【クラフトビール×銭湯】日本初※スーパー銭湯が主催するイベント「京都湯上がりクラフトビール祭」開催の裏側(※自社調べ)~老朽化が進むスーパー銭湯の20年先の未来を考える~

2024.06.07 10:00
企業間でのコラボレーションが話題を生む昨今、クラフトビールと銭湯という「場」を新たな形で提案し、地元の方々だけでなく、他府県からも足を運んでもらえるような施設へと変化し、スーパー銭湯の在り方が見直されています。


京都・伏見のまちで、スーパー銭湯やフットサルコートなどの複合施設の運営を行う株式会社メゾネット(所在地:京都市中京区)は、2023年に日本で初めて開催したスーパー銭湯主催のイベント「京都湯上がりクラフトビール祭~Afterbath craftbeer~ABC祭」を企画し開催した。
(株式会社メゾネット専務取締役: 長尾 洸太朗)


西日本最大級の野外サウナイベント 「京都サウナ大作戦」や 台湾夜市をイメージした京都の夏祭り「京都おふろや夜市」、などを主催する他、農産物直売所「じねんと市場」で地産地消をテーマにした「京都パンマルシェ~地パン、地消。~」なども手掛けています。スーパー銭湯の枠組みを超えて、新たな世代に受け入れられる施設経営を目指しています。スーパー銭湯の革命を起こすべく、「スーパー銭湯にしかできないことで地域に貢献出来ることをやろう!」という思いをベースに進化しています。
そんな会社を経営する専務取締役の長尾洸太朗がプロジェクトの裏側を語ります。


スーパー銭湯がなぜ野外イベントに目を向けたのでしょうか?
長尾:コロナ禍を経て、当たり前のことが当たり前ではなくなったとき、これまでの銭湯運営からゼロベースで考え、なにが我々に出来て、なにを大切にしたいのか、取捨選択の時間だったと思います。その中で、銭湯が“世代を超えて人と人をつなぐ場所”の提供であったことに気づきました。そのような考えから、「銭湯という枠組みを外して、人と人をつなぐ場所としてなにができるのか」を考えてほしい」と、部下に伝えたのがきっかけです。


クラフトビール×銭湯が生まれたきっかけは?
長尾:自由に発想をしてくれたと思います。その頃は、オンラインで会議を行っておりましたが、部下の背景にあるホワイトボードには読めないほどの文字が並んでいました。(笑)なにが書いてあるのか私には読めませんでしたが、その中からどんな新しいものを提案してくれるのか楽しみでしたね。「湯上がりとクラフトビールをテーマにイベントを開催したい」という新しいチャレンジに、大きなチャレンジになることは想像が出来ましたが、これまでの経験からできるかできないか判断するのではなく、「やってみたら」とすぐに了承しましたね。クラフトビールを飲む場所は、銭湯のように年齢を超えて心を裸にしてくれる場所でもありますので、ご家庭や学校、職場とは違う心地よいもう一つの居場所=サード・プレイスを提供する銭湯と同じテーマで良いと思いました。元々全国の温泉地には、地ビールが存在していましたし、その地で自然に受け入れられていたものであればお客様にも受け入れてもらえるのではという想いもありました。
(牛乳ビンとラバーダック)


イベントは集客の問題がつきものですが、どのようにクリアしたのですか?
長尾:各施設のHPやSNSはあったものの、これまでの既存のお客様へのPRにとどまるので、新しいお客様へのPRが必要だろうと考えていました。ただ、弊社の施設は大半が車でご利用される立地であり、施設であることから、クラフトビールのイベントでは飲酒を伴うため、公共交通機関の利用が必須なのではないかと、最寄り駅である京都市営地下鉄を第一に考えました。そこで、京都市交通局様に直接お問い合わせをさせていただいたのがはじまりです。コロナ禍で集客を目的とするイベントはもちろん広報物がないタイミングだったこともあり、広告を快諾いただきました。また、「竹田駅」という京都市で6番目(国土交通省国土政策局・令和4年度)に利用者の多い駅であることより、より一層「竹田駅」を盛り上げていきたいという想いにも共感いただけました。自社のイベントが中吊り広告に初めて出たときは嬉しかったですね。中吊り広告を見て会話をしてくれている若いカップルなんかもお見かけしたりして、広がっていくことを実感しました。また、コラボ企画として、京都市営地下鉄に乗って、クラフトビールのお店を巡るスタンプラリーも開催させていただきました。スタンプラリーのスポットをきっかけに京都市内のご飲食店様にもお声がけをして、店頭でのイベントの告知をこころよく引き受けていただき、大変有難かったです。京都全体でイベントの告知をしていただけたおかげさまで、一回目にして2日間で4,000人、二回目は5,000人弱と多くのお客様にご来場いただくことが出来ました。ご入浴者数もイベント当日は例年の1.5倍になりましたね。
(オリジナル牛乳ビン)


どんな問題があったのでしょうか?
長尾:京都はご存知の通り神社仏閣が多く、土地も狭い。これまで商店街などでビールイベントを開催されていたことを伺っていましたが、混雑などから町の住民の皆様の理解を得るのが大変なことは分かっていましたので、自社のフットサルコート内で開催することにしました。もちろん、近隣の皆様にご案内をさせていただきましたが、コロナ禍ということもありイベントを待ち望んだ喜びの声のほうが多かったので、安心しましたね。また、ゴミの問題も大きな課題でした。自社は経営理念にロハスを掲げ、持続可能な社会づくり環境づくりに取り組んで参りました。然しながら、ビールイベントとセットで問題になるのが、プラスチックカップの大量消費です。これまで伺っていたお酒のイベントではプラスチックカップがどうしてもゴミ箱に山積みになり、ゴミの処分に困っておられる主催者の方のお声を聞いていました。そこで、“牛乳ビン”を使ったリユースの出来る形にしようと、大阪淡路にある上方ビールさんから着想を得て決定しました。想像していた以上にオリジナルデザインの牛乳ビンをお客様がSNSに投稿していただき、お土産に持ち帰っていただいたり、今ではイベントのアイコンになっています。
結果はどうでしたか?
長尾:初めてのチャレンジだったので、まずはコロナ禍に支えていただいた地元の方に還元できればと思い、赤字にならなければ問題ないと考えていました。それ以上に初めてのイベントで集客にも運営にも不安がある中、ご出店いただいたブルワリー様やご飲食店様にご納得いただけること、期待をしてご来場いただいたお客様にがっかりされないよう、細かなところまで動線や掲示物などの会場づくりはこだわりました。居心地の良い場所を提供することが私たちの役割ですから、不自然な配置や会場で迷われることのないように十分注意しましたね。例えば、飲酒を伴うイベントではトイレの混雑も予想されますから、トイレの列の向きを足跡で示したり、出店社のブースで金銭の授受があるとトラブルのもとになったりお待たせすることになるのでチケットシール制にしました。紙チケットではなくシールにすることで出店社が台紙にシールを貼り付けるだけで集計できますから、出店社やスタッフの手間も省けて良かったと思います。その後の施設の利用者は1.2倍に増え、反響をいただけたことが大きかったと思います。
どんな反響がありましたか?
長尾:まずは来場者アンケートを実施させていただいたのですが、次回の開催を望む声が98.8%と高評価いただきました。また、“最寄り駅からこんなに近かったんだ”、“思っていた以上にお風呂が綺麗だった”、と来ないと分からなかったことが伝わり、実際に利用していただけたことによって、ブランドイメージを変えられたのではと感じています。また、社内の従業員の意識も変わりました。当初は、“銭湯と関係のないイベントをするなんて”、“イベントの主催なんて本当に出来るのか?”と、クラフトビールに全く興味のないスタッフももちろんいましたからね。スタッフはみんな半信半疑でした。それからイベントを機にこれまで経験のないくらいのお客様にご来場いただけたことで、スタッフの自信につながったこととイベントの達成感から“次はこうしたい!”と意見が出るようになりました。加えて、これまでスーパー銭湯の人手不足も大きな問題として抱えていましたが、イベントのもう一つの目標として、新しいチャレンジを続ける会社なんだと実例を残すことでやる気のある若い世代の求人が出来ればと考えていました。イベント後には20~30代の応募が増え、クリエイティブな仕事を求める若い人材に入社いただくことが出来ました。


次回に向けてどのようなことを考えていますか?
長尾:反響の中には、企業様からのお問い合わせをいただくことも増えました。“イベントに出店したい、関わらせてほしい”というお声だけではなく、“イベントを企画してほしい”とか“他の場所でもイベントをやってほしい”とか、驚くほどに有難いお話をいただいております。第一声に「スーパー銭湯なんです」とお伝えすると、「イベント会社じゃないんですね!」と必ず驚かれますが・・・(笑)企業様とお話をさせいただく中で、ハード面の老朽化や人手不足、若者離れなど他の業界も抱えている問題は同じだということを改めて感じました。然しながら、少子化が進む一方でインバウンドがコロナ後に更に加速して増え続けていますし、若者離れが進む一方で推し活という若者なりの消費活動があります。銭湯や喫茶店など古きよきものをレトロという価値観を感じて後世に残したいと働く方がいるように、ないものに目を向けるのではなく、今あるものに目を向けて変化を恐れずチャレンジをすれば、問題が課題となってひとつずつクリアできるようになる気がしています。
(伏見力の湯)


スーパー銭湯の20年後とは?
長尾:1980年代半ばより登場し始め1990年代後半から2000年代前半にかけて全国で開業ラッシュとなったといわれるスーパー銭湯ですが、街中の銭湯に続き、今後、スーパー銭湯も設備の老朽化は避けて通れない問題として浮かび上がってくると思います。すでにコロナ禍で設備の改修工事の見通しが立たず、廃業してしまったスーパー銭湯もありますし、私たちも危機感を持っています。しかし、コロナ禍で失ったリアルを求める感覚は強いと感じています。だからこそ、銭湯業界だけでなく今回“クラフトビール”という全く交わらないと思われる業界ともコラボが実現し、リアルな場の提供が出来たと可能性を感じました。今回の経験から、違うジャンルであっても、共に今後20年を乗り越える同じ悩みを抱える仲間として門戸を開いていたいと思います。無茶なお話だと感じても無理だとは思わないので、今後どんなコラボが出来るのか、今からとても楽しみにしています。スーパー銭湯として、人が集い、老若男女がコミュニケーションをとり、会話が生まれ、人と人とをリアルでつなぐ場所は、今の時代だからこそ無くてはならない存在であると感じています。そんなかけがえのない場所を創り続ける会社でありたいと思います。


株式会社メゾネットについて
他ではやっていないことで付加価値をつけるユニークな経営にこだわり、何をすれば地域の皆様に喜んでいただけるのだろうかという考えを軸として、人と地球が喜ぶ経営をする会社。
【会社概要】
社名:株式会社メゾネット
本社所在地:〒604-8804 京都市中京区壬生坊城町1-1 大晋メゾネ四条大宮1F
代表取締役:長尾俊幸
事業内容 :不動産賃貸運営管理業
不動産仲介・売買業
駐車場運営管理業
IT関連事業
スーパー銭湯事業
フットサル事業
飲食事業
農産物直売事業
設立 : 1998年6月
資本金 : 1,000万円
HP :https://mezone.co.jp

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