を変えることで初めて健康がつくられます。そのためにも、毎日おいしく食べられる薬草料理の開発に今も向き合い続けています。
──「蕪水亭」のメニュー開発だけに注力する選択肢もあったかと思います。自治体と共に地域おこしを先導する理由は何でしょう?
北平さん:確かに、自分の旅館での活動にとどめるのは簡単ですが、1人でやることは1にしかなりません。周囲を巻き込めば、1+1が5にも10にもなります。


きっかけは、父であり上司でもあった先代を早くに亡くした出来事でした。旅館を経営していくなかで「生前、お父さんのお世話になったから」と良くしてくれる方も多く、父の影に支えられながら過ごしていました。ただ、そうした影も時が経つにつれて薄れていくものです。


一方の私は、長く調理の仕事に従事してきた背景もあり、地域の方との交流はほとんどありませんでした。そんな時に、地域の若手経営者が集まる飛騨古川青年会議所に来ないかと誘いを受けました。


飛騨古川青年会議所は、地域おこしを先導する人材育成の場としての役割も担っています。卒業後、何ができるかを考えていた時に、薬草に出会いました。


ここ数年、飛騨市では市民の高血圧が問題視されており、過去には岐阜県内でワースト1位(※4)となった例もあります。こうした背景を踏まえ、一人でも多くの市民が長く健康に生きられる地域をつくりたいという思いを潜在的に抱いていました。


薬草なら市民の健康促進に役立ち、地域が元気になれば観光客も増え、結果的に宿泊客が増えるかもしれない。まさに良いこと尽くしだと感じました。


ここには、私が薬草にのめり込むきっかけとなった村上先生の遺志もあります。村上先生は「全国薬草ビレッジ構想」の名の下、全国に薬草の拠点をつくり、日本を元気にすることを目指していました。私は先生の代わりにはなれませんが、志を受け継いでいくことはできます。先生の思い描く未来と、私の理想が重なり現在に至ります。


※4 参考:飛騨市「
」2024年6月26日閲覧
未来を担う薬草コンシェルジュの育成
──先人から受けとったバトンを次へとつないでいくという意味合いで、後進の育成に注力されているのですね。薬草のおいしい食べ方についてもレクチャーしているとのことですが、料理人にとって開発したレシピは企業秘密では?
北平さん:レシピを知ったところで、そう簡単には私に追いつけないでしょう(笑)。もちろん、追いつき、追い越してほしい思いはありますが。自分の腕に自信があるからこそ、長い年月をかけて身につけたノウハウを惜しみなく伝授しています。
──北平さんの後進にあたる薬草コンシェルジュは何名ほどいらっしゃるのですか?
北平さん:約40名です。私が薬草の啓発活動を始めた当初、興味を持ってくれる人の多くは年配の方で、薬草を普及させようとまで思ってくれる人は多くありませんでした。


2015年、「飛騨市薬草フェスティバル」というワークショップ中心のイベントを初開催した際、お子さん連れの女性が多くいらっしゃいました。イベントは好評で、以降、お子さんも楽しめる体験型のワークショップを増やしたところ、おそらく子育て世代を中心に飛騨市の活動が口コミで広まっていったのでしょう。次第に地域外からも「薬草を学びたい」と希望する方が飛騨市を訪れるようになりました。


中には、アロマなど自分の事業を持っていて、プラスアルファで薬草の知識を身につけたい方も多くいます。目的意識が強く、自発的に薬草を普及させてくれるありがたい存在です。
クロモジの枝。クロモジをテーマとしたワークショップは若年層の女性にも人気なのだとか。


最近は、薬草コンシェルジュをいかに自立させるかという課題に向き合っています。薬草を使った地域おこしは長期戦です。私が引退した後も長く活動を続けていける指導者を育て、体制を盤石にする必要があります。


指導者は、必ずしも飛騨市の市民ではなくてもいいと思っています。各地で活躍する薬草コンシェルジュのルーツをたどれば、飛騨市に行き着く。地元をそのような存在にしていきたいです。
ファン増加の理由は、マニアに届く情報発信
──薬草施設「ひだ森のめぐみ」の来店者数は、開業から4年間連続で増加傾向とのこと。どんな点を意識していますか?

」。薬草商品の販売や薬草の展示、薬草茶の試飲サービスの提供、ワークショップの開催、薬草加工サービスの提供などを行っている。


「ひだ森のめぐみ」来店者数の推移
今村:薬草は非常にニッチなテーマということもあり、刺さる人にピンポイントで情報を届け、何度も足を運んでくれるリピーター客を増やすのが鍵です。


最初は、薬草に興味を持ちそうな人が集まる場所へ赴き、口コミで少しずつ認知を広げていきました。薬草好きが集まるコミュニティやイベントは少なくありません。例えば、岐阜県各務原市には薬草ハーブを使ったお風呂屋さんがあります。そこの常連客に向けてワークショップを開いたところ、多くの方が飛騨市を訪れてくれました。


反対に、不特定多数に向けて情報を発信しても、それを見て実際に飛騨市へ足を運んでくれる人は多くないとわかっています。
店の奥には薬草の庭があり、誰でも見学できる。
試飲サービスで淹れてもらった薬草茶。苦味はなく、飲みやすい。


北平さん:件数は多くありませんが、Instagram(インスタグラム)への投稿をきっかけに飛騨市へ通うようになった他県の方もいるんですよ。山口県下関市の方は薬草コンシェルジュとなり、毎月活動のため約12時間かけて飛騨市を訪れています。個人に限らず、薬草の知識を事業に生かしたいと栃木県の企業の方がいらしたケースもありました。


闇雲に情報を拡散するのではなく、学びたいと思っている方に届く情報発信を心がけています。


地道な活動の効果と、コロナ禍で人々の健康意識が高まった社会背景が重なり、結果的に来店者数が増えたのでしょう。
官民で補い合い歩む、飛騨市の地域おこし
──飛騨市の薬草の活動が、他の地域と比べて異なる点は何ですか?
北平さん:官民一体で取り組んでいる点です。自治体はワークショップなどを通じて市民に薬草を浸透させる役割を、我々NPO法人は地域の外に向けて薬草の魅力を発信する役割をそれぞれ担っています。


今村:NPO法人は、自治体と比べて機動力があります。迅速にプロジェクトを推進できているのは、北平さんをはじめとした市民の皆さんのおかげです。


北平さん:自治体職員の皆さんが、市民同士をつなぐ潤滑油的な役割を果たしてくれていることが、私たちの活動しやすさにつながっています。飛騨市には、私が活動を始める以前より薬草に携わってきた方もいます。そうした方々との連携において、自治体が間に入ることで物事がよりスムーズに進むのでありがたいですね。
部署横断型のプロジェクトだから広がる活動の幅
2024年度「飛騨市薬草ビレッジ構想推進プロジェクト」メンバー。
──活動が地域の健康促進や活性化にどれほど影響したか、定量効果が見えにくい部分もありそうです。
今村:おっしゃる通り、すぐに目に見える効果が出る類の活動ではありません。薬草をきっかけに食生活を見直したり、誘い合って野山を散策したり、そうした行動の積み重ねが健康をつくります。「健康になった」との声はよく聞きますが、それを数値で測るのは困難でしょう。


目先の成果にとらわれず、腰を据えて長く取り組んでいく姿勢が求められます。
──なかなか成果が見えないと、モチベーションを維持するのが難しいのでは?
今村:そのために大切なのは自主的に取り組むこと。そして何より楽しむことです。


飛騨市役所では、薬草の活動に従事する職員は挙手で決まります。やりたい人が集まることでモチベーションを維持しやすいためです。薬草プロジェクトが、各部署の若手職員が集まる有志のグループワークから始まったことが背景にあります。


メンバーは所属部署と兼任するかたちで薬草プロジェクトに参画します。所属部署での仕事をしっかりこなすのが大前提ですが、飛騨市では、薬草の活動が部活動やサークルではなく「業務」として認められているため、周囲からの理解を得やすいと感じます。


年度ごとに集まるメンバーの知識量や熱量に合わせて柔軟に活動スタイルを変えています。今年度は新メンバーが多い点を踏まえ、まずは各々が薬草に慣れ親しむことから始めました。実際に薬草を使ってみて、新たなレシピや使い方のアイデアを1人1つずつ出し合う課題に取り組んでいます。


事務局を運営する私としては、各々別の仕事を持ちながらプロジェクトに参加するからには「楽しんでほしい」という思いがあります。
──部署横断型チームの強みは何ですか?
今村:所属部署で得た知見や築いた人脈を、薬草の活動に生かせる点です。例えば、生涯学習課が主催する市民向けの勉強会で薬草をテーマに取り上げたり、農林部から市民農園の空き状況を共有してもらい薬草を栽培したり。各メンバーが所属部署と薬草プロジェクトチームの橋渡し的な役割を担うことで活動の幅が広がります。


また、他部署の人と接点を持つ機会が、結果的に仕事のやりやすさにもつながっていると感じます。
──最後に、薬草の活動をやっていて良かった点をお聞かせください。
北平さん:孫が薬草茶をおいしそうに飲んでくれた時は嬉しかったですね。子どもは苦味に敏感なので嫌がるかと思ったのですが、おいしそうに飲む姿を見て、自分のやってきたことが認められたような思いでした。


今村:目に映る景色がガラリと変わった点です。歩いていて季節の薬草に目を留める機会が増えましたね。「あ、ドクダミが咲いている」「葛の新芽が伸びている」など、足元の変化に気付くようになり、歩くのが楽しくなりました。ただの散歩が楽しくなるのは、薬草を知る魅力の一つです。


見方を変えれば、地元をもっと好きになれることを誰より私自身が体感しました。
地域の「当たり前」に注目し、新たな意味を吹き込もう
その地で生まれ育った人ほど、意外と地元の魅力に気が付かないものです。これまで注目されていなかった身近な存在に光を当て、その価値を浸透させることで地域はもっと元気になります。


そのために必要なのは、本質的に地域へ届けたい価値とは何なのか軸を定めること。そして、その軸を中心に地域資源に新たな意味を吹き込むことです。飛騨市の活動においては、ミネラルの補給を軸に置き、「臭い・まずい・苦い」とされる薬草を、毎日おいしく食べられる薬草料理へと生まれ変わらせました。


また、価値を広めるフェーズでは、扱うテーマの性質に応じて情報発信の方法を工夫するのもポイントです。薬草のようにニッチなテーマを扱う場合は、不特定多数に向けて情報を拡散するより、需要が集中する場所へ赴き、直接情報を届けるのが効果的と考えられます。


短期的な効果が見えづらい地域おこしにおいては、長く活動を続けられるよう、個人に依存しない体制づくりも重要です。モチベーション維持のためには、ボトムアップで企画を立ち上げ、挙手性で参加者を募るのも一つの方法といえます。


一歩一歩、着実に歩めばきっと良い変化を起こせるはず。ぜひ地域の「当たり前」に目を向け、新たな価値を見つけてみてください。
「飛騨市薬草ビレッジ構想推進プロジェクト」について
◆公式サイト
◆NPO法人「薬草で飛騨を元気にする会」公式Facebookページ
◆「ひだ森のめぐみ」施設の概要
 住 所 飛騨市古川町弐之町6-7
 営 業 日 毎日営業(年末年始を除く)
 営業時間 10:00~16:00
 電話/FAX 0577-73-3400(FAX兼)
 メールアドレス hidamori3400@yahoo.co.jp


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最新のお知らせはこちら


◆お問い合わせ
飛騨市役所商工観光部まちづくり観光課
〒509-4292 岐阜県飛騨市古川町本町2-22
電話番号:0577-73-7463

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