この記事をまとめると
■雪の降らない都心部ではスタッドレスタイヤをたまにしか使わないユーザーも多い
■長期保管したタイヤは、使う前に残り溝や製造年、ひび割れの確認をするのがオススメ
■月に1度は空気圧のチェックも忘れないように行いたい
長年保管してるスタッドレスは今年も使ってもいい?
今年も冬真っ盛り、都心でも零下の日がぽつぽつ出てきて、手袋がないと通勤通学の外出時も手先がかじかんでしまう状況もけっこう気になりますよね。
都心での初雪がニュースになるのも毎年この時期でしょうか。それに備えて準備していれば慌てなくても済みますが、「今年は暖冬だって言ってるから降らないでしょ」と高をくくっている人は、急な降雪でアタフタしてしまうのも風物詩のひとつになっている感があります。
おそらくそんなタイプの人は、手持ちのスタッドレスタイヤの状態についても「まだ3年目だし大丈夫でしょ」という感じで、とくに心配していないというケースが少なくないのではないかと思います。
実際のスタッドレスタイヤの状態は、保管の環境や使う頻度などでけっこう異なるケースが多く一概に言えないので、それぞれのケースで個々の確認が必要になってくるのですが、では、「どうやってその状態を確認すれば良いのか?」、その基準や目安がわからないという人もけっこういることでしょう。
ここではそんなスタッドレスタイヤの状態を確認する方法について紹介していこうと思います。
■まずは「プラットホーム」のチェックから
スタッドレスタイヤはその特性から、夏用タイヤに比べてゴムの質が柔らかいのが特徴です。そのため、同じ距離を走った場合は減りが早くなっています。
なので「まだ2万kmも走ってないからそれほど減っていないだろう」という感じで夏用タイヤの感覚で考えていると、実際に確認してみたら想像よりだいぶ摩耗していた、というケースもけっこうあるようです。
具体的な数字でいうと、かなりザックリですが、1万5000kmが交換の目安と言われています。摩耗具合は、約3000kmで1mm減るというのが通説なので、プラットホームが露出するまでの5mmの摩耗の距離が1万5000kmとなります。
さてここで「プラットホーム」ってなに? という疑問を抱いた人もいるでしょう。プラットホームというのは、スタッドレスタイヤの性能が維持できる限界の状態を示すインジケーターの役割を示す部分の名称です。
スタッドレスタイヤにはサイドウオール(側面)に外向きの矢印の刻印が4箇所に記されています。その矢印の延長線上のタイヤの接地面をよく見ると、太い溝の奥に、ちょっと出っ張っている部分があります。上の面が細かいスリット状になっているので、側面の矢印を見なくても夏用タイヤのスリップサインとの区別ができます。
スタッドレスタイヤというのは、「サイプ」と呼ばれる接地面のブロックに刻まれた細い溝がグリップのキモになっています。その溝が少なくなるとグリップ性能が半減しますので、その限界を知らせるのがこの「プラットホーム」です。
気をつけて欲しいのは、スタッドレスタイヤにも「スリップサイン」は存在するという点です。こちらは出っ張りの上の面がツルッとしていて、プラットホームより山が低くなっています。この「スリップサイン」は雨の日の排水性が保てる限界を示すインジケーターですので、ここまで減ってしまったスタッドレスタイヤは、そもそもタイヤとしての性能が終わってしまっているんです。
■溝の深さ以外の確認方法
スタッドレスタイヤが性能を発揮するポイントは、先述の「サイプ」という溝のほかに、ゴムの柔軟性や吸水性などいくつかの要素が合わさって成り立っています。
そのなかでも柔らかさは重要度が上位のポイントになりますので、柔らかさが保たれているかはチェックしておきたいところです。
とは言っても、しょっちゅうタイヤを扱っている専門店のスタッフならまだしも、年に数度の使用頻度しか無い一般のユーザーにとって、柔らかさの基準が判断できる人は少ないでしょう。
タイヤの劣化具合をチェックする方法としては、まず目視でひび割れが無いかどうかを見ることです。
タイヤは高速で走行したりハードにブレーキングすれば熱を持ちますし、逆に零下まで冷やされたりもします。そして日光に当たっていれば紫外線にさらされますので、それも劣化の要因になります。
その劣化はタイヤの表面から始まって、徐々に深い層に進んでいきます。劣化の症状がすすんでいくと、まず表面が硬化します。
硬化した状態でタイヤがたわむと、弾力が失われた表面がひび割れてきます。このひび割れが現れてきたら交換を検討したほうがいいでしょう。
仮に接地面のブロックを曲げてみてまだ柔らかいなと感じても、表面の硬化が始まっていたら、そこからひび割れが深くなり、最終的にはブロックが千切れてしまうケースも考えられますので、安全のことを考えたら交換がマストです。
同じ劣化の判断ポイントで、表面のツヤを見るという方法もあります。
劣化していない状態ではゴムの組成が整っているので黒くツヤがある状態ですが、紫外線や熱で劣化すると、表面がカサカサの状態になって、色が白茶けてツヤが無い状態になります。
また、ゴムの柔らかさが重要だと言いましたが、実際にその弾力具合を確認するのは難しいと思います。 ですので、それを判断するためには、製造年を確認するのがもっとも確かな目安と言っていいでしょう。
製造年は、タイヤのサイドウォールに必ず記してあります。ホイールに近い内側の方に記された、薄いだ円の線で囲まれた部分の4桁の数字がそれです。
この数字は頭の2桁が製造週で、後の2桁が製造年を表しています。 例えば「1823」の表記があった場合は、2023年の18週目の製造というわけです。18週目なので、製造月は4月となります。
使用年数の目安ですが、これは使用状況や保管状態によって異なりますが、おおむね3〜5年というのが通説です。3年目を迎えたら、タイヤの状態のチェックをこまめにおこない、交換を視野に入れるようにするといいでしょう。
■使用中もタイヤの空気圧をこまめにチェックして寿命を保ちましょう
スタッドレスタイヤは夏用タイヤと比べて柔らかいため、空気圧が低い状態で使用すると、より偏摩耗が進んでしまいます。
偏摩耗が進んでしまうと、そのあとで空気圧を正常に戻しても、接地面の状態に偏りが出てしまうため、本来の性能が発揮出来なくなってしまいます。
具体的には、出掛ける前に確認するのがもっとも良いのですが、少なくともひと月に1度は空気圧の確認をしておけば、深刻な編摩耗は防げるでしょう。
また、夏用タイヤの感覚でドライ路面でハードなブレーキングをしたり、コーナーを攻めるような走りをするのも避けたほうがいいでしょう。単純にグリップ性能が夏用タイヤより劣るので限界が低いですし、必要以上の熱が入り、摩耗も進みますので良いことはありません。
交換時期の見極めも重要です。面倒だからとドライ路面で使っていると減りを早めてしまいます。
また、ローテーションなども上手く使って、できるだけ効率の良い運用をしていきましょう。