I-OTA合同会社は大田区町工場が集まってできた会社です。運営メンバーは全員現役で製造業を営む経営者や後継者候補で、大田区、そして日本のものづくりの未来について真剣に考え行動し続ける高い志を持ったメンバーが集まっています。
一つひとつは小さな会社でも、連携すれば大きな力になることを証明したい!そして日本のものづくりを活性化させたい!という大きな目標に挑戦し取り組んできました。
そして大田区役所や大田区産業振興協会、この想いに共感した株式会社テクノアの連携により2022年8月に誕生したのが「デジタル受発注プラットフォーム“プラッとものづくり”」です。
今回はこの「プラッとものづくり」にどのような特徴があるのか、そしてどのような想いで立ち上げたのかについてお伝えいたします。
●「デジタル受発注プラットフォーム」の可能性 ~相談者と事業者が互いに満足するために~
「プラッとものづくり」は、ものづくりの相談をしたい【発注者(ものづくり相談者)】と、ものづくりの依頼を受けたい多数の製造業(ものづくり事業者)をまとめる【ものづくりグループ】をつなぐクラウドシステム型のプラットフォームです。
インターネットを介して利用可能で、相談者、ものづくり事業者ともに無料で登録できます。(※ものづくり事業者には有料プランもあります。)
相談者はものづくり状況に関係なく気軽に依頼することができます。これに対し、複数のものづくり事業者を取りまとめるグループ代表が窓口を一本化して回答することで、相談者のものづくりのご要望にワンストップでお応えします。
図面がないアイデア段階であっても簡単に相談でき、相談者とものづくり事業者の円滑なコミュニケーションにより最適なソリューションを提供します。
●代表インタビュー ~デジタル受発注プラットフォームによる変革で日本のものづくりを世界へ~
I-OTA合同会社はこの「プラッとものづくり」の中で、大田区をはじめ全国の企業が多数参画している「I-OTA・大田区グループ」のグループ代表企業を務めています。
どのような思いでこのプラットフォームを立ち上げ、グループを運営しているのか。事務局担当よりI-OTA合同会社の代表社員である國廣へインタビューを実施しました。
―――プラットフォーム立ち上げについての想いをお聞かせください
我々のプロジェクトは単純にITツールを活用しデジタルの力で業務効率を上げることを目的としているのではなく、我々町工場の技術リソースを武器にものづくり提案の付加価値を向上させ、受託型の中小製造業が成し遂げられていない革命を起こすものでありたい!と思っています。
これにより、失われつつある日本のものづくりの力を世界にとどけ、Made in Japan復権のきっかけになる!!!と、信念を持って取り組んでいます!
…なんて、熱い想いが爆発してしまいましたが(笑)、つまりはグループに参加してくれた仲間企業にとっての利益拡大や成長につながるプラットフォームにしていきたい、ということです。それがお客様への最適なソリューション提供にもなるし、ひいては日本のものづくりの活性化に繋がれば最高だな、と。
―――高い目標をもって、このプラットフォームを開始したのですね。実際にプラットフォーム、そして「I-OTA・大田区グループ」の運営をしてみてどうですか
デジタルがなければ繋がらなかった出会いがあって、最初は大田区の企業だけで始まったことが全国に広がりつつあることが、非常に嬉しいです。
今まで町工場で案件を待ってるだけだったのが、デジタルを通じて新規受注が獲得出来るようになったんです。本当につい最近まで全部紙でやっていて、デジタル化なんてほど遠い小さな町工場も多く、技術は本当に素晴らしいのにそれが埋もれてしまうのが悔しかった。
自分のところでは出来ない分野だからと新規受注を諦めてしまう工場もたくさん見てきました。でもこの取り組みで、自社だけでは出来なくても連携することで、世界に挑戦出来るようになったんだ! と実感しています。
●中小企業同士が連携する事で「ワンストップ対応」のニーズを叶える事が可能に
―――「連携」にこだわるのには何か理由があるのでしょうか
大田区に限らず日本のものづくりは世界的に見ても非常に優れています。しかし、技術を有する中小製造業、特に大田区中小製造業は小規模な工場が多く、一社だけでは提供出来る技術やサービスが限られています。
これはマイナスな面だけではなく、小規模だからこそ、各社が独自の技術やノウハウを深堀し、ものづくりの高度化を実現することができたんです。
しかし時代の変化とともにお客様のニーズも変化していて、図面ありきの部品加工から、アイディア段階から装置の製作までをワンストップで求められることが多くなってきました。
ワンストップ対応のために必要な知識や工場の設備などは顧客の相談ごとに異なるため、よほどの大企業か中堅企業でない限り一社でワンストップ対応することは困難です。
その結果、小さな町工場ではこのニーズに対応できず、受注、売上が減少してしまい、脱下請けをしなければ生き残れない環境にさらされています。
生き残るためには顧客のワンストップニーズに応える必要があり、それは一社では対応が非常に困難であるため、連携したものづくりが必要不可欠なんです。
―――具体的には、連携によりどのようなものづくりが可能になるのでしょうか?
例えば、マレーシアの大学発スタートアップから相談を受け、環境に配慮したケナフ繊維の生成に寄与する新型酵素液の量産設備の開発に成功しました。
マレーシアでは活用ニーズの高いケナフ繊維ですが、それを高効率に生成するための酵素を発見した研究室では、当時、酵素液を1日数リットルしか生産できませんでした。
図面はもちろん、ものづくりの知見のない海外スタートアップからの相談です。製作に入る前の徹底したヒアリング及び現地視察を通じて彼らのニーズを正しく理解出来るよう心掛けました。
先方より「酵素の生産は、醤油の生産プロセスに類似するのではないか?」というアイディアがあり、そこからは醤油の製造装置について研究しながら、ケナフや酵素液の特徴に合わせた設備開発を町工場約20社が連携し高速で進めていきました。
これは、日頃から1品モノの試作開発や量産ラインの製造装置開発などを行ってきた経験と、多様な基盤技術を有する企業間ネットワークがある大田区仲間まわしの経験があってこそ実現できたのだと思います。
―――日本のものづくり技術だけではなく、醤油という日本文化との融合によるイノベーティブな開発事例ですね
デジタル受発注プラットフォーム“プラッとものづくり”に登録することで、ものづくり経験のないスタートアップはもちろん、メーカーや大手企業も、図面がないアイデア段階から相談できるのですね。
●「I-OTA・大田区グループ」約80社の力を結集し、最適なソリューションを提案していきたい
「I-OTA・大田区グループ」は80を越えるものづくり企業が参加しているので、産業機械の試作開発・省力化・自動化はもちろん、その他試作・開発から量産まで幅広く対応できます。大手企業のお客様からの相談も多いです。
ものづくりのお困りごとがあったら、「まずはプラッとものづくりに相談してみようかな?」と思い出してもらえたら嬉しいです。
「I-OTA・大田区グループ」が自信をもって最適なソリューションを提供させていただきます!
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