いまさら聞けないノッキングとは? 原因や対策を徹底解説

2024.01.29 07:00
この記事をまとめると
■エンジンの異常燃焼によりクルマにノッキングと呼ばれる症状が出ることがある
■最悪の場合、ノッキングによってエンジンが破損してしまうこともある
■ノッキングの原因や対策について詳しく解説
ノッキングとは?
  エンジンから「カラカラカラ」とか、「キンキンキン」とか、あるいは「ガラガラガラ」という音が出ることがありますね。それがノッキング音というものです。よく耳にするのは、低回転でアクセルペダルを踏み込んだ瞬間というのが多いケースだと思いますが、高回転までまわしていくときに音が出たりする場合もあります。どちらにしても異常燃焼によって発生します。
  ノッキングは異常燃焼なので、音が出るだけでなく、振動も発生します。またエンジン内部が高温になってしまったり、場合によっては破損することもあります。
  しかし、性能や効率を考えると、ノッキングが発生するギリギリ直前の状態がベストなので、一般的にはノッキングセンサーを装着し、ノッキングが発生しそうな状態、あるいはノッキングが発生したら直ちにエンジンコンピューターが補正をする、というのが常識になっています。
  ガソリンエンジンではシリンダーのなかの混合気(空気とガソリンが混じったもの)に、適切なタイミングで点火プラグに電気を流して燃焼させます。しかし、何らかの原因で点火プラグとは無関係に燃焼してしまうことがあります。それがノッキングなんです。
  ノッキングが発生するためには、まず混合気の圧力も温度も高い状態が必要です。エンジンの圧縮比が高いと当然、混合気の圧力や温度も上昇しやすくなり、結果としてノッキングが発生しやすくなります。
  エンジンの圧縮比というのも、ある程度までは高いほうが効率が良くなります。マツダがスカイアクティブGで14という圧縮比を可能にしましたが、現状の技術では14前後がガソリンエンジンの上限ということのようです。つまり、高い圧縮比を可能にするために、ノッキングの限界を引き上げるような設計が必要になります。直噴というシステムも、そのひとつということができます。
ノッキングのおもな原因
  先程お伝えしたように、エンジン内部での燃焼サイクルに異常が発生しているのがノッキング。その要因はプラグの劣化など点火系の故障や、燃焼室に溜まったカーボンによる異常燃焼、ハイオク指定の車種にレギュラーガソリンを入れてしまいノックセンサーで補正してくれない場合、などなどが挙げられます。
  また、エンジンのピストンの摩耗やガスケット類の劣化が原因でエンジンオイルが燃焼室に入ってしまうトラブル(オイル上がり&下がり)もノッキングの原因となると考えられます。
ノッキングの症状の種類
1)カーノック
  ノッキングの一種であるカーノックとは、エンジン出力の異変により車体が前後に揺さぶられる現象をそう呼びます。カーノックの要因はエンジンの着火不整が主な要因。あと、旧車であればキャブレターの動揺も原因のひとつです。
  また、MT車の場合、エンジン回転数の少ないときの走行やクラッチペダルの操作ミスでも同じような症状が見受けられます。
2)プレイグニッション
  エンジン燃焼室内のスパークリングプラグや排気バルブが高温となることでプラグ点火前に着火してしまい、ノッキングの要因となるのがプレイグニッション。
  プラグの点火時期が早まった状態になることでノッキングが起こるのですが、振動により燃焼室がさらに高温になるとプレイグニッションが連続して起こり、ますますノッキングが強くなる悪循環が起こる可能性もあります。
3)デトネーション
  エンジンのシリンダー内では通常、火炎伝播時に発生する未燃焼ガスは中心部よりシリンダー壁側に広がりながら燃焼されます。が、その未燃焼ガスが通常の火炎伝播より異常に速い伝播速度で燃焼。その衝撃波がシリンダー壁やピストンを叩く音で発生するのがデトネーションです。
  ノッキングとは異なる現象ともいわれますがエンジンに悪影響をおよぼす状態であることは間違いありません。
ノッキングについて知っておくことが重要!
ディーゼル車の場合はつねにノッキング状態?
  低回転でアクセルペダルを踏み込んだときにノッキングが発生しやすいのは、燃焼状態が大きく変化するからです。ただでさえ低回転はエンジンにとって不安定な燃焼状態です。そこで、「さあ加速しよう」ということになった瞬間に、さらに燃焼は不安定になってしまうのです。ただし、低回転では燃料も少なく、エンジンを破損するようなノッキングになることはないでしょう。
  それに対して高回転でのノッキングは、一気にエンジンを破損させるリスキーなものです。ただし、高回転では燃焼回数も多く、燃焼自体は安定しているはずなので、ノッキングを検出して補正することは難しくありません。具体的にいえば、排気バルブやそのバルブシートが高温になるので、そのあたりの冷却をしっかり設計することが求められます。
  ディーゼルエンジンは「ガラガラガラ」というノッキング音を出しますね。そもそもディーゼルは点火プラグを持たず、燃焼室内の温度と圧力によって燃焼を始める自己着火という燃焼方式です。つまり、ガソリンエンジンの視点でいえば、つねにノッキングしているようなものです。
  現代のディーゼルでは高圧の直噴システムが常識的になっています。コモンレール式というのがほとんどですが、なかにはユニットインジェクター式もあります。自己着火という、いわば成り行きの燃焼を上手くコントロールするためには、短い時間で噴射でき、また低回転では細かく何度も噴射できる高圧の直噴システムがピッタリなんです。
  そのディーゼルの「ガラガラガラ」という音も、やはり低回転でアクセルペダルを踏み込んだ瞬間に出ます。ガソリンよりも音が大きいのは、ディーゼルのほうが圧縮比が高いためで、振動も大きく出てしまいます。最新のディーゼルは圧縮比が低くなっていますが、それでもガソリンと比較にならないほどの音が出ます。それに耐えるため、ディーゼルエンジンには設計面から強い構造が求められます。
ノッキングの対策・予防方法
スパークプラグの確認
  ノッキングが起こる要因のひとつがスパークリングプラグの不良。プラグの電極が摩耗したことでつねに火花を飛ばせなくなると、ノッキングが発生するリスクが高まります。
  プラグの火花を発生させる電極部は、着火時の放電の繰り返しや燃焼時に高圧高温の過酷な環境に置かれることにより経年劣化。通常時、プラグが飛ばした火花が混合気に着火することで始動するエンジンですが、不良の場合はノッキングが起ってしまうのです。
  ノッキングが繰り返し起こる場合はスパークリングプラグの確認と点検が必要となります。
指定されたガソリンを給油
  欧州車や国産高級車でハイオクガソリン指定の車種にレギュラーガソリンを給油した場合、ノッキングが起こる危険があります。圧縮比が高いハイオク仕様エンジンにレギュラーガソリンを入れることで異常燃焼が頻発した場合は、エンジンのパワーダウンや、ノッキングに伴う音や振動がエンジンへダメージを与える恐れがあります。
  昨今のクルマはノックセンサーにより前記ケースは少ないと言われていますが、モデルに最適なオクタン価のガソリンを選択することは必要です。
エンジンのオーバーホール
  エンジン始動時に混合気の異常燃焼が起こることもノッキングが起こる原因。異常燃焼はエンジン内部の燃焼室&ピストン、シリンダーヘッドに溜まったカーボンが要因となるケースがあります。
  カーボンが溜まる原因は街乗りメインでクルマを使用することが多い場合に発生しやすく、それはエンジンが温まりきらないことで燃えカスとなるカーボンが堆積するからです。
  街乗りメインの場合でも、高速道路を利用した長・中距離ドライブを毎月行うことで燃焼効率が改善。カーボンを落とすことができますが、ノッキングが起こりやすいクルマや多走行車の場合は、エンジンのオーバーホールが必要となります。
燃料添加剤の使用
  先程お伝えしたエンジン内部に溜まってしまうカーボンなどの不純物は、燃料添加剤を定期的に使用することにより除去することができます。
  燃料添加剤は不純物を洗浄することでノンキングを防ぐだけでなく、燃費向上やパワー回復にも繋がる優れもの。燃焼率が向上することでノッキング発生を防ぎましょう。
エンジンの負担を減らす
  エンジンを高回転のままロングドライブやワインディングロードで登り走行を続けるなどした場合もノッキングが起こりやすい状況となります。これは、エンジンが過酷な状態になることで起こるもの。登坂時や高速道路などでの加速時にエンジンから異音が発生した場合はノッキングが起こっている可能性あり。
  ノッキングが続くとエンジンを傷つける可能性がありますのでアクセルを緩め、エンジンを休めることが必要。それでもノッキングが続く場合は販売店や整備工場へメンテナンスを依頼することが必要となります。
まとめ
  言葉だけはよく聞くものの、どんなトラブルかを正しく説明することが難しいのがノッキング。対処法も含め、ノッキングを正しく理解することは自動車オーナーにとって今後のカーライフが充実するかどうかの鍵を握る……とは大げさですが知っておきたい現象です。
  まずはノッキングとはなにか、ノッキングが起こらないようにするにはどうすればよいかは知っておきましょう。

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