FFのみ! ガソリンのみ! そして安い! ホンダWR-Vはありそうでなかった「潔い」SUVだった

2024.02.15 13:00
この記事をまとめると
■2024年3月にホンダWR-Vが発売される
■WR-Vは、ホンダSUVラインアップで手薄だった200万〜250万円という価格帯で投入される
■ボディサイズがほぼ同じとなるヴェゼルや少し車格が上となるZR-Vと改めて比較
性格の異なるSUVを3モデル用意することとなるホンダ
  ホンダは、2024年3月に新型SUVの「WR-V」を発売する。いまやSUVカテゴリーの人気は世界的なトレンドであるし、とくに本格的な悪路走破性よりも一般的な市街地での利用を前提とした「都市型SUV」は、幅広い年代から支持を集めている。
  だからホンダが日本国内市場のSUVラインアップを強化すること自体は自然な流れといえるけれど、驚くべきは「WR-V」が、同門のヴェゼルとほぼ同じボディサイズを持つモデルという点だ。さらに都市型SUVというカテゴリーでいえば、車格が少し上になるもののZR-Vも存在している。
  WR-Vとヴェゼル、ZR-Vのボディサイズは似通っているものの、搭載されるパワートレインや駆動方式、車両価格帯は3車種でそれぞれ異なる。ただ、新車の納期が非常に長くなっている昨今「すぐにでも乗りたい!」と、程度のよい認定中古車も選択肢に含めて検討するというケースもあるだろう。
  そうなると、WR-Vとヴェゼルはもちろん、ZR-Vまでも実質的な価格差はぐっと縮まることになる。ラインアップが充実するのはユーザーとしてうれしい悩みではあるものの、同じホンダ車でシェアの奪い合いになってしまうんじゃないの? と心配にもなってくる。
  実際に3台を比較検討している人も少なくないと思われるので、あらためてWR-Vというクルマの性格や、ホンダが日本国内市場へ投入する理由について考えてみたい。
  まず、WR-Vの生い立ちから紹介すると、ホンダがアジア圏で販売する小型SUVだ。ホンダでは商圏、つまり販売エリアの近くで車両開発を行うことが基本的な体制となっており、WR-Vもタイ国内の「ホンダR&Dアジアパシフィック」にて車両開発が行われた。同施設はホンダのアジア地区最大の四輪開発拠点であり、アジア地域で販売されているブリオやBR-V、アメイズといった小型車種がこちらで開発されている。
  一方、WR-Vの生産は、インドのラジャスタン州タプカラの工場にて行われており、インド国内では「エレベイト」という車名で2023年7月より発売されている。日本国内で販売されるWR-Vも、このインド工場で生産されて輸入されるが、これまでインド国内専用車種であったエレベイトが、海外市場へ輸出されるのは初めてのこと。
  また、ホンダがインド工場で生産された車両を日本市場へ輸入・導入することも、WR-Vが初めてとなる。
  WR-Vのボディサイズは全長4325×全幅1790×全高1650mmで、ヴェゼルと比較すると全長と全幅はほぼ同じ。全高はWR-Vのほうが60〜70mm高く、当然ながら室内高もWR-Vのほうに軍配が上がる。
  そして、ホイールベースはヴェゼルの2610mmに対してWR-Vは2650mmとなっている。その延長分のほとんどは後席の足もと空間拡大に使用されているため、どちらも2列シート5人定員ではあるが、リヤシートの居住性やラゲッジルームの大きさについてはWR-Vが明らかに優位だ。
装備と機能を絞って居住性とプライスに全振りしたWR-V
  WR-Vのもうひとつ特徴はシンプルな車体構成にある。パワートレインは1.5リッター4気筒のガソリンエンジンのみで、ハイブリッド(e:HEV)車は設定されない。そして、WR-Vが搭載するL15Z型1.5リッター4気筒は、ヴェゼルのGグレードが搭載するユニットと同じ。最高出力は118馬力/6600rpm、最大トルクは14.5kg-m/4300rpmというスペックも同一となっている。
  両車で異なるのは燃費(WLTCモード)で、WR-VのZおよびZ+が16.2km/Lであるのに対し、ヴェゼルGは17.0km/Lを誇る。WR-Vの燃費性能がやや物足りないのは、アイドリングストップ機構をはじめとした電子制御技術の採用が控えめだからだろう。
  また、駆動方式についてもWR-Vは明解だ。ヴェゼルにはFFと4WDの両方が用意されているのに対し、いかにもSUVらしいフォルムを持つWR-VはFFのみの設定となる。悪路走破性の高さをウリにする本格SUVではなく、SUV「風」のフォルムを持ち、多くの乗員や荷物を運ぶことを重視したピープルムーバー。そんな割り切りがWR-Vの特徴なのだ。
  日本国内市場における1.5〜2リッタークラスのSUVとして、ホンダはヴェゼルやZR-Vをすでに設定している。ハイブリッド(e:HEV)や4WD車がお望みの方はそちらをどうぞ、という姿勢は明らかだ。WR-VはホンダのSUVラインアップにおいて末弟に位置するモデルとして、それらよりも実用性や居住性、身近な車両価格を重視している。
  WR-Vに用意されている3グレードのうちもっともシンプルなXは209万8800円。真ん中のZが234万9600円で、もっとも上級なモデルであるZ+でも248万9300円だ。一方、ヴェゼルのボトムラインを担うGの車両価格は239万9100円(FF)で、WR-VのXとは約30万円の価格差がある。
  もっとも、ヴェゼルの販売実績においてガソリン車の比率はごくわずかで、数%に留まるという。販売の中心はハイブリッドシステムを搭載するe:HEV車で、車両価格帯は277万8600円からとなっている。
  つまり、ホンダにとって200〜250万円という価格帯のSUVは、ヴェゼルGが用意されているとはいえ事実上空白に近かった。それは市場のニーズがないからなのか、あるいは魅力的な製品がないから売れないのか。ホンダは後者と考えた結果、WR-Vを投入する。
  WR-Vの車名は、「Winsome Runabout Vehicle」の頭文字を組み合わせたもの。Winsomeとは「魅力的な」とか「愛嬌のある」という意味であり、つまりWR-Vはユーザーにとって親しみやすい、身近な存在のSUVであるということだ。そしてシンプルな外観と広大な室内を持つWR-Vは、若年層を中心にカスタムベースとしても人気となりそうだ。

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