国内レース史上最高人気の箱車レース! 伝説のJTC「グループA」に人々が熱狂した理由を当時のドライバーが語る

2024.06.22 17:30
この記事をまとめると
■かつて日本では全日本ツーリングカー選手権(JTC)が開催されていた
■JTCのグループA車両は対象車種が多くそのシルエットが市販車に近いことで人気を得た
■グループA規定は世界ラリー選手権(WRC)でも採用されていた
スーパーGTよりも多くの人を熱狂させたJTC
  1994年にスタートした全日本GT選手権(JGTC)を受け継ぎ、2004年から国際シリーズとして開催されるようになったスーパーGTは国内最大級の人気を誇るレースに成長。抜群の観客動員数を記録しているが、そのスーパーGTを凌ぐ人気を誇る“箱レース”が日本で開催されていたことをご存じだろうか?
  そのレースとはJGTCが始まる少し前の1985年から1993年まで開催されていた全日本ツーリングカー選手権(JTC)で、数多くのファンがサーキットに来場。まさに伝説の箱レースとして語り継がれるほど、人気レースに発展したのだが、その原動力となったのが、主力モデルとなっていたグループA車両だった。
  グループAとは1982年にFIAが導入したツーリングカーの国際規定で、連続する12カ月間に2500台以上の生産実績を持つ4シーター以上の車両がホモロゲーションの対象だった。
  このグループA規定は世界ツーリングカー選手権(WTC)、ヨーロッパ・ツーリングカー選手権(ETC)のほか、イギリス、ドイツなど各国のツーリングカー選手権でも採用されたことから、多くの自動車メーカーがグループA車両をラインアップ。その結果、グループA規定を採用したレースは車種バリエーションが多彩で、前述のJTCを例に見ても、トヨタ・カローラレビン(AE86)、ニッサン・スカイライン(R30)、ホンダ・シビックSi、三菱スタリオン、BMW M635、ボルボ240ターボが初年度からエントリーしたほか、その後はトヨタ・スープラ(MA70)、フォード・シエラRSコスワース、ニッサン・スカイラインGT-R(R32)、BMW M3などがエントリー。
  この多彩な車種ラインアップがグループAの人気を支えた要因のひとつで、多くのファンが各マシンの対決を満喫していた。
  また、グループAにおける特徴が“改造範囲”で、グループAではグループBよりも狭く、グループNよりも広い範囲で改造を実施していた。そのため、グループA仕様車は、見た目は市販車に近く、エンジンは500馬力以上……といった状態で、まさに“羊の皮を被った狼”といった仕上がりになっていた。
  この市販車に近いながらも抜群のパフォーマンスを備えていたこともグループAの人気を支えていた要因といっていい。
人気の秘密は市販車に近いシルエットのマシンたち
「やっぱり、シルエットが市販車両に近かったことがグループAの人気につながっていたと思います。そういった親近感にプラスして、エンジンはバリバリにチューニングしていたことでパワーもあったし、タイヤ幅も狭かったので、アクションが大きくなりますよね。だから、そういった豪快な走りが見ている側も楽しめたんだと思います」。
  そう語るのはJTCのラストイヤーとなった1993年にスカイラインGT-Rでチャンピオンに輝いた影山正彦氏だ。
  さらに影山氏は「いまのスーパーGTは市販モデルと違って見た目が派手ですよね。それにクルマも速いから、そこを楽しんでもらえているんだと思います。ファンのレースの見方も変わってきたんでしょうね」と付け加える。
「グループAといえば、JTCの最後の年(1993年)の最終戦、富士のインターテックの光景が忘れられない。100Rを立ち上がってヘアピンに入ったら、アウト側の一面がすべてファンで埋まっていました。それに最終コーナーを立ち上がってストレートに帰ってきたらメインスタンドもお客さんで満員の状態。当然、ドライバーとしてはテンションが上がりましたね。あんな光景はあとにも先にもなかった」。
  この影山氏の言葉からも、いかにJTCおよびグループAが人気を集めていたかが、窺い知れるだろう。
  ちなみにグループA規定はラリー競技の最高峰シリーズ、世界ラリー選手権(WRC)でも1982年から1997年にかけて採用されており、こちらにおいても多彩な車種ラインアップおよび市販車に近いシルエットで人気を博していた。
  2000年から2001年のWRCおよびAPRCに三菱ランサーのグループA仕様車で参戦していた田口勝彦選手は「グループAは市販車に形が近かったですからね。WRCで走っているクルマと日本で販売されている市販車がつながっていたので、そこが人気の理由だったと思います」と語る。
  とはいえ、グループA車両は特殊なマシンで、「グループNと違って、グループAはパワーもあったし、トルクもありました。それに車両重量も軽かったですね。全体的に曲がりやすいクルマでしたが、その反応がすごくてドライビングが難しかった。当時、ランサーのグループAは“トミ・マキネン・スペシャル”と呼ばれていて、アクセルを全開にしつつ、一瞬で曲げないとダメなマシンだったので、よくスピンしていました」と付け加える。
  このようにグループAはラリー競技においても特別な存在で、まさにモータースポーツシーンで大きな成功を収めたカテゴリーだったのである。

あわせて読みたい

無敵のGT-Rを打ち破って表彰台を独占! 安くてバカッ速なマツダ・サバンナは伝説の名車だった
WEB CARTOP
限定88台! TWRのV12スーパーGT「スーパーキャット」が世界デビュー、クラシカルなジャガーXJSをベースに構築された現代的なカーボンファイバー製の一台
CARSMEET WEB
【SUBRINA】パティスリー「LIFENRI」とコラボ「BonBon de noir 海底熟成ワインのマリアージュショコラ」登場
PR TIMES Topics
鈴木亜久里総監督の隣で超レアな監督体験! ARTAが激アツな「SUPER GT応援」キャンペーンを実施!
WEB CARTOP
このカッコで闘えるんか!? モータースポーツ界の変わり種マシン4選
WEB CARTOP
【横浜初上陸】フレンチトーストの専門店「The French Toast Factory」オープン
PR TIMES Topics
ハイエースとポルシェとミライースが同じ土俵で激走! 全日本ラリーの「オープンクラス」の出場マシンが多彩すぎて衝撃
WEB CARTOP
破格の1800万円「スカイラインGTS-R」納得の理由【再配信】
東洋経済オンライン
いつもの朝食プラス「Y1000」でウェルネスライフ。管理栄養士が奨める新習慣!
antenna
第813回:ラリーカメラマンが物申す! ここがヘンだよ「ラリージャパン」[エディターから一言]
webCG
ラリー史に残るエポックメイキングな6台を展示|The Golden Age of Rally in Japan
octane.jp
スバルとSTIがコンプリートカー「S210プロトタイプ」を世界初公開【東京オートサロン2025】
webCG
ディフェンダー、ダカールラリーおよびW2RCへの3年間参戦概要を発表・壮大なアドベンチャーの幕開け!
CARSMEET WEB
LEON PYRAMID AMGが15番手スタートから逆転で今季2連勝!スーパーGT第6戦SUGOラウンドGT300クラスリポート
CARSMEET WEB
WRC通算20勝 レジェンドドライバーのディディエ・オリオール氏がFIT-EASY Racingから「フォーラムエイト・ラリージャパン2024」に参戦します!
ラブすぽ
自動車メーカーは、なんのためにレースをするのか? 「FIA世界耐久選手権 富士6時間耐久レース」観戦記
GOETHE
ヒョンデ WRCレースカー「Hyundai i20 N Rally1 Hybrid」
MADURO ONLINE