DMMが本気でweb3に取り組む。Seamoon Protocolが提供するデジタル空間での新たなエンタメ【前編】

2024.02.13 12:48
DMMグループのweb3事業に特化したDM2C Studioは2023年12月20日に、自社のweb3事業のグローバル展開を見据え3.4億円の資金調達実施を発表。同時に「Seamoon Protocol」のホワイトペーパーを公開しました。海外トップティアのVC(ベンチャーキャピタル)からの大規模な資金調達に成功したことが話題となり、web3の新境地を切り開く準備が着々と進んでいます。


DMMグループが日本市場で築き上げてきた強みを活かし、web3領域でどんな革命を起こすのか。


前編では、代表取締役(CEO)の加嵜長門にSeamoon Protocolの魅力を聞きました。
<DM2C Studio CEO 加嵜 長門>
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科修士課程修了後、2014年にDMM.comに入社。ビッグデータ活用基盤の構築に携わり、分散処理技術やブロックチェーン技術の研究開発、事業提案などを担当。2022年からweb3事業の技術責任者を務め、2023年からweb3事業の事業責任者を務める。
4000万人を超える既存の会員基盤を活かし、web3領域へ挑戦
ー 日本で最大級のユーザーベースを持つDMMがweb3領域に参入し、エンタメプロトコルを始められるということで、多くの方が期待を寄せています。
web3への期待感と課題を教えてください。
加嵜:今のweb2領域には、課金したのにサービスが終了したらアクセスできなくなってしまった、購入した電子書籍やゲームがダウンロードできなくなってしまったなどの課題があり、紙の書籍やアナログのゲームに回帰するという動きがあります。


そこで我々が今web3で注目しているのが、コンテンツの永続性・不変性という特性です。web3の技術を使うと、web2のようにデジタルの利便性は享受しつつ、アナログメディアのように、ずっと手元に置いておける、友達同士で貸し借りすることも可能な新しいメディアができます。これは様々なサービスに使えるのではと思っています。


このようなアイデアを実現するために解決すべき課題はいくつかありますが、その多くは2つに大別されると思っています。1つは、実用化に至るまでの技術的な課題。そしてもう1つは、「そもそもweb3とは」という思想の対立や認識のズレから起こる課題です。


我々はそれらの課題を正しく整理した上で1つずつ乗り越えていくことが必要ですが、特に技術的な課題への対策はかなり進んできていると考えています。


ー なぜDMMが今、web3領域に取り組むのかについてお聞かせください。


加嵜: DMMはweb3やブロックチェーンに以前から興味を持っていました。実は、私が2014年に入社したときから社内でビットコインの勉強会が開かれていましたし、過去にはマイニング事業やNFT事業を行っていました。現在はグループ会社として取引所サービスも展開しています。


その中で現在我々は、独自の暗号資産を発行して経済圏を作るというコンセプトで進めています。 web3が社会に与えるインパクトが無視できないほど大きくなってきたため、今がその取り組みに最適なタイミングだと感じています。DMMとしても「この領域を見逃すわけにはいかない」という危機感があるんです。


ー web3領域で、DMMだからこそ発揮できる技術やアセットの強みは何でしょうか?


加嵜: DMMが様々な事業を展開してきた中で蓄積されたノウハウや、4000万人を超える既存の会員基盤を活かすことができると思っています。特にPCブラウザのオンラインゲーム領域で一定の地位を築いてきたので、その実績が大きな強みになります。ブロックチェーンゲームは、主にブラウザでアクセスするタイプが多いので、特にその親和性を活かせる領域だと考えています。
Seamoon Protocolでユーザー同士の共感や交流を通じて、新しいコンテンツを生み出すような循環を
ー 2023年に発表された新しいweb3エンタメプロジェクト「Seamoon Protocol」。クラゲが変化をしながら生き延び続ける姿になぞらえて「Sea(海)moon(月)」と名づけられたと伺っていますが、この「持続性」はデジタルエンターテインメント市場でどのような意味を持つのでしょうか?


加嵜: エンタメ×持続性という観点から、ユーザーがコンテンツを単に消費するだけでなく、共感や交流を通じて新しいコンテンツを次々に生み出すような「創作の循環」を創り出せればと考えています。


現在のエンタメ消費も、コンテンツそのものを見るというよりは、人と体験をシェアしたり感想を言い合うことがメインになっています。


web3技術を用いた新しいエンタメ体験を通して、この傾向をさらに加速させ、メディアの変化やユーザーの欲求の変化に即したサービスを展開していきます。
ー Seamoon Protocolは、「誰もが主人公になれる世界」というビジョンを掲げているとお伺いしました。これは具体的にどのような世界観を描いているのでしょうか。


加嵜:今までのweb2の環境下では、何かのコンテンツに触れて、ファンになって、その感想をSNS上でシェアする、というのが一般的でした。そこでコミュニティを見つけ、ファンアートを描いたりして、SNS上で評価を得る。その中でごく一部の人が収益化に成功するというのは、よくある流れです。


しかし、そこに既存の通貨が絡んでしまうと、コミュニティ内での関係構築が難しくなるかもしれない。そこで、法定通貨以外の独自トークンや、ファンコミュニティとしてのNFTを挟んであげることでクリエイティブな活動から収益を得つつ、ファンとしてのコミュニティも維持できるのではと思っています。好きで繋がるファンコミュニティの存在や、自己発信の楽しさからアイデンティティが強化されていく。そういった好循環の場をSeamoon Protocolで提供することで、web2の環境ではなかった角度で個々人の欲求を満たし、誰もが主人公になれる世界を実現したいと考えています。
Seamoon Protocolを通じて、web3ネイティブではないユーザーにweb3の可能性を体感してもらう場を提供する
ー それでは、改めてSeamoon Protocolとは何かを伺っていきます。
簡単に、どのようなものなのか教えて下さい。


加嵜: Seamoon Protocolは、独自トークンを中心に据えたデジタル経済圏の構想です。特徴としては、自社トークンのみならず円やドルなどの通貨や、ポイントやゲーム内通貨といったものを使い分けつつ、独自のトークン経済圏を拡大していくことを大きな挑戦として掲げています。


ー Seamoon Protocol の全体像を教えてください。


加嵜: まず、Seamoon Protocolは4つのレイヤーで構成されています。
1.Economics(エコノミクス):独自通貨DM2Pを主体とした経済システム
2.Platform(プラットフォーム):ユーザー体験、開発体験の向上のための機能群
3.Intelligence(インテリジェンス):事業支援・セキュリティ強化のための情報収集・分析機能群
4.Applications(アプリケーション): ユーザーとの接点になる、それぞれのエンタメコンテンツ
まず基盤となるのがエコノミクスです。ここでは貨幣・金融と暗号資産の歴史を踏まえた普遍的なトークンエコノミクスの設計を目指しています。


一方、トップにあるアプリケーションはより流動的で、技術やトレンドの変化に対応しやすい可変的な設計になっています。


プラットフォームではウォレットやブロックチェーン、ノードなどの有用機能を提供し、アプリケーションを開発する第三者の事業者さんがweb3に簡単に参入できるようサポートします。


また、データ分析やセキュリティに関するインテリジェンスも、これらを別のモジュールとして組み込むことで事業者が柔軟に組み合わせて使用できるような設計になっています。


ー Seamoon Protocolと他のweb3プロジェクトとの違いは何でしょうか?


加嵜: Seamoon Protocol のオリジナリティは、独自トークンによる持続可能な経済圏の構築にあります。さらに強みとして、DMMのブランド力や資本、既存のユーザ―アセットを活用し、アプリケーションの成長を促すことができる点があります。


このオリジナリティと強みを活かし、web2ユーザーも楽しめるような様々なweb3のエンタメコンテンツを提供していければと考えています。


ー DMMグループ内の他の既存事業や、ゲーム以外のIPコンテンツのコラボレーションも展開されますよね。


加嵜 :そうですね。現段階ではゲーム事業にフォーカスして準備を進めておりますが、グループ内の既存事業であるアニメ、漫画、電子書籍などエンタメ領域だけでなく、教育やファイナンスサービス、地方創生など、幅広いサービスとのコラボレーションが考えられます。またゲームにおいては、DMMグループ外のサードパーティーのゲームタイトルとのコラボも積極的に誘致していく予定です。


ー アプリケーション以外に注力している部分は、他にも現在あるのでしょうか。


加嵜 :プラットフォームの機能強化に焦点を当てています。DMMアカウントからログインすれば簡単にウォレットを作成できるようなアカウント連携や、サービスポイント経済圏との連携も見据えており、親和性の高い別の事業部とアイデアベースで企画も練っています。


公開中のホワイトペーパーの見どころとは?
ー 2023年12月にSeamoon Protocolのホワイトペーパーが公開されました。どのような内容が記載されていますか?


加嵜:ホワイトペーパーには、web3の期待される側面と課題、DMMがweb3領域にチャレンジする意義、そしてSeamoon Protocolの概要が記載されています。今後も継続的にバージョンアップを行い、より詳細な情報を提供していく予定です。


▼Seamoon Protocolのホワイトペーパーはこちら
ー ホワイトペーパーの内容の中で、特にユーザーに伝えたいポイントはありますか?


加嵜:現在の初版ではSeamoon Protocolが何か、そしてデジタル経済圏構想が具体的に何を指すのかを明確に伝えたいと考えています。トークンエコノミクスはその中核を成す部分であり、この点を最も強調したいですね。


ー 基軸トークンであるDM2Pは、どのようなユーティリティ(用途)を持っているのでしょうか?


加嵜:DM2Pは、将来的には通貨として幅広く使用されるのが理想です。経済圏を成長させるためには、マイルドなインフレとともに基軸通貨の価値が少しずつ下がっていくことが望ましいはずです。しかし、一般的な暗号資産はトークンの価値を上げ続けることが目的となっていて、この点で矛盾が生じています。


そこで、初期段階ではトークンのコモディティ的な側面を強調し、価値保存の側面を重視しています。例えば、ゲームをプレイすることでトークンが獲得でき、それを使ってNFTなどを得られるようなユーティリティを提供していきます。


また消費ポイントとしてゲームの開発者・パブリッシャー向けのプラットフォーム手数料などもDM2Pで支払うことができるようにして、価値の源泉にしようとしています。


ー トークンのゲーム内利用やレンディング(貸付)に関して、より詳しく教えていただけますか?


加嵜: ソーシャルゲームでサブスクリプション形式の課金を行うような場合と同様に、ゲーム内で有利になるアイテムの提供を、トークンを持っているユーザーに対してエアドロップにより無料配布することを考えています。これにより、単にゲームに課金していた場合と比べて、もしゲームをやめたとしても、トークンやNFTとしての資産が残るのでそれを原資に新しいゲームや体験への参加が可能になります。


レンディングに関しては、ゲームを始めるために多くのトークンに課金をしなくてもゲームを楽しんでもらうための機能として、トークンの借入サービスを検討しています。また、私たちの発行するトークンは、独自チェーンのネイティブトークンではないので、ステーキングに変わる重要なトークンの運用手段として、トークンの貸付による運用手段を提供したいと考えています。また、ゲーム向けのユーティリティとトークンのレンディングを組み合わせたシナジーなど、新たな可能性を探っているところです。


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DMMがweb3事業に取り組む意義、Seamoon Protocolが目指すビジョンについてご紹介いたしました。


後編は今回の資金調達がどのようにして実現に至ったのか、そして提携パートナーとの関係が今後どのように発展していくのかを中心に、取締役の佐々木康雄にお伺いします。


Seamoon Protocolに関するお問合せ・ご質問は、当社公式Xアカウント(@Seamoon_JP)よりお寄せ下さい。
また、コラボレーションをご希望の企業様も募集しています。
最新情報もお見逃しなく、以下のリンク先をフォローしてくださいね。


<関連リンク集>
・プレスリリース:
・ホワイトペーパー:
・「Seamoon Protocol」ウェブサイト:
・「Seamoon Protocol」公式X:

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