冬の札幌 あったかさを求めて 冬だからこその美味 寒さゆえの魅力サッポロビール園／札幌市資料館／北菓楼 札幌本館／Cafe&Bar ROGA

ビヤホール気分で乾杯!
サッポロビール園レンガ建築の棟に掲げられた五稜星は、いわずと知れたあのビールの印だ。絶大な人気を誇るサッポロビール園。札幌に来たらここも外せない。
サッポロビールは明治９年に開業した開拓使麦酒醸造所をルーツとする。レンガ造りの建物は明治23年の建築で、工場としての役割を終えて昭和41年にビール園として蘇った。以来半世紀以上。平成22年には延べ来園者数３千万人をクリアした。
ジンギスカンに加え、人気の秘密は工場直送の生ビール。毎朝タンクで届くそうで、早速ぐいーっとやったサッポロ生ビール黒ラベル〈樽生〉はあと味軽く、苦み爽やか。もう１杯は北海道限定サッポロクラシック〈樽生〉か、ここでしか飲めないサッポロファイブスターか、それとも両方？
風情あるレンガの壁、大屋根を鉄骨の梁が支える大空間、一隅には仕込み釜が据えられて、雰囲気も素晴らしい。パフェ同様に冬だって、いや冬だからこそビールがうまい！そう実感する。

サッポロビール園園内のレストランは５つ。北海道遺産に登録された赤レンガ建築が園内にはふたつあるが、ビヤホールの雰囲気に浸りたいなら２・３階吹き抜けのケッセルホール（写真）へ。中ジョッキは820㎖と大きめで、瞬時に注ぐ熟練のスタッフの技も見ものだ。敷地内にはサッポロビール博物館もある。
住所：札幌市東区北7条東9-2-10
TEL：0120-150-550

知る人ぞ知る名建築
札幌市資料館ビール園や北海道大学といった有名どころだけではなく、札幌にはレンガや郊外で産出する「札幌軟石」を使った古い建築が点在している。
これがなかなかに趣深い。
地味だが細部に大正モダニズムが香る「札幌市資料館（旧控訴院）」。

札幌市資料館大正15年に控訴院（裁判所）として建てられた。当時としては新しい建築手法を用いて札幌軟石でつくられた貴重な建物で、国の登録有形文化財。内部には往時の姿を復元した刑事法廷展示室や札幌出身のイラストレーター、おおば比呂司記念室もある。
住所：札幌市中央区大通西13
TEL：011-251-0731

新旧が調和する店内でお土産選び
北菓楼 札幌本館大正15年建築の建物に世界的建築家、安藤忠雄が手を加えた「北菓楼 札幌本館」は新旧が調和する空間の妙を味わいつつ、土産に北菓楼自慢の菓子も買える。

北菓楼 札幌本館大正15年に札幌初の道立図書館として建てられた 建物を現代に蘇らせた店内に、北菓楼のスイーツが勢揃い。道産のもち米と海鮮でつくった、看板商品「北海道開拓おかき」などお土産にも好適な品がいろいろ。２階には気持ちのいいカフェもある。
住所：札幌市中央区北1条西5-1-2
TEL：0800-500-0318

レトロな空間でひと休み
Cafe&Bar ROGA築110余年、軟石造の蔵を利用した小さな店を、札幌駅近くに見つけた。
「Cafe&Bar ROGA」。
元はカメラ店の倉庫で「東洋カメラハウス太田」の表示がいまも残る。店内にはストーブにあかあかと火が燃えて、コーヒーのいい香りが漂う。
「実家の蔵を未来に残したくて店を始めました。人と人のつながりを育む場にしたいと思っています」
店主の太田晃資さんはいう。「ROGA」とは青年海外協力隊員として２年を過ごしたパラグアイの言葉。「家」という意味で、なるほど家の居間のような、あたたかな雰囲気に満ちる。
名残惜しいが、札幌ならではのお土産も探したい。そう思ってROGAを出た。どれほどの温度差なのだろう、寒さが頬をびりびりと刺激して、一気に頭も体もシャキッとする。
この厳しい寒さも、札幌の魅力。
「旅人の勝手なもの言い」と、札幌っ子には苦笑いされるかもしれないけれど——。

Cafe&Bar ROGA昔の戸棚やレジなどが置かれ、木のぬくもりに包まれた空間が心地いい。メニューはドリンクやスイーツ、名物のカレーをはじめとする軽食、夜は酒やつまみも、とバラエティ豊か。50本ほどの外国のスプーンは最初は店主が蒐集したが、いまではお客さんが土産に持ってきてくれるという。
住所：札幌市北区北7条西5-5
TEL：011-299-7559

※この記事は「COMFORTS」2018年2・3月の転載です。


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