大阪・関西万博にブロンズパートナーとして環境配慮型コンクリートドーム「CUCO(R)-SUICOMドーム」を建設

2024.03.13 10:30
鹿島
 鹿島(社長:天野裕正)は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博、以下「万博」)に、大阪・関西万博 未来社会ショーケース「グリーン万博※1 ・キッズエクスペリエンス」ブロンズパートナーとして協賛します。協賛内容は、万博会場内の西ゲート広場付近における環境配慮型コンクリートドーム「CUCO-SUICOMドーム(建物の名称※2)」(クーコスイコムドーム)の建設です。
 CUCO-SUICOMドームの建設工事にあたっては、万博のコンセプト「People’s Living Lab(未来社会の実験場)」を踏まえ、2つの技術を採用します。1つは、当社が開発した短工期、低コストを実現する「KTドーム(R)」技術で、2つめは、当社らが開発した製造時に排出されるCO2を大幅に低減する環境配慮型コンクリートです。


 当社はこのたび、技術研究所(東京都調布市)の隣接敷地において、CUCO-SUICOMドームの試験施工を完了し、世界初となる環境配慮型コンクリートドーム建設の施工法を確立しました。環境配慮型コンクリートには、当社らが開発した低炭素型コンクリート「ECMコンクリート(R)」と、CO2を吸収・固定して固まるカーボンネガティブコンクリート「CUCO-SUICOMショット」を採用しました。これにより、従来のコンクリートと比べて、「CUCO-SUICOMショット」で107%、「ECMコンクリート」で60%、合計70%のCO2を削減できたことを確認しました。この結果を踏まえて、当社は本年4月から、万博会場内でのCUCO-SUICOMドームの建設工事に着手します。
 鹿島は、万博が目指す「持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献の実現」に寄与すべく、積極的に参画してまいります。
※1 水素、再生可能エネルギー、CO2回収・利用などカーボンニュートラルを体現する万博を実現する取組み
※2 CUCO-SUICOMドームは建物の名称であり、この建物を活用した事業の名称は別途決定される予定
CUCO-SUICOMドーム(イメージパース)
協賛の背景


 地球規模での温暖化が進行するなか、その原因となっている温室効果ガスの発生抑制および削減は全世界共通の喫緊の課題です。このうち、建設業に関わるCO2排出量は全産業の約4割を占めており、この抑制に向けて建設業各社が技術開発や非化石燃料の使用といった対応を進めています。当社においても、日本政府が掲げる2050カーボンニュートラルの実現に向け、CO2削減に寄与する技術の開発および普及、展開を進めています。
 万博では、「People’s Living Lab(未来社会の実験場)」というコンセプトのもと、未来社会ショーケース事業として、企業等の様々な技術・アイデア展示といった多様な参加形態が可能となっています。そこで当社は、CO2を吸収・固定化するカーボンネガティブコンクリートをはじめとする、地球環境の課題解決につながる当社の技術を世界中の方々に知っていただくことを目的として、万博会場にCUCO-SUICOMドームを建設、出展することとしました。

採用技術


 CUCO-SUICOMドームの躯体は、当社が開発したKTドーム技術で構築します。KTドームは、国内の工場で製作したドーム型のポリ塩化ビニル(PVC)膜に空気を送り込んで膨らませ、これを型枠として内側に配筋を行い、コンクリートを吹き付けることで躯体を構築していきます。そのため、施工中に天候の影響を受けにくく、安定した環境の下、スピーディーで低コストな施工を実現します。これまでに、自社施設(神奈川県小田原市)と株式会社トクヤマ(社長:横田浩)の原料用大型サイロ(山口県周南市)の2件の施工実績があります。
KTドーム施工実績(左:自社施設、右:トクヤマの原料用大型サイロ)
 今回、CUCO-SUICOMドームの躯体には、当社らが開発した低炭素型コンクリート「ECMコンクリート」とCO2を吸収・固定して固まるカーボンネガティブコンクリート「CUCO-SUICOMショット」を、万博会場のEXPOアリーナの歩道ブロックには「CUCO-SUICOMブロック」を採用します。
 「ECMコンクリート」は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)プロジェクトにおいて、1大学7社で共同開発した低炭素型コンクリートです。普通セメントの代わりに高炉スラグ微粉末を60~70%使用することで、一般的なコンクリートに比べ製造時に排出されるCO2を60%程度低減します。このECMコンクリートをCUCO-SUICOMドームの躯体の主要箇所に用います。
 「CUCO-SUICOMショット」と「CUCO-SUICOMブロック」は、当社らが開発した、コンクリートにCO2を固定する技術「CO2-SUICOM(R)」(シーオーツースイコム)を基に、CO2排出量のさらなる削減を可能にしたカーボンネガティブコンクリートです。当社がデンカ(社長:今井俊夫)、竹中工務店(社長:佐々木正人)とともに幹事会社を務めるNEDO「グリーンイノベーション基金事業/CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」を実施するコンソーシアムCUCO(クーコ)において共同開発しました。今回はCUCO-SUICOMショットをCUCO-SUICOMドームの躯体の一部(内側のかぶり部分、厚さ33mm)に、CUCO-SUICOMブロックを万博会場のEXPOアリーナの歩道ブロックに用います。
ドーム躯体への低炭素型コンクリートを採用 (ドーム壁面断面図)
CUCO-SUICOMブロックと採用エリア(EXPOアリーナ)
施工試験の概要


 万博会場内での施工に先立ち、2023年7月から2024年2月まで、当社技術研究所の隣接敷地において、万博で建設するCUCO-SUICOMドームと同規模のドームを試験施工しました。
 ECMコンクリートとCUCO-SUICOMショットの吹付けにおいては、鹿島が保有する知見とノウハウにより材料と調合を工夫しました。また、CUCO-SUICOMショットはその製造過程においてCO2を吸収して固まるため、吹付後にドームを密閉し、ドーム内部にCO2を充満させた状態で一定期間、炭酸化養生※3を行いました。
※3 高濃度のCO2環境でコンクリートを養生し、CO2を安定的に吸収・固定させる方法
試験施工の様子
 試験施工の結果、環境配慮型コンクリートの採用により、従来のコンクリートと比較して、同等の施工性や躯体強度を確保しつつ、CO2排出量は約70%削減できたことを確認しました。
環境配慮型コンクリートの採用による材料由来のCO2排出量削減効果
今後の展開


 鹿島は今後も、万博が目指す「持続可能な開発目標(SDGs)達成」、ならびに「2050年カーボンニュートラル」社会の実現に貢献すべく、さらなる技術開発を進めてまいります。

CUCO-SUICOMドームの概要


名称  : CUCO-SUICOMドーム
場所  : 大阪・関西万博 会場内西ゲート広場付近
設計者 : 鹿島
施工者 : 鹿島
建物用途: 未定   
敷地面積: 573.03m2           
延床面積: 263.99m2            
規模  : 地上1階、建物高さ5.45m、直径23m×18m
構造  : RC造
工期  : 2024年4月~2024年11月
(参考)
エネルギー消費とCO2排出を6割以上削減できるECMセメントを開発
(2014年8月5日プレスリリース)
「KTドーム(R)」工法を実工事に適用(2021年12月23日プレスリリース)
NEDOグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」に
コンソーシアムとして提案し採択(2022年1月28日プレスリリース)

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