自然溢れる軽井沢にオープン。エコ技術で創る新感覚サウナ施設「kaveri」ができるまで

2024.04.05 10:00
「環境にやさしいサウナ」を目指す。
高断熱、エコへの情熱とこだわりの詰まったサウナ施設「kaveri」カヴェリ(フィンランド語で仲間)が軽井沢・追分エリアに2023年11月にグランドオープン。


軽井沢では珍しい日帰り専用の、本格的なフィンランドスタイルのプライベートアウトドアサウナ。個性的な3つのサウナ小屋と、それぞれに設けられた外気浴スペースと水風呂。目の前には雄大な国有林と小川のせせらぎがあり、四季折々の自然を感じながら、プライベートな空間でゆったりとした時間を過ごすことができます。


kaveriは、軽井沢にてサウナ及びサウナストーブ販売代理店事業を行う、株式会社レリバント(長野県北佐久郡、代表取締役:滝本謙一)が手がけるプロジェクト。


会社代表である滝本謙一と、取締役の福元修は、いわゆる「サラリーマン起業」。長く東京に暮らしていた両者が、コロナでリモートワークになったことを機に長野県に移住し、ハマったのが「アウトドアサウナ」でした。四季折々変わる自然の中でのサウナ体験は、五感で楽しむ究極の癒しと遊び。


この体験をより多くの方に味わってほしいとプロジェクトの構想が始まったのが2022年秋。本業を続けながらの、土地探し、資金繰り、サウナ小屋のDIYなど様々な苦労を乗り越え、2023年11月冬直前にオープン。まさに走り続けた1年。立ち上げからオープンまでを振り返ります。
長野で出会ったビジネスパートナー。サウナ愛がきっかけとなりプロジェクト始動
東京から軽井沢の隣、御代田町に移住してきた2人。家が近所だった2人は犬の散歩道で出会い友人に。


I T業界で経営や企画営業に携わってきた滝本と、エネルギーやエコ技術が専門で、木工などのモノづくりを得意とする福元。


アラフィフ世代の2人は長く経済拠点を置いていた東京ではなく、「長野県で何か新しいことに挑戦したい」と意気投合し、本業を続けながら大好きなサウナで事業を始めることにしたのが2022年秋の事でした。
福元の元同僚からフィンランドのサウナスパブランドHARVIA社の軽井沢代理店の話が持ちかけられ、「サウナ代理店事業」と「サウナ施設」の二つの柱で経営していくことになりました。


サウナは大好きでも、「サウナ施設」に関しては両者とも未知の分野だったため、まずは事業を始める上で必要な役所関係の許可申請や法律などを調べることから始まりました。サウナは日本では新しい文化のため、まだ官公庁でもガイドラインができておらず、現行のものに重ねていくことが必要でした。


また、軽井沢という土地ならではの制約もありました。
軽井沢は観光や別荘地としての歴史が長く独自の「軽井沢の自然保護のための条例」があります。計画全体の資料を相談し、幾度となく訂正を加えた後に、近隣住民の合意を得た上で、町の許可を受けなければ工事が始められない。順調に進んで、相談から許可まで2ヶ月かかるとのことでした。また、軽井沢は滞在者が増える夏期は屋外の工事ができない「休工期間」が設けられています。


二つの制約に追われながらの、土地探し、資金調達、サウナ設計。先行して始めたサウナ代理店での受注も続き、地方にサウナの施工に出かけるなど、ほぼ休日のないフル回転の日々が続きました。
感動体験を提供する理想のサウナを求めて。施設や環境へのこだわり
サウナ施設が急増する中、サウナが好きで様々なところに足を運び、通いたいと思う施設の共通点を挙げていきました。


・サウナ小屋の圧倒的なクオリティー
・ロケーション
・センターハウスの設備
・おもてなしの心。接客


“全て含めた体験”が重要であり、
「日常生活では得ることのできない感動的なアウトドアサウナ体験」ができる施設としての構想が練られていきました。また、構想の時点から女性が加わり、女性目線のハードとソフトの充実も計られました。
ご縁がありお借りできた土地は、約50年前に建てられたドライブインをリノベーションした複合施設still(株式会社haluta、代表取締役:徳武睦裕)の一部。


国道沿いでありながら、静寂さもあり、目の前は広々と広がる国有林と小川のせせらぎ。また、施設内に井戸があり、浅間山麓の地下水を存分に使うことができ、水をたくさん使用するサウナ施設にとってはこれ以上ない最高の環境でした。理想的な土地に出会い、よりサウナ小屋のコンセプトが明確になっていきました。


センターハウス用に借りることができた部屋は50年前に建てられたという建物の、長く使われていなかったエリアで、初めて行った時にはコウモリが住んでいた・・・というほど荒れており後々雨漏りや浸水に悩まされることになりましたが現在は綺麗にリフォームされています。
DIY、リフォームで困難続きの不安な日々。無事にオープンに至るまで
福元はD I Yが盛んなアメリカで育った経験から、長野に移住以降、自宅の増築やリフォーム、車庫建設など様々な経験を積んできました。資金面からサウナ小屋とデッキをD I Yで作ることになりましたが、重機や大きなトラックもなく、本業を抱えながらの工事は難航を極めました。


同時進行で行われていたセンターハウスのリフォーム工事中(業者に依頼)、集中豪雨による浸水と雨漏りを繰り返しており、長年使われていなかった建物ならではの問題が次々に露出してきました。根本的な解決の為に、例えば出入り口付近に大規模なトレンチや雨水浸透マスを設置するなど当初計画していなかった追加工事もどんどんかさみ、その度に工期が遅れ、オープン日が確定出来ない日々が続きました。


D I Yのサウナ小屋と、センターハウスのリフォームの終わりが見えてきたのが、2023年11月初旬で、消防署と保健所による許可を受け、無事にオープンできたのが11月18日。軽井沢シーズンオフ間際でした。ほぼ2ヶ月半の週末でサウナ小屋を作り上げたことになります。
新技術で実現した「環境にやさしい」持続可能なサウナ体験
伝統的なサウナ小屋に多いログハウスにこだわらず、もっと新しい技術を使った、ここにしかないサウナ小屋を模索していた福元。


まず、福元の専門である「熱効率・エコエネルギー」の考え方を導入し、サウナ小屋全体を断熱し、保温することで、まるで“保温ポットのような”、薪=エネルギーを大量に消費し続けなくてもずっと暖かい、「自然に優しい」快適で新しいサウナができると考えました。ストーブの熱だけではなく、サウナ小屋全体が温まり、室内全方位から「輻射熱」を発生させること。サウナストーブの熱がどこに滞留して流れるか、という「サウナの熱の流れを読む」ことが重要だと仮説しました。


辿り着いたのは、ピザ窯から着想を得た「ドーム型」と、学生時代に焼き物に取り組んだ経験から「登り窯風」という独特な形状でした。入口はできる限り低く小さく、天井も最低限を確保しつつ低く設計するなど、熱をできる限り逃さない構造が計画されました。


狙い通り、ドーム型「käpy」(カピュ)はストーブから上がった熱波がドーム型の天井に溜まった後に静かに舞い降りてくる新感覚のサウナに。
また、登り窯風「valko」(ヴァルコ)は傾斜のある低めの天井を駆け上がる熱波を浴びられる、という特徴的なサウナに仕上がりました。


また、保温効果が高く、真冬は−10度も珍しくない軽井沢の厳冬期にあっても、夜の営業を終えて次の日に来ても、サウナ室内は20度前後であることも多く、時間と薪の節約に効果があることを実感しています。


D I Yをする上で、一番苦労したのは、ドーム型「käpy」(カピュ)。
ドームは正三角形と二等辺三角形を多数組み合わせた作りになっており、キットではないのでパーツを全てカットするところから始まりました。組み立て、断熱材詰め、外壁貼りなども三角形それぞれに必要なため工程が多く、多大な時間を要しましたが、唯一無二のサウナとしてカヴェリの看板サウナになっています。
「究極のエコ建材」を使用した自然と調和するサウナ空間が完成
「käpy」(カピュ)の外壁、「valko」(ヴァルコ)の内装材、デッキに使用しているウェスタンレッドシダーは、高級木材として広く知られる存在ですが、「究極のエコ建材」という一面もあります。ウェスタンレッドシダーは北米原産の木で、ネイティブアメリカンがトーテムポールに使うなど「生命の木」として、耐久性が高い建材です。


100年ほど前に深刻な森林破壊が問題となって以降、カナダ・ブリティッシュコロンビア州の国立機関により森林が完全に管理され、1本伐採すると3本の植林をする決まりになっています。


そのウェスタンレッドシダーのB級材、通常の現場では使いづらく規格外となって倉庫に眠っていたデッドストック材を譲っていただくことができ、エコでありながらクラフト感のある空間を作り上げることができました。
「火のあるところに人の輪ができる」。薪ストーブにより生まれる出会いとコミュニケーション
サウナストーブは、計画の当初より「薪ストーブ」一択で迷いはありませんでした。
薪ストーブは管理が難しく、常に薪の燃え具合を管理し、お客様の好みに合わせた温度や湿度を保つためのノウハウが必要となります。掃除や薪運びも必要です。


薪は広葉樹と針葉樹とあり、その燃え方の違いにより温度を調節したり、広葉樹にも種類があるので、燃やした時にいい香りがするものだけを営業中に燃やすなど、カヴェリ独自のルールで運用しています。


薪の調達は樹木が豊富な軽井沢であっても容易ではなく、2−3mの原木を購入してからチェンソーで玉切り、薪割りをして、その後1−2年は乾燥させてやっと使用できる、という手間と場所のかかるものです。


それでもやはり薪ストーブにこだわったのはその圧倒的な柔らかい輻射熱の暖かさ。ストーブの窓から見える炎のゆらめきや、薪の香りも全てが、アウトドアサウナの真髄であり、ここでしか出来ない醍醐味であると考えています。滝本も福元も自宅に薪ストーブがあり、「火のある暮らし」がいかに豊かであるか実感していた事も大きかったと思います。


懸念であったのは、薪の管理のために貸切のサウナにスタッフが定期的入るという点でした。「プライベート感」を求めるお客様にとっては煩わしさがあるのでは?と心配でしたが実際に運営を始めてみると、薪の管理だけでなく、ロウリュやアウフグースをしながらお客様とコミュニケーションを取る「おもてなし」の時間になっていき、S N Sや口コミでも「スタッフさんとのコミュニケーションが楽しかった」など、お声をいただいていることは大変嬉しいことです。


店名のkaveri カヴェリ(フィンランド語で仲間)に込められた想いどおり、ストーブの周りでたくさんの出会いがあり、コミュニケーションの場になっていることをとても嬉しく思います。
画期的な水冷システムで快適な「ととのう」体験と環境への配慮。
いわゆる「ととのう」為には、サウナの水風呂の温度がキーポイントとなってきます。
特に外気温が高い夏場、水温が上がってしまうと、熱った体をクールダウンすることができず、「ととのい」とは程遠いサウナ体験となってしまいます。一番良いのは、天然の川や湖がサウナの近くにあるという環境ですが、そういった条件が整う施設は多くはありません。


そこで使用されるのが「チラー」と呼ばれる水を冷やす設備です。空気を熱源にして水を冷やすチラーが一般的ですが、カヴェリは水を熱源にするという新しい技術を採用しています。それはもともと温度が安定している地下水を使用できるからであり、空気を使うよりも電気の消費量が減り、Co2削減に期待できるエコなチラーです。
非日常の体験と、日常の豊かな暮らしを両立する。プロジェクトの今後
「非日常のサウナ体験」を提供するkaveriの運営を軌道に乗せると同時に、
「サウナが日常にある、豊かな暮らし」を広めるプロジェクトも動き始めています。


地元の木材製造企業様と協力して、家庭用の「環境にやさしいサウナ小屋」の開発を進めています。戦後植林されたカラマツをはじめとする人工林は、過疎化や少子高齢化が進み、林業の担い手が減少するなか、適切に管理していくことの難しさが問題となっています。


「森林の高齢化」が進めば、地滑りなどの環境破壊や生態系の多様性の損失にもつながります。そこで重要となってくるのが「間伐材の積極的な利用」です。信州の間伐カラマツ材をふんだんに使った「環境にやさしいサウナ小屋」の完成をぜひお待ちください。












private outdoor sauna kaveri
プライベートアウトドアサウナ カヴェリ


長野県北佐久郡軽井沢町追分1372-6 still 内
しなの鉄道「信濃追分」「御代田」からタクシーで5分


WEB  
予約 
電話 050-3574-6600

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