いまの価値に換算すると「軽自動車」開発の苦労がわかる! 誰もが乗れるクルマにまで成長したKカーに敬礼!!

2024.02.06 06:20
この記事をまとめると
■昔から現在に至る軽自動車の歴史を振り返ると時代背景が見えてくる
■国民的な人気を集めた車種を挙げながらその理由を解説
■軽自動車はまさに国民の声を聞きながら進化を続けてきた
軽自動車の進化と価格の推移がスゴイ!
  もはや死語になった印象もあるが、クルマが高額商品だった時代には「国民車」という言葉があった。その歴史を軽自動車を軸に振り返ると、クルマが身近な存在になっていく過程が明確にわかる。
■スバル360(1958年発売)
 *価格:42万5000円 *現在の価値に換算すると:約670万円
  スバル360は1958年に発売された。当時の軽自動車だから、全長は2990mm、全幅は1300mmと小さい。しかも斬新なモノコックボディにより、車両重量は385kgと軽い。当時の軽自動車は500〜600kgだったから、スバル360は70%前後だ。
  その一方で丸みのあるボディは空間効率が優れ、4名乗車を可能にした。ボディが軽いために、当時の軽自動車では走行性能も優秀であった。スバル360は、クルマが急速に進歩した1960年代を通じて、フルモデルチェンジを行わずに1970年まで生産された。
  1958年に発売されたときの価格は42万5000円で(開発段階では40万円以下に抑えたかったが無理だった)、大卒初任給をベースに今の価値に換算すると670万円に達する。当時のスバル360は、今ならアルファード&ヴェルファイアハイブリッドのような価格設定であった。
  ところが1969年式スバル360スタンダードの価格は31万9000円まで下がり、今の価値に換算すると225万円だ。所得や物価の上昇と、車両価格の値下げにより、スバル360の実質価格は大幅に下がって10年少々で約3分の1になっていた。
■スズキ初代アルト(1979年発売)
 *価格:47万円 *現在の価値に換算すると:約98万円
  スバル360が発売された1950年代に比べると、1970年代はクルマが大幅に身近な存在になった。そこでスバル360の約20年後に登場した国民車的な軽自動車がスズキ初代アルトだ。2人乗りの価格は47万円(開発目標は45万円だった)で、現在の価値に換算すると約98万円になる。
  この価値は、現行アルトでもっとも安価なAの106万4800円に近い。過去のアルトの価格推移を振り返ると、ベーシックグレードは、常に「1979年の47万円」に近い価値で発展してきた。
  しかし中身は大幅に変わった。45年前に発売された47万円の初代アルトは、前述のとおり後席を装着しない2人乗りで、今日的な安全装備は一切装着されていない。パワーステアリング、エアコン、時計なども非装着だ。左側の鍵穴まで省いた。
  それが現行アルトAは、4輪ABS、横滑り防止装置、衝突被害軽減ブレーキ、運転席/助手席/サイド/カーテンエアバッグなども標準装着する。いつの時代も「1979年の47万円」の価値を保つアルトの装備内容を振り返ると、時間の経過に伴って充実度を高め、買い得度を強めてきた経緯がわかる。
実用性を追求したクルマを安価に普及する時代に!
■スズキ初代ワゴンR(1993年)
 *価格:108万3000円(RX) *現在の価値に換算すると:約131万円
  1950年代のスバル360は軽自動車の先駆けで、その先進性により、このカテゴリーを活性化させて国民車の地位を確立させた。1970年代の初代アルトは、それまで高価だった軽自動車の価格を今と同様の水準まで引き下げて、さらなる普及を促した。
  そして1990年代の初代ワゴンRは、全高が1600mmを超える背の高いボディにより、快適に4名で乗車できる居住空間を備える。軽自動車の「安価な代わりに我慢して使う2名以内で短距離を移動するクルマ」という認識を払拭させた。
  初代ワゴンRが備える後席の背もたれを前側に倒すと座面も連動して下がり、広い荷室が得られるシートアレンジ、助手席の下側に装着された大型シートアンダーボックスなどは、現行型にも受け継がれている。
  売れ筋グレードだったRXの価格を現在の価値に換算すると約131万円だから、現行型でもっとも安価なFXの129万6900円に近い。ワゴンRはアルトと同様、初代モデルの買い得度を保ちながら、フルモデルチェンジによって安全面を中心に各種の機能を充実させてきた。
■ホンダ初代N-BOX(2011年)
 *価格:134万円(G・Lパッケージ) *現在の価値に換算すると:約150万円
  1990年代に初代ワゴンRが発売され、その後にダイハツ・ムーヴを始めとして、背の高い軽自動車が続々と登場した。2003年には全高が1700mmを超える初代タントが発売されて注目を集め、2代目以降はスライドドアを装着するミニバン風のスタイルに変わってさらに人気を一層高めた。スズキ・パレット/スペーシアも加わり、全高が1700mmを超えてスライドドアを装着するスーパーハイトワゴンが人気のカテゴリーになった。
  そして2010年代に入ると、初代N-BOXが発売され、2代目以降は安定的に日本国内の販売1位になった。軽自動車全体の販売比率も約40%に達する。
  以上のようにスバル360以降の軽自動車は、さまざまな変遷を遂げながら成長を重ねて、遂に国内販売1位を用意する最多販売カテゴリーになった。その理由は、軽自動車が日本のユーザーの生活を常に見据えて開発されていることだ。その一方で普通車は、肥大化と高価格化に突っ走り、軽自動車とは逆に支持を低下させてしまった。

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