基本同じクルマなのになんで値段に差がある? MTとATの価格が異なるワケ

2024.01.22 11:40
この記事をまとめると
■MT車の新車販売比率はたった1.5%程度となっている
■AT車とMT車が設定されている車種では前者のほうが10万円ほど高い場合が多い
■装備や生産台数の都合で価格が設定されているので、両車の間で価格差が出る
いまはMT車がほぼ絶滅状態!
  いまの乗用車のトランスミッションでは、ATの販売比率が圧倒的に高い。クラッチペダルを備えたMTの比率は1.5%程度だ。この背景には、ATシステムの進化、機能的にMTを設定しにくいハイブリッドが乗用車の約50%に達したこと、1991年に創設されたAT限定免許が30年以上を経て定着したことなどが挙げられる。
  しかし、普通運転免許を取得する人に占めるAT限定の割合は、70%を少し超えるくらいだ。残りの約30%の運転免許取得者は、MTも運転できる。
  それなのにMTの販売比率が2%以下に留まる背景には、MTを選べる車種を購入しにくくなった事情もある。
  MTは運転を楽しむことを目的にしたスポーツモデルに多く搭載されるが、いずれも価格が高い。スイフトスポーツのような6速MTを備えた走りの楽しいクルマが200万円少々で用意されると、MT比率も高まるが、いまは手頃な価格で買える運転の楽しいMT車が少なすぎる。
  そこで、ATとMTの価格を比べると、車種によって設定が異なる。たとえばマツダ3の場合、スカイアクティブXを搭載するグレードではATとMTを同じ同価格としている。フェアレディZ、スープラRZ、シビックの1.5リッターターボ搭載車、新型スイフトなどもATとMTが同価格だ。
ATはMTよりもおおよそ10万円くらい高い
  その一方で価格の異なる車種も多い。ロードスター1.5Sスペシャルパッケージでは、ATがMTに比べて11万5500円高い。両タイプでは装備も異なり、ATにはアイドリングストップやアイ・イー・ループなどの環境技術が採用され、燃費数値も少し優れる。
  その代わり、MTにはリヤスタビライザー、ボディを補強するトンネルブレースバーなどが装着されるから、ATの価格がMTに比べて11万円以上高まると割高になってしまう。ロードスターではMTの販売比率が高いから、量産効果を利かせやすく、価格訴求力を強める目的もあってMTを割安にした。
  GR86 RZでもATの価格はMTに比べて9万8000円高い。ATは価格が高い代わりに、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールがATの機能を生かした全車速追従型に変更される。後退時ブレーキアシストなども加わる。それでも約10万円の価格差は大きくMTが割安だ。
  ジムニーXCは衝突被害軽減ブレーキは装着されるが、運転支機能は採用していない。ATとMTの装備はほぼ同じだが、4速ATの価格は5速MTよりも9万9000円高い。ジムニーは前述のスポーツカーと違ってATの販売比率が高く、量産効果を考えるとMTとの価格差はなくなりそうだ。それでもMTを安くした背景には、ジムニーは昔はMTのみで、ATは価格を高めて進化してきた事情がある。ATが高価になる伝統的な価格のヒエラルキーをいまでも踏襲している。
  以上のようにATとMTの価格差を見ると、同価格で設定する車種がある一方、いままでの価格推移、装備の違い、生産台数などに基づき、ATの価格をMTよりも高く設定する車種が目立つ。
  それなら逆にMTの価格がATよりも高い車種はないのか。じつはこのパターンもあり、コペンではMTがATを2〜3万円上まわる。
  しかも安価なATには、MTに装着されないアイドリングストップが備わり、マルチインフォメーションディスプレイの機能も充実する。ATが一層割安になるわけだ。いまのダイハツの前輪駆動車では、MTは少数派になり、コストと価格が高まってしまったのだ。

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