アルピナらしく仕上げられた完成形 BMWアルピナ「B3 GT、B3 GTツーリング」

2024.06.28 12:00
6月中頃のドイツ東部、ザクセンリンク・サーキットには乾いた風が吹いていた。つい先ごろアルピナが発表した「B3 GT」と「B4 GT」の国際試乗会が開催された。
この2モデルはこれまでの「B3」と「B4」の進化型であり、改変の核となっているのは、495psだった3.0リッター、直6エンジンの最高出力が529psまで引き上げられたこと。今回は4ドアセダンのB3 GTリムジンと、ステーションワゴンのB3 GTツーリングに焦点を当てて紹介していく。
BMW車をベースに静的、動的質感を徹底的に煮詰めることでコンプリートカーを生み出すアルピナだけに、34psのパワーアップに対するフォローはいつもと同じようにクルマ全体に及んでいるようだ。フロントスポイラーの両端に小さなウイングである「カナード」が追加されている他、黒塗りのリアのディフューザーも新デザインとなっている。
オロ・テクニコと呼ばれるGT専用の淡いゴールドのカラーリングが20インチの鍛造ホイールやアルピナを象徴するボディサイドのストライプ、そしてリアのエンブレム等に用いられ、差別化が図られている。
今回はサーキットでの試乗が中心で、最新の500psオーバーのアルピナの動力性能をたっぷりと味わうことができた。エンジン回転が6000を超えてもパワーがもりもりと湧いてきて、アルピナならではの青いスピードメーター内で、赤い針が勢いよく200km/hを突破する。
一方高速コーナーが続くようなセクションでは、BMW「3シリーズ」のボディに最大サイズの専用開発タイヤ(PIRELLI P ZERO フロント:255/35 ZR20 / リア: 265/30 ZR20)を組み合わせた効果がはっきりと理解できた。超高速域における車体の落ち着き具合は驚愕のレベルであり、ステアリングやシートを通して伝わってくるグリップ感を心拍数を上げることなく体感できた。
レーシング由来の機敏な動力性能を前面に押し出すBMWの「Mモデル」に対し、ハイスピードツアラーを標榜するアルピナ。今回のB3 GTでもストレスフリーでロングドライブを敢行できる味付けは健在だった。
アルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン社で足回りのエンジニアリングを担当しているトビアス・ウィーガー氏が説明してくれたB3 GTの味付けは興味深いものだった。エンジンのパワーアップに対する足回りのセッティング変更は、一般的には硬くする方向なのだが、今回はリアのスタビライザーを1段階細くしてしなやかさを確保しているという。だからといって一概に「ドライブフィールを優しくした」とは言えないらしい。なぜならフロント側にはアルピナ謹製のアルミ鋳物でできたボディ補強パーツが追加装着されているからである。
「アルピナらしい仕上がりになるように全体のバランスをとった、という表現が正しいだろうね。今回ももちろん可変ダンパーや8速AT、リアデフ、さらには各走行モードにおけるAWDシステムの前後駆動力配分など、プログラムの部分は全面的に刷新している」とトビアス氏は言う。
ツボを抑えつつ控えめな見た目をしているので、クルマ好きでなければ「アルピナだ!」と気づかないはず。それでもポテンシャルはこれ以上ないほどの一線級。BMWが誇る最新のADAS(先進運転支援システム)も完備しているので渋滞だって怖くない。となれば、この粋な一台がクルマ好きの“欲”を刺激しないはずはない。
BMWアルピナB3 GTリムジン アラッド / B3 GTツーリング アラッド  車両本体価格: 1600万円~(税込)ボディサイズ | 全長 4790 X 全幅 1850 X 全高 1440 mm(ツーリングの全高は1438 mm)ホイールベース | 2851 mm車両重量 | 1875 kg(ツーリングは1945 kg)エンジン | 直列6気筒ビターボ ガソリン(ツインターボ)排気量 | 2993 cc最高出力 |  529 ps(389 kW) / 6250 - 6500 rpm最大トルク |  730 N・m / 2500 - 4500 rpm変速機 | アルピナスウィッチトロニック付8速AT巡航最高速度 | 308 km/h(ツーリングは305km/h)お問い合わせ先alpina.co.jp
Text : Takuo Yoshida

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