極端なEV普及の目標は次々と修正! それでも国産メーカーのEVラインアップを増やすべき理由

2024.05.09 11:40
この記事をまとめると
■EUやメルセデス・ベンツなどがEV推進政策の方針転換を発表している
■レクサスとホンダはそれぞれEVに関する積極的な方針をいまだに撤回していない
■適切なタイミングでEVを導入するべきだが車種のラインアップを増やすほうが先決だ
欧米諸国のメーカーは電動化戦略を早々に見直し
  EU(欧州連合)では、2035年以降、二酸化炭素を排出するエンジン搭載車の新車販売を禁止する方針だった。それが合成燃料を使うエンジン車の販売を容認する方針に変わっている。メルセデス・ベンツも、2030年以降に販売する新車は基本的に電気自動車とする目標を掲げていたが、これを取り下げた。
  メルセデス・ベンツの全車をエンジンが搭載されない電気自動車に置き換える目標は、2021年に「市場が許す限りは」という前提に基づいて発表された。フォルクスワーゲンも2030年に新車販売台数の50%を電気自動車にするとしているが、これも目標だ。
  つまり、「エンジンを廃止して電気自動車(燃料電池車を含む)のみにする」というメーカーの方針は、決定事項ではなかった。それでも各種の報道を含めた世間の受け止め方は、「エンジン、すなわち内燃機関は終焉を迎える」というものだった。
  ちなみにカルロス・ゴーンは、日産に在籍していた2017年、起業家に向けたイベントの講演で「2022年から2023年には、無人運転のロボットタクシーが実現しているだろう」と述べた。いまは2024年だが、日本において実用化されているのは運転支援機能で、無人運転のロボットタクシーはまだだいぶ先の話だ。
  このように、電気自動車や自動運転の普及には、供給メーカーの技術開発も大きな影響を与える。メーカーの垣根を超えた今後の技術進歩に頼るところが多く、行政の力の入れ方にも左右されるから、自動車メーカーのトップでも不確定な予測を立ててしまうことがある。
まずはEVのラインアップを増やしていくことが大事
  環境対応で大切なことは、二酸化炭素の排出ゼロを目標に据えた上で、そのときどきの状況に適した技術を使いながら二酸化炭素排出量を減らすことだ。たとえば水素を燃焼させれば二酸化炭素は基本的に排出されないから、「内燃機関はダメ」という否定もあり得ない。さまざまな可能性を視野に入れて「否定しないこと」は、技術を捉えるときの基本だ。
  そして、トヨタは2021年末に「2030年には電気自動車を世界で350万台販売する。この内の100万台は上級ブランドのレクサスで、北米・欧州・中国市場はすべて電気自動車とする」という目標を公表した。
  2023年度におけるトヨタの世界販売台数は、レクサスブランドを含めて約1031万台だから、2030年の目標になる350万台はいまの販売総数の3分の1だ。トヨタ車は充電の困難な地域でも販売されているから、その顧客を見捨てることはできない。トヨタは最後までエンジン車を作り続けるメーカーかもしれない。
  ホンダは2040年までにすべての新車を電気自動車と燃料電池車にする目標を掲げた。これはエンジンの廃止を意味する。クルマ好きにとって、ホンダは吹き上がりの優れた高性能エンジンに特徴のあるメーカーだ。エンジンの廃止は寂しいが、電気自動車の時代になると、モーターの回転感覚でホンダの個性を表現することも考えられる。
  そしてトヨタは1997年、ホンダも1999年からハイブリッドを開発しており、モーター駆動に対する知見も豊富だ。それなのに現時点では、電気自動車の品ぞろえが海外メーカーに比べて乏しい。
  前述のとおり、電気自動車に偏った世論は修正されつつある。今後は両社ともに、必要なときに適切なタイミングで電気自動車を投入すると思うが、そろそろラインアップを積極的に増やすべきだ。
  とくに日本は、総世帯数の約40%が集合住宅に住むため、自宅に充電設備を設置しにくい。電気自動車の普及は、複数の車両を所有する一戸建て世帯のセカンドカー需要を中心に進むから、軽自動車やコンパクトカーのサイズに抑えることが大切だ。
  日本の使用事情に合った電気自動車を求めやすい価格で投入する必要がある。

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