行きは高揚感、帰りはちょっとリラクシーな休日ハイウェイBGM

2024.07.02 16:08
休日の朝。待ちに待ったゴルフの日。早朝の空を見上げながら車に乗り込む。今日はどんな音楽を聴こうか。ちょっと冒険して、いつも聴いている曲とは違うジャンルにトライしてみるのもいいかもしれない。そんなあなたに、音楽のプロがゴルフ場へのハイウェイを彩るアルバムをセレクトしました。今月のナビゲーターは、音楽ライターの栗本 斉さん。新しい音楽との出会いで、ゴルフもさらにGROOVE ITしよう。ゴルフの行き
STR4TA『STR4TASFEAR』(2023)
まだ眠い目をこすりながら、早朝ゴルフ場へ向かう道すがら。プレー前のドライブで少し気合いを入れるにはこんな音楽はいかがだろうか。一聴した印象は70年代のファンクやフュージョンのよう。90年代に流行ったアシッドジャズを思い出す、なんていう方はなかなかの音楽通だろう。
STR4TA(ストラータ)は、80年代からクラブミュージック・シーンを牽引してきたDJのジャイルス・ピーターソンと、アシッドジャズ・ブームの真っ盛りにINCOGNITO(インコグニート)というバンドを率いて一世を風靡したジャン・ポール・“ブルーイ”・モーニックを中心としたスーパー・プロジェクト。
本作は彼らにとって2作目のアルバムで、全体的にクールで切れ味がよく、心を高揚させてくれる音楽に仕上がっている。うねるようなビートを叩き出すドラムスとベースのコンビネーション、絶妙なリズムでカッティングを繰り広げるギター、スペイシーな空間を生み出すシンセサイザーなどが絡み合って、懐かしくも新しい独特の空気感を生み出していく。インスト曲がメインだが、時折ゲストヴォーカルが入り、ソウルフルな歌声を聴かせる。
ロックやヒップホップのようにアゲ過ぎず、どこかクールダウンした雰囲気を保っているのが彼らの魅力。とにかくかっこいいとしか言いようがないダンサブルなサウンドで、ドライビングミュージックとしてこれ以上のものはないといっていいかもしれない。
こんなスタイリッシュなダンスミュージックなら同乗者も選ばない。大人の男の余裕を見せるなら、こういった音楽をチョイスしてプレー前をひと盛り上げしてもらいたい。
ゴルフの帰り
Kindred the Family Soul『Love Has No Recession』(2011)
スコアの良し悪しはともかくとして、心地良い疲れを身体に感じながらゴルフ場を後にするなら、リラックスできる音楽を聴きたいところ。といっても、あまりにもリラックスし過ぎて眠くなってしまうのも困る。そんなときには、ナチュラルな質感のソウルミュージックをチョイスしてみてはどうだろう。
Kindred the Family Soul(キンドレッド・ザ・ファミリー・ソウル)は、20年ほど前に始まったネオソウルのムーヴメントの中から登場したR&Bのグループだ。ファティン・ダンズラーとアジャ・グレイドンという夫婦のデュオで、共にステージに立つ10数人のミュージシャンも含めてファミリー感のある音楽集団として人気を得た。
ソウルやR&Bというと、エモーショナルに歌い上げるイメージのシンガーが多いが、彼らはこれ見よがしに声を張り上げるようなことは少なく、どちらかというと淡々とした印象があるかもしれない。 だからこそスーっと耳に入ってくる感覚があり、BGMとしてもうるさく感じない。非常にテクニカルな歌い手で、感情を抑え目にしたヴォーカルの巧さが光っている。
生楽器のアンサンブルを主体に、ホーンセクションも交えたバンドサウンドは、アース・ウィンド&ファイヤーなどに代表される70年代のソウルやファンクを彷彿とさせるが、時代が一回りしてそれが今っぽかったりもする。スヌープ・ドッグ、ラヒーム・デヴォーン、チャック・ブラウンなど、世代を超えた幅広いゲスト陣も魅力的だ。
全体的に温かみのあるサウンドで、聴いていると身体を包み込んでくれるような安堵感があり、スポーツの後にはピッタリである。帰りの車中は一人でも複数人であっても、彼らの音楽があれば穏やかな気持ちで帰路につくことができるはずだ。



栗本 斉(くりもと・ひとし)/音楽と旅のライター、選曲家
1970年生まれ、大阪出身。レコード会社勤務を経て、2年間中南米を放浪。帰国後はフリーランスで雑誌やウェブでの執筆、ラジオや機内放送の構成選曲などを行う。ビルボードライブでブッキングマネージャーを務めた後、再びフリーランスで活動。著書に『ブエノスアイレス 雑貨と文化の旅手帖』、『アルゼンチン音楽手帖』、共著に『喫茶ロック』、『Light Mellow 和モノ Special』など。2022年2月に上梓した『「シティポップの基本」がこの100枚でわかる!』(星海社新書)が話題を呼び、テレビやラジオなど各種メディアに出演。
公式サイトhttps://kuru-log.net/
Edit : Yu Sakamoto

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