レタスは種まきをしてから4~5日ほどで芽が出そろいます。このタイミングで行うのが、育てる株を選定する「間引き」や、足りない栄養を補う「追肥」です。ポイントを押さえた手入れをすることで、家庭でも大きなレタスが収穫できます。
「間引き」で元気な株を絞り込む
種を1つのくぼみに対して4、5粒ずつまきましたが([準備&種まき]編はこちら)、最終的には各くぼみの中で、いちばん元気な1株だけを残して育てます。これを「間引き」といい、段階をふんで弱い株を抜き、良い株だけに絞り込んでいきます。
間引きのタイミングと回数は?
間引きは全部で3回行います。1回目は双葉が出そろったとき。1カ所につき、4、5本→3本に減らします。茎がヒョロヒョロとしているものや、葉が虫に食べられているもの、葉色が薄いものなどは抜き、双葉の形が丸くてきれいな芽を残しましょう。
間引きしたものは、ベビーリーフとして食べることができます。
2回目は本葉が2、3枚になったときで、3本→2本にします。3回目は本葉が4、5枚になったときに行い、2本のうち元気な1本に絞りましょう。
間引き後には追肥を
2、3回目の間引き後には、土の中の栄養分を使い切っているため、化成肥料10gをプランター全体にパラパラとまいて、追肥しましょう。また、同時に「土寄せ(土を根元に集めること)」や「増し土(新たに土を根元に加えること)」をすることで、生長が促されます。
日ごろの手入れは?
葉のみずみずしさを保つために、たっぷりとこまめに水を与える必要があります。土の表面が乾いたら、1日1回、水がプランターの底から流れ出るくらい与えましょう。
水と一緒に栄養が流れ出るため、2週間に1度を目安に、追肥・土寄せは継続しましょう。
虫がついたときは?
虫が付くと、野菜に傷がつくだけでなく病気にかかる恐れがあるので、支柱を設置して防虫ネットを張り、虫が侵入できないように事前に対策しましょう。葉に黒いツブツブとした糞がついているのを見つけたら、虫がいるサインのため、葉の裏表と株の周りの土の中を確認します。虫を見つけたら、駆除してください。
「とう立ち」してしまったら?
夜間に蛍光灯や街灯などの光が当たると、レタスは「とう立ち(茎が伸びてしまう状態)」してしまい、元には戻りません。味、食感などは落ちますが、食べることができるので、早めに収穫して食べましょう。
種まきから60日ほどで、直径25~30cmの大きさまで育ちます。葉が10枚くらいになったら、いよいよ収穫です。収穫の際は、株ごとではなく外側の葉から順に手で摘み取るようにしましょう。これにより、中心からまた新たな葉が育ち、数回に分けて、長く収穫を楽しむことができます。
レタスを株ごと収穫するときは株元から包丁やハサミで切り離す
株ごと収穫するときは、片手で株全体を持ち、株元を包丁やハサミで切り離して収穫しましょう。
いろいろな種類を育てよう
今回紹介した方法で、サニーレタス、リーフレタスやサンチュやコスレタス、サラダ菜などさまざまな種類のレタスを栽培することができます。大きめのプランターを用意すれば、多品種のレタスをひとつのプランターで同時に育てることも可能です。多品種の場合は、ミックスレタス用として種が販売されているので、そちらを活用すると便利です。藤田 智さんプロフィール
藤田 智
恵恵泉女学園大学教授・副学長
1959年秋田県湯沢市生まれ。宮澤賢治に憧れ、岩手大学農学部に入学し、同大学院修了。向中野学園高校教員、恵泉女学園園芸短期大学助教授を経て、現職。専門は、園芸学、野菜園芸学。野菜栽培に関連する著書は160冊を超え、「NHK 趣味の園芸 やさいの時間」や日本テレビ「世界一受けたい授業」などのTVにも多数出演する。家庭菜園や市民農園の指導、普及活動を通じて、野菜づくりの楽しさを広げる取り組みを行っている。
ホームページ/藤田 智さんプロフィール
サラダに欠かせないレタスの栄養価や、相性のいい食材は?鮮度を長持ちさせる上手な保存のテクニックもご紹介します!
最終更新:2024.05.19
文:KWC
写真:谷山真一郎
監修:藤田智、カゴメ
参考文献:『ベランダですぐ始められる コンテナで野菜づくり』藤田智著(日本文芸社)
『野菜とハーブのプランター菜園』藤田智監修(ブティック社)