トラックから船・電車へと荷物の積み降ろしなく運べる! 意外と知らない魔法の箱「コンテナ」とは

2024.06.10 20:00
この記事をまとめると
■トラックやトレーラーなどで運ばれる「コンテナ」
■「コンテナ」は効率的で利便性の高い物流手段だ
■「コンテナ」に関する決まりや用途について解説
途中で移動手段を変える際の手間が省ける
  トラックやトレーラーで運ばれる四角い鉄の箱。一般に「コンテナ」と呼ばれ、物品輸送には欠かせない存在だ。大きさや形状にいくつかの種類が見られるものの、それらには厳密な基準が設けられている。最大のメリットは、運送中に荷物の積み下ろしの回数が少なくて済むこと。出荷の際に荷物をコンテナに積み込めば、途中でトラックから鉄道というように移動手段を変えたとしても、コンテナごと載せ替えればよい。基本的に、到着地まで荷物の積み下ろし作業が発生しない、効率的で利便性の高い物流手段なのである。
  コンテナによる輸送は「インターモーダル輸送」といわれ、「輸送単位の荷物を組み替えることなく、異なった輸送機関(トラック・トレーラー・鉄道・船舶など)を複数組み合わせて運ぶ輸送形態のこと」と定義されている。200年ほど前に海外の鉄道会社が始めたもので、船や荷車から鉄道に荷物を積み替えるなどといったときに、少しでも手間を省こうとして考案されたものだそうだ。
  1950年ごろは、現在のフェリーのようにトラックごと船に積み込んでいた。しかし、荷室だけを分離独立させた場合に、積載効率やトラック(動力車)の利用効率が高くなるため、現在の形に落ち着いたのである。その後、海上輸送を中心にコンテナのシステムが世界中に広がるなか、1967年に国際標準化機構(ISO)が国際規格「ISO668」を制定した。
  しかし、わが国は国土の狭さや道路インフラがそれに耐え得る構造ではないと懸念されたため、長くこの規格を受け入れられずに独自の規制(たとえば、40フィートコンテナはISO668で最大重量が30トン480kgであったが、当時わが国では24トンまでとされた)を敷いていた。結果、港で荷物の積み替えが発生するなどして、コンテナ輸送のメリットを十分に生かしきれなかったのである。これが解消されたのは1995年のことだ。
新たな用途についても検討されている
  とはいえ、すべてが緩和されたわけではない。コンテナの幅は2438mm(8フィート)なので道路法・車両制限令の2.5mに抵触しないが、高さは同法にある3.8m規制をクリアできないタイプがある。ハイキューブコンテナの高さは2896mm(9フィート6インチ)なので、コンテナシャーシと(約1200 mm)合わせれば、約4100 mmになるのだ。高速道路など「高規格幹線道路(高さ指定道路)」については、4.1 mに緩和する特例措置がとられたことで通行が可能になったが、一般道路は許可をとらなければ通行できない。
  現在、国内では「JIS Z 1610」規格に沿って、コンテナの国内寸法が定められている(「ISO668」規格のみに準拠しているコンテナも使用されており、すべてが「JIS Z 1610」と連動しているわけではない)。この規格では、コンテナの長さを2991~1万2192mm (10〜40フィート)の6分類(7サイズ)と定めている。
  20フィート以上のコンテナのトラック輸送は、コンテナシャシーと呼ばれる専用のセミトレーラーを使用しなければならない(一部の鉄道コンテナを除く)。例外的に、20フィートコンテナを回送するときなどで空荷輸送をする場合は、4トン積単体構造の中型トラックを使用することができる。これは20フィートコンテナの自重が3~3.5トン程度であることもあるが、コンテナの将来性を考慮したためともいわれている。
  コンテナは基本的に輸送ツールであるが、その耐久性や汎用性などから新たな用途が模索されている。近年、増加しているのが貸倉庫で、空き地にコンテナを置くだけで簡単に事業化が可能だ。また、コンテナハウスはさまざまな利用法が試されていて、ホテル・住居・集会所・カラオケボックス・葬儀場などといったものや、災害時の仮設住宅などにも使用されている。
  コンテナには多くの制限や規制もあるが、高い将来性を秘めた「魔法の箱」といっても過言ではないだろう。

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